第1話

 20××年10月4日―――秋晴れの青空に、「ドン!」と、開始を告げる号砲が響き渡った。
 同時に赤、黄、緑、桃、黒、白、青色のスモークが、パラシュートに吊られてゆっくりと宙を舞う。
 続けて、音と共に広がった煙が枝垂れ柳を描くように広がっていく。

「おー、すげぇ! 力入ってんなぁ!」

 頭上に広がる昼花火を見上げ、感嘆の声を上げるのはうみねこセブンのレッドこと、右代宮戦人。

「祖父様、なんだかんだいって、派手好きだからなぁ」
「いいんじゃないかな。お祭りなんだし。皆を楽しませる為に、努力と金銭を惜しまない……そういうお祖父様……もとい理事長の姿勢は、尊敬すべきものだと思うよ」
「うー! お祭り! お祭り〜♪」

 応えるイエロー、グリーン、ピンク―――言わずとしれた右代宮朱志香、譲治、真里亞の3人だ。
 皆戦いの際に見せる引き締まった表情はなく、笑顔を浮かべている。

「いや、まぁ、そうだけどさ。祖父様の場合、自分も目一杯だからなぁ。花火の色からして、セブンカラーだし」
「あはは。その辺りは理事長の遊び心だね。自分も一緒になって楽しむというのは大事な事だよ」
「そうですね。子供の心を忘れない大人の方というのは素敵だと思います」

 紗音―――うみねこホワイトが頷く。
 その傍らには、和らいだ表情で空を見上げる弟、うみねこブラック、嘉音の姿があった。

 それも、その筈、彼らのいる場所は六軒島にある本部でも、戦いの場でもない……彼らが通う小学校から大学院まで全てを兼ね備えるマンモス校―――うみねこ学園であり、今日は―――

「うおっほん!
本日は見て頂ければおわかりの通り、見事なまでの秋晴れである。
これは、ここまで時間をかけて準備し、この日に備えて頑張って来た諸君に対する天からの祝福ではないだろうか。
この青空の下、悔いのないよう精一杯これまでの成果を発揮し、楽しい文化祭にして貰いたい」

 ―――年に一度の祭典『文化祭』なのだ。

「この日を迎えるまでに、全校生徒はもちろん、保護者の方々にもたくさんのご協力を頂きました。
心より御礼申し上げます。生徒と保護者、ご来場の皆様方も共に、より良い文化祭を創って行きましょう!
皆のおかげで今日この日を迎える事が出来、もう、もう……わしは…ッ……」

 校庭のマイクの前に立つ金蔵の声が、スピーカーを通して全校中に流れていく。

「嬉しい!」

「!」

「嬉ちぃ! 嬉ちくてたまらぬぅうううううううっ!」

「理事長、威厳をお忘れなく」
「うむ。すまん。源次。つい……。こう来るものがあってな……」

「………………」
「……確かに目一杯楽しんでいるわね」

 ぼそっと呟いたのは、少し離れた位置にいたグレーテル―――うみねこブルー。

「あ、あはは……。ちょっと行き過ぎてる部分もあるかもしれないね」

「で、では、只今より第〇回『うみねこ学園文化祭』を開催する!!」

 金蔵の宣言と同時に、一際大きな花火が上がり、天から黄金の輝きが学園内へと降り注いだ。
 その輝き―――小さなパラシュートには様々な菓子が結び付けられていた。
 これからはじまる楽しい2日間を祝福するかのように―――




劇場版うみねこセブン 〜舞台の上の夢宴〜



「キラキラいっぱいだね! さくたろ」
「だね! いっぱい取って、真里亞にプレゼントしてあげるね」
「ありがとう! でも、真里亞も頑張るよ。頑張ってたくさん取って、ママや、お兄ちゃん達、招待したベアトにプレゼントしてあげるんだ」

「おお! 見ろ。空が黄金色に輝いておるぞ。まるで妾を祝福しておるようではないか!」
「ベアト。文化祭は皆で楽しむお祭りですよ。あなただけの為のものではありません」
「わ、わかっておるわ。こう気分を盛り上げようとしただけであろう」
「もう十分盛り上がっているではないですか。それ以上盛り上がってどうすると言うんですか。全く……」
「まぁまぁ、いいじゃないの。お祭りなんだから。友達からの招待って嬉しいものよ。ましてや、ベアトははじめてなんだし」
「そうでしたね。ただ、私はあの子がうかれて、またとんでもない事をするんじゃないかと」
「まったくリーアってば、お母さんみたいなんだから。そんなに考え込んでばかりいると、眉間に皺が出来るわよ」
「ぷっくっく。確かにそれは自然の摂理ですな」

「こんな風に学校行事に参加出来る日が来るなんて夢みたいだね」
「……うん……」
「クラスの女の子に聞いたんだけど、最終日の夜にはフォークダンスがあるんだって。朱志香ちゃん誘ってみたら?」
「! な、なんでそこに朱志香さんが出てくるんだよ」
「最近仲良しさんみたいだから♪ 一緒に自由行動とかも楽しいんじゃないかな」
「姉さん……面白がってるね。そういう姉さんの方こそ、譲治せんぱ」
「あ! わ、私、メイド喫茶の準備しなくちゃ。嘉音くん達は執事喫茶やるんでしょ? 負けないからね」
「あ、姉さん……ちぇ、ずるいな。自分だけ」

「……ファントムとの戦いの最中だっていうのに、文化祭なんて……くだらないわ」
「まぁ、まぁ、そう言わずに。張り詰めてばっかりだと大事な時に切れてしまいますぜ」
「だからって、何故私までこんな恰好……」
「いやいや、結構似合ってますよ。戦人さんとか可愛いって言ってくれるんじゃないですか」
「な、なんで、おに……彼が出てくるのよ! 関係ないでしょ!」

「ふっ……『メイド喫茶』と『執事喫茶』か。確かに最先端である事は認めよう。だが、しかし! 現在の流行の更に先を行ってこそ、真の企業人というもの! 子供達に大人の魅力を教えてやろうではないか!」
「任せとけ。兄貴。この俺のダンディな魅力を見せてやるぜ」
「蔵臼さんの商売か……時代を先取りし過ぎる傾向があるのが、ちと不安やが……ま、そこはおっさんの力でなんとかしたろやないか!」

「料理と名がつくからには、この郷田、料理人の沽券にかげて負ける訳には参りません」
「家庭料理のプロを甘く見るんじゃないわよ」
「そうね。普通に戦ったら勝ち目ないでしょうけど、主婦には主婦の戦い方というものがあるわ」
「が、頑張ります…っ!」
「うぉおおおおおおっ! 見せてやるよ。黄金色の料理って奴をぉおおおおおおっ!」

「初めまして、こんにちは! そして、さようなら。うみねこセブン!!」
「……あんた何1人でかっこつけてる訳。大体何故わざわざ海から行かなければならないのかしら」
「海からの登場は、基本だからです! そこは誰が何と言おうと譲れません! お箸が食事の際の最重要アイテムであるのと同じように、不変の原理です」
「あんた、セブン本編に出て来た謎の人物のままでいた方が良かったんじゃない?」
「何か言いましたか。我が主」
「別に。あんたがおかしいのは今にはじまった事じゃないしね。ともかく、やるべきことはわかっているわね」
「もちろんです。我が主! この古……むぐっ」
「あんた状況わかってるの? わざわざ正体明かしてどうするのよ。そんなに痛い目みたいのかしら?」
「と、とんでもありませんっ!」

「……ここが『うみねこ学園』か」
「ここで事件が起こる筈なんですね」
「はい。どういう事件が起こるかまではわかりませんが……」
「この巨大学園の中を探せってか。やれやれ。面倒だな。事が起こるまで、昼寝でもして……痛っ!」
「不謹慎ですよ」
「ちょっとした冗談じゃねぇか。いきなり尻抓るなよ」



君に捧ぐ、極上の宴。




「ちょっとぉ! 出番禁止ってどういう事? え? 『逆襲のエヴァ』ではっちゃけた罰? そんなの私のせいじゃないじゃないのよぉぉおおお!!」



(1)『メイド喫茶&執事喫茶』只今営業中。皆様のお越しをお待ちしております。
(2)茶屋『おっさん』開店。各種取り揃えたおっさんがあなたの疲れを癒します。
(3)舞台では演劇の準備が進行中。果たして、その演目は―――
(4)文化祭といえばやっぱり「つるぺったん」。飛び入り参加も大歓迎です!
(5)火花飛び散る料理対決! 料理人と奥様のプライドをかけた戦いが始まる。
(6)「鯖同盟」の屋台へようこそ!
(7)校庭で「うみねこセブンヒーローショー」のリハーサル中。一般の立ち入りはご遠慮下さい。
(8)文化祭といえば、自由行動。気になる相手を誘うチャンスです。
(9)招待客の幻想御一行様、最初の行き先はどちらになさいますか?
(10)謎のツインテールが、ステージに乱入! 怪我にはくれぐれもご注意を。
(11)いきなり現れた謎の3人組。彼らの目的は―――
(12)今こそ、覚醒の時。『エヴァの逆襲』が始まる……かもしれない
(13)フリー 

illustration:天 story:祐貴   


第2話
 
 →(1)『メイド喫茶&執事喫茶』只今営業中。皆様のお越しをお待ちしております。


 「お、お帰りなさい……お兄ちゃん!!」

 ドンガラガッシャ〜ンと盛大に戦人がズッコケた。
 戦人と譲治がやって来たのは学園祭の模擬店『メイド喫茶メイド・イン・ヘブン』であるからメイドさんが出迎えるのは良い、問題なのはそのメイドがグレーテルでしかもいきなり『お兄ちゃん』である、まったくもって理解できなかった。
 「し、仕方ないでしょう!? そういう設定なんだから!」
 「設定?」
 戦人は譲治の方を見たが彼もその意味が分からず首を横に振るだけだった。
 「……ふふふふふ、それについては私が説明しましょうっ!!!!!」
 「「……へ?……って、秋葉原先生っ!!?」」
 戦人と譲治の前に唐突に現れたのはこの学校の教師である秋葉原 萌(34歳独身)だった、彼女自身もメイド服+ネコ耳装備であることからこの『メイド喫茶メイド・イン・ヘブン』のスタッフなのだろう。
 「いいかな君達? そもそも『メイド喫茶』にはメイドさんはいて当たり前、そこにプラスαがないと『真の萌え』ではないのよっ!!!!」
 「「……真の……萌え?」」
 唖然とした顔を見合わせ合う譲治と戦人。
 この秋葉原 萌先生は『うみねこ学園』始まって以来の腐女子を自負しており、担当教科は数学と萌え(自称)で尊敬する人物は『前原画伯』、そして宿命のライバルは『K』といううみねこ学園の迷物(※誤植ではない)教師の一人であった。
 それはいいとして要するにグレーテルの場合は『メイド+妹』と言う事らしい。
 「……プラスαはいいですけど何でこいつが『妹』なんですか先生?」
 「む? こいつって何よ戦人!……む?」
 奥のテーブルで天草がクスクスと笑っているのを見つけたグレーテルは彼に向って持っていたお盆をフリスビーの様に投げつけたが天草はそれをヒョイっとかわしてみせた、そしてお盆はその後ろを偶然通りかかった蒼いツインテールの少女の顔面に命中しベキとめり込んだた。 その蒼いツインテッ娘はそのままバタンと倒れ気絶した様だった。
 「それはね戦人君、私の見立てではこのグレーテルさんは絶対『妹キャラ』なのよ! あなたも聞いたでしょ? さっきの『お兄ちゃん』には相当の年季が入っていたわ、彼女はきっと大好きなお兄ちゃんを追いかけて魔女の世界へ行って山羊達相手の大立ち回りするくらいの生粋の妹キャラよぉっ!!!!!」

 「「「意味分からんわっっっ!!!!!!!」」」

 戦人と譲治にグレーテルが三人同時に叫ぶ、そんな様子を騒ぎに気が付いてやって来た紗音は苦笑を浮かべて見つめていた。 ちなみに紗音の設定は『メイド+ドジっ娘』である。
 「……ん? ああ、紗音ちゃん」
 「いら……じゃなくて、お帰りなさいませ譲治さ……じゃなく譲治様に戦人様」
 いつものくせで『さん』付けになりそうだったが、それでも恭しくお辞儀をする姿がさまになっている。 まるで前世では本物のメイドだったかの様だと譲治は思った。
 「……あら? 二人は知り合いだったのね……ふ〜ん?」
 秋葉原先生はそう言って値踏みするように紗音と譲治を交互に見た、そしてその後でにやりと笑う。
 「うふふふふ……ねえ譲治君に紗音さん、先生からお願いがあるんだけどいいかしらぁ?」
 「……え?」
 「お願い……ですか?」
 譲治と紗音だけでなく戦人とグレーテルも突然の事に首を傾げる。
 「この『メイド喫茶メイド・イン・ヘブン』にはあらゆる萌えを追及したけどあとひとつ、『男の娘』がいないのよ!」
 「「「「……『男の娘』?」」」」
 初めて聞く単語に互いに顔を見合わせる戦人達。
 基本的には生徒の自主性を尊重する学園祭だが中には彼女の様に『生徒と対等の立場で企画に参加しようとする教師』もいたりするのがこの『うみねこ学園』である。
 「そのための人材はいるんだけど……どうしてもうんと言ってくれなくてぇ、だから紗音さんと譲治君で彼を『説得』してくれないかしらぁ?」
 秋葉原先生の説明によると『男の娘』とは要するに女装した男子らしい、しかし誰でもいいわけではなく見た目が可愛い女の子にならなければなければならないらしい。 そして目を付けたのがなんと嘉音だと言うのだ。
 「嘉音君ですか……でも……」
 どう考えても嫌がるだろうなと紗音は思う、ああ見えて常に男らしく振舞おうと努力しているのが嘉音なのだと姉の自分は良く知っている。
 「そこを何とか! 『説得』出来たら『メイドさん紗音の一日独占権』を認めちゃうわよ? どう譲治君、彼女と二人で学園祭を楽しんでみない?」
 「おいおい……」
 戦人は呆れた声を出す、早い話が学園祭の仕事を先生公認でサボりデート出来るということである。  しかし真面目な性格の二人だけにいくらなんでもそんな事で二人が嘉音を売るはずはないと思った、思ったのだが……。
 「……ふ!」
 譲治の眼鏡が怪しく光り……。
 「……うふふふふふふふ」
 紗音の口元が不気味に歪む。
 
 「「お任せ下さい先生!!!!」」

 「……おいおい……本気かよ……?」
 「……駄目だこのバカップル……早く何とかしないと……」
 魔王と黒紗音降臨!……そんな言葉が戦人とグレーテルの脳裏に浮かぶ。
 二人は呆れた顔で揃って溜息を吐くのだった……。


 同時刻の『執事喫茶 黒執事』では……。

 「…………!!!?」
 「ん? どうしたの嘉音君?」
 「いえ、何でもありません朱志香さ……いえお嬢様」
 珈琲だけですでに三時間は居座っている朱志香にそう答える、しかしその時確かにぞっとするような悪寒を嘉音は感じていたのだった。
 
 


 (1)譲治と紗音のために嘉音を生贄に捧げる。
 (2)流石に駄目だろうと全力で二人を阻止する。
 (3)いっそ俺達もデートするかと戦人がグレーテルに提案する。
 (4)フリー。  

story:アルブレード   


第3話

こんにちは、嘉音です。今、現在・・。僕は、急激な悪寒に襲われています。
朱志香さ・・。いえ、間違えました、お嬢様・・。が三時間もここに居てくれるのは、良いのですが・・。


「「嘉音くん、お願いだからさ、メイド喫茶に入ってくれないかな?」」

「譲治兄さん、紗音・・。嘉音くんをどうするつもりか、三行以内に説明してくれ。返事によっては、本気で行かせて貰うから」


一体・・。どうして、こんな事に・・。(汗)


(1)譲治と紗音の為に嘉音を生贄に捧げる。






「ちくしょー・・。あの二人、あんなに足が速かったか?」
「恐らく、戦いとその後の特訓のせいだと思うわ。それよりも、このままだと!嘉音が危ないわよ!どうするのよ!・・お兄ちゃん。

ボソリとグレーテルが呟いた最後の言葉以外を聞いていた俺は・・。とりあえず・・。一つの策に思いつく。


「―――― グレーテル、今・・。何時だ?」
「え、えーと・・。午前11時よ。どうかしたの?」
「こうなったら、やるしかないよな・・。あー、駄目だ。全然駄目だ!!待ってろよ、嘉音くん!今すぐ、助けに行ってやるからな!!」

そう言って、メイド喫茶の料金を支払った後、ダッシュで、ある場所へ向かう事にした。






「えっ、何でかだって?そりゃあ、僕と」
「私の」


「「有限なる文化祭を僕たちのラブラブデート権を二日目の文化祭で発動する為だ!!」」


「文句、大ありだぜ!!!」
「それだけの為に、僕をメイド喫茶に連行しないで下さい!!」
「ふふふふ、それは、ムリな話なんだ。どうか、僕たちの為に生贄になって欲しい。無論、返答次第では、朱志香ちゃん。キミもだよ」
「譲治様。お嬢様は、軽音部に所属している為・・。メイド喫茶連行は、ムリだと思いますよ」

そんな事を紗音が言うが・・。譲治様は、僕たちを見るなり、静かに言った。


「生徒会執行部 元高等部生徒会会長の権限を使っても、それが出来ないと思っているのかい?」


「「「!!」」」



ここで、わからない人の為に説明するのじゃ!!

うみねこ学園は、確かに、自由すぎる学校じゃ。しかも、そのせいで、教師も学校長も理事長なども、毎年、大はしゃぎしておる!

そんな中でも、生徒会の権限は、物凄く。一種のウワサじゃがその権限は、一般の教師以上、理事長未満というぐらいなのじゃ!!
即ち、生徒会会長=生徒の中で最も偉く、そして生徒会行事の全権を統べる者。
ちなみに、この権限を使えば、朱志香が所属している軽音部のライブを中止することだって可能なのじゃ!!
あっ、ちなみにいうが・・。元会長でも、一応、委員会の会員レベルまであるのじゃ!

どうじゃ!!分かったかのぅ・・。あっ、ちなみに、妾は、謎の尋問官 V・Rじゃ。では!!



「くっ・・。忘れていたぜ、譲治兄さん・・。生徒会執行部の一人だったよな・・。」
「クスクス、さぁ、どうします?嘉音くんを引き渡しますか?それとも、彼を護る為に、メイド喫茶へ共に、連行しますか?」
「残念だよ・・。朱志香ちゃん。やはり、愛の力は、無限なのさ」
「そうです、愛の力は、無限なのです。譲治さんとの愛は、壊れない。くすくす、早く諦めた方が良いですよ」

そう言った時だった!!


「「「「きゃー!!!戦人くんの執事服姿、カッコ良すぎる!!!」」」」


何人かの女子生徒が何やら叫び出した。

すると、後ろを振り向くと・・。

そこには・・。


「よっ!待たせたな!右代宮戦人こと、黒執事のオーナー セバスチャン参上ですよ」


(4)フリー(執事服の戦人登場)


カッコ良い黒スーツに、白い手袋を付けた青年だった。






で、そうなる前の少し前・・。


「えーと・・。ここにもねぇ・・。くそ・・。どこにあるんだよ!!俺の執事服!あれがないと、嘉音くんを救う事が出来ないって言うのに・・。」

そう焦ってしまう戦人が来たのは、倉庫室。ここにあるはず。そう思い、来たのだが・・。
なにせ、ライトが元々ないし、カーテンを締め切っているから、見つかりにくい。

「お困りのようですね・・。学生さん」
「うん?誰だ、お前は、てか・・。そう言うんだったら、一緒に服を捜してくれ」
「はぁ・・。恐らく、これだと思いますよ」

タメ息をついた男性が戦人に放り投げたのは、一つの服だった。

「あ、ありがと・・。この恩は、必ず、返すぜ!!」
「えぇ。いつでも、どうぞ」





そう言って、ここに来たのが、ほんの数分前だった。危ない、危ない・・。それにしても、助かった・・。


「ってなわけで・・。言わせて貰うぜ。嘉音、朱志香、お前らを助けに来たぜ!!




(1)嘉音と朱志香を救出?それを見た、譲治と紗音がブチギレて、恋の試練突入?
(2)黒紗音・魔王譲治VS嘉音・朱志香・戦人
(3)それを見た、女子共のパニック(ルシファーなども含める)
(4)それを見てしまった、茶屋『おっさん』が殴りこみ!
(5)フリー

story:白右鎖璃月   


第4話

ジャキーン!と必殺の決め台詞と共に嘉音と朱志香の救援に駆け付けた黒執事・戦人。
見事なまでに着こなした黒のスーツと白手袋。
周囲の女子生徒達が歓声の声を上げるのも無理も無かった。

だが…そのはまり過ぎた姿は多くの人目を惹き、結果的に恐ろしき怪物達の目をも引き付ける事となってしまったのであった。
その、怪物達とは…


「ふはははは!なんの騒ぎかと思えば、朱志香の危機に駆け付けるとなればこの私、次期当主にして茶屋『おっさん』総帥、右代宮蔵臼しか居るまいッ!!」

「いけぇねなぁ戦人、この俺様より色男を気取ろうなんざ10年早ぇぜ。」




(4)それを見てしまった、茶屋『おっさん』が殴りこみ!



どこぞの重役会議にでも出席するかのようなスーツ姿で現れる蔵臼と留弗夫。
そしてそれに続いて現れるスーツ姿の3人のおっさんと白衣のおっさん1人。
金蔵、秀吉、源次、そして南條である。

右代宮家が誇る社会の荒波に呑まれながらも必死に働く日本のお父さん達六人、これほど揃えば有る意味壮観である。


「…その表現に源次さんも含まれてるのかな…?」

「………右代宮の皆様が私の家族で御座います(キリッ)」

「良く言ったぞ源次!よくぞ譲治の手厳しいツッコミを見事に返した!!」


異様なテンションではしゃぎまわるおっさん方6名。
完全に間を外されて唖然としていた戦人達であったが…何とか気力を取り戻して当然と言えば当然な質問を開始した。


「…なぁ父さん、喫茶『おっさん』ってなんなんだよ…?」

「ふっ、愚問だよ朱志香。『メイド喫茶』に『執事喫茶』、確かに最先端である事は認めよう。だが、しかし! 現在の流行の更に先を行ってこそ、真の企業人というもの! 子供達に大人の魅力を教えてやろうではないか!おっさんのおっさんによるおっさんの為の喫茶!それが新たな時代の新境地なのだよ!!」

「……某大統領の演説の名言みたいだけど…。この場合のそれは狙う客層がおっさんだけって意味になるんじゃ…(大汗)」

「…新時代はおっさん至上主義と言う事で御座います」

「またもやでかしたぞ源次よ!良くぞ譲治の手厳しいツッコミからおっさんを守った!感動した!」


またしても異様なテンションではしゃぎまわるおっさん方6名。
収拾が付かなくなるかと思われたその時、新たに現れたそれぞれの7人目が事態を大きく動かしたのだった。


「うー!これはメイド喫茶と執事喫茶への挑戦だね!」

「お?!真里亞、何でここに?」

「騒ぎの話が初等部にも伝わったきたから急いで来たの!大丈夫、真里亞も手伝うからおっさん達になんか負けないよ!」

「え?いや、そう言う話じゃなかったんですけど…私は譲治さんと…って譲治さん?!」

「…僕のツッコミが二度に渡って切り返されるなんて…、どうやらナイフ投げ以外の腕前も源次さんからは学ばないといけないみたいだね。…戦うからには全力で行きますよ、師匠!」


魔王モードが変な方向に入ったらしく喫茶『おっさん』に対して全力で対抗意識を燃やし始めた譲治。
こうして奇しくも執事喫茶前にうみねこセブンのメンバーが集結し、譲治の「従わねば斬る!」と言わんばかりなその気迫に負けた面々はおっさん達との抗争を始める事となるのであった。


一方、嘉音と朱志香の救援に現れた筈の蔵臼とおっさん達であったが、真里亞の勝負発言を受けてさらりとその流れに乗って俄然対抗意識を燃やし始めていた。
…社会情勢の都合、変わり身の早さもまたおっさんには必要なスキルなのである…(涙)


「よっしゃあ!譲治には絶対に負けられへん!気合い入れて行くでぇ!」

「おや?わしらが店を空けていたのに何やら店が盛況ですぞ?」

「皆様方、ようやく帰って参りましたか。何時までも店員全員が店を空けてしまってはお客様にご迷惑ですよ。まぁ、私が少々お手伝いとして回しておきましたがね。ぷっくっく」

「へぇ、たった一人でこれだけ店を回せるなんて源次さん並みに凄腕だねぇ。何者だい、あんた?」

「私ですか?そうですね…呂ノ上源三と申します。いつも兄がお世話になってます」

「え?源次さんは天涯孤独じゃとわしは聞いておったんじゃが…」

「…………久しぶりだな。相変わらずお洒落な髭だな」

「ぷっくっく!兄さんも元気そうでなによりです」

(しれっと話を合わせおったぁぁ!!)


こうして、喫茶『おっさん』もまた新たな7人目を加えて抗争を開始するのであった。





「つー訳で、今から劇場版タイトルは『勝つのはどっちだ!?うみねこセブンVSおっさんセブン』に変更な」

「せめて脱線って言いなさいよぉ!ってか本気で宣言通りありえねーカオスにブッこみやがったよこの作者はあああぁッ!!」


未だ空気状態のエヴァさんは出番を用意しなかった作者にツッコミを入れてましたとさ(笑)




(1)戦闘開始、連合を組んだメイド&執事喫茶のターン!
(2)戦闘開始、7人揃った喫茶『おっさん』のターン!
(3)その頃、ロノウェを除くベアトリーチェ達幻想側の皆さんは…
(4)「こうなったら変態喫茶で対抗を!」メイド喫茶でぶっ倒れてた蒼いツインテが逆襲開始
(5)取り敢えずタイトルを戻す路線へ…。あっという間に抗争決着!
(6)「来い、ア○シズ!忌まわしいこの劇場版をブッ壊すのよ!」エヴァ様の逆シャアモード開始
(7)フリー

story:KENM   


第5話

「ふっ。源三を入れ、我らの布陣は完璧だ。さぁ、かかって来るがよい!」

 マントを翻し、仁王立ちする金蔵。後ろにはおっさんセブンの面々が控えている。

「姉さん、あの源三さんって人、ロノウェ様に似てないかい?」
「そうね。でも、世の中に似た人は3人いるっていうし、源次様が弟さんだって言うんだから」
「そうだね。ロノウェ様がこんな所にいる筈ないし」

「ったく、祖父様といい、親父といい、何盛り上がってるんだか」
「何だ? 戦人。俺が怖いのか。ま、所詮子供だ。俺のダンディな魅力には敵わねぇよな」
「な、何を? 親父こそ、年甲斐もなく張り切って、ぎっくり腰とかなっても知らねぇぜ」

「譲治……まさか、こんなに早くおまえと対決する日が来るとはな」
「父さんの息子として、右代宮家の男子として、負ける訳にはいかないね」

 火花を散らす二組の父と子。

「あの譲治先輩……」
「あー、無理だぜ。紗音。ああなった譲治兄さんは早々止められないよ。……自由行動なんか、抜け出してしまえばいいんだよ。紗音さえその気なら、いくらでも手を貸すぜ」
「本当?」
「任しとけ! 2人の友情にかけて全力で力を貸すぜ」
「ありがとう。私も朱志香ちゃん応援するね」
「い、いや、私は別に…っ……」
「くすくすくす」

「そこの者達、いつまで通路をふさいでおるつもりだ」

 その言葉と共に、両者の間に歩み寄って来たのは―――


(3)その頃、ロノウェを除くベアトリーチェ達幻想側の皆さんは…


「ベアトじゃねぇか」
「うー、ベアト、いらっしゃい!」

 真里亞が、ブレザー姿のベアトリーチェ……ベアトへと駆け寄っていく。

 説明しよう!

 うみねこセブンと敵対している幻想結社「ファントム」……そのトップである黄金の魔女ベアトリーチェと、戦人達はひょんな事から、遊園地で出会い、友誼を結んでいる。
 その時のベアトリーチェが名乗った名前が「ベアト」であり、戦人達は彼女がファントムのトップと同一人物であるとは気付いていない。
 これはベアト達……ファントム側も同様だ。
 バレバレだろ! というツッコミもあるかと思うが、お約束という事で納得して貰いたい。
 ちなみに、ワルギリアも「悪義 梨亞(わるぎ りあ)」というそのままな名前で、ファントムの表の顔である「ファンタジア・エンタープライズ」の社長をしていたりする。
 詳しくは【六軒島戦隊 うみねこセブン】本編 を参照して欲しい。

 ―――以上、CMでした。

「ええい。長いわっ!」
「ベアト様……どうしてこんな所に……」
「どうしても何も招待されたからに決まっておろう。その招待主達が、こんな所で何をしておるのだ。「メイド喫茶&執事喫茶」とやら、楽しみにしておったのだが」

 ワルギリア達を従えたベアトの言葉に顔を見合わせる面々。

「いや、ちょっと、勝負を……」
「客が来てやったのだ。さっさと出迎えぬか。店が客を放っておいてどうする」

 かなり偉そうではあるが、言っている事は間違っていない。

「聞いたところによると、文化祭というのは、学生の方々が様々な展示を催す行事のようですね。勝負というならそれで競うのが筋ではないですか?」

 横にいたワルギリアの言葉に、我に返る面々。

「確かに、その通りだな」
「喫茶店なら、喫茶店らしく、売り上げで勝負という事か……望む処だぜ!」

「いざ尋常に……勝負!」


 かくして「メイド喫茶&執事喫茶」VS「茶屋『おっさん』」が幕を開けたのであった。

「い、いらっしゃいませ。お、お嬢様……」
「うむ。くるしゅうない。……戦人、おまえ固いぞ。もっとこう優雅に出来んのか」
「無茶言うなよ。むず痒いの我慢してんだぞ……てっ!」
「うー! お兄ちゃん、お客様相手にその言葉使いは駄目だよ。ベアトお姉ちゃん、いらっしゃいませ!」
「うむ、真里亞。招待ありがとう。良く似合っておるぞ」

 真里亞お手製のカードを掲げ、笑顔でメイド服姿の真里亞の頭を撫でるベアト。

「ほら、執事。さっさと案内せい」
「へいへい……痛っ。……かしこまりました。お嬢様」

 ベアトの手を取り、席へと導く戦人。

「うんうん。中々盛況だな♪ やるからには父さん達には負けねぇぜ」
「朱志香ちゃん……なんで僕まで着替えないといけないのかな。僕は、このクラスの人間じゃないんだけど……」

 無理やり着せられた執事服に、釈然としない表情の譲治。

「固い事いいっこなしだぜ。おっさん茶屋がありなんだから、飛び入りだってありに決まってるだろ。それを言うなら、真里亞だって、小等部だし、問題ないって」
「いや、まぁ、そうかもしれないけど、僕は戦人くんみたいなイケメンじゃないし」
「譲治くんと言ったかしら。甘いわ! 萌えというのはイケメンだけでは駄目なのよ。色々なタイプを揃えてこそ、様々なお客様のニーズに応える事が出来るの。正統派なイケメンはもちろん、優しい好青年タイプも需要はあるのよ。ねぇ、紗音ちゃん!」

 握り拳片手に熱く語る萌先生。

「は、はい。あの……とても……素敵だと思います」
「あ、ありがとう」

「うんうん。かなりいい感じね。嘉音くんのメイド、強力な武器になるんだけど……」
「か、嘉音くんは渡さねぇからな!」
「じ、朱志香さん、それは……」
「あ、いや、そういう意味じゃなくて」
「朱志香さん、嘉音くんのメイド姿可愛いと思うわよ。見てみたくない?」
「え、いや、確かに似合うと思うけど……いやいやいや」
「……残念。ま、いいわ。その内機会を見て……」
「はっくしゅん! 悪寒が……」

 その頃、茶屋「おっさん」では―――

「む。源三とやら、中々出来るな。その手つきは只者ではない」

 源三―――ロノウェの給仕に唸る金蔵。

「よければ、源次と一緒に右代宮家に仕えぬか。郷田も心強かろう」
「ありがとうございます。……ですが、私の主は既に決まっておりますので」
「そうか。お主程の男が見込んだのなら、さぞかし良い主なのであろうな」
「……ぷっくっく。良い主かどうかは疑問ですが……」

 賑やかな「メイド喫茶&執事喫茶」の方を見て目を細めるロノウェ。

「私がお仕えしたいと思う主は、あの方ただお一人ですから」


(1)「メイド喫茶&執事喫茶」引き続き営業中。
(2)茶屋『おっさん』。おっさん達の逆襲が始まる。
(3)新たな来客が登場。その正体は?
(4)そろそろステージでも動きがあるかも……。
(5)料理対決に強敵登場。食材不足のピンチ到来。
(6)「鯖同盟」の屋台に、強力な助っ人参戦!
(7)謎の主従が登場。2人が向かうのは―――
(8)3人組は、文化祭を満喫中。お尻にはご注意下さい。
(9)エヴァ待機中。予告以外での出番はあるのか―――
(10)フリー 

story:祐貴   


第6話

「この『そよ風に運ばれた爽やかなるランチセット」を1つください〜」

「かしこまりました、お嬢様…って誰だぁ?こんなネーミングにしたのはッ!?」



「いやぁ食った食った…カード使える?現金忘れてきたんだけど?」

「小此木社長……奥で皿洗いをしていってや…」


お昼時にさしかかり、それぞれの喫茶店も忙しさをまし、もはや当初の目的も忘れて、皆が皆忙しく動き回っていた。

(そういえば、母さんたちはどうしたんだろう……)

子供や旦那が参加すると言うことで、こちらに向かってるはずなのだが……
 ・
 ・
 ・
「夏妃姉さん、こっちはステージじゃないかしら?」

「あ…ごめんなさい、勘違いしてしまったみたいです…」

その頃、熟女たちは道に迷っていた。


(4)そろそろステージでも動きがあるかも……。


道案内を買って出た夏妃だったが、気持ちが急くあまり喫茶店ではなく先に舞台の方に来てしまったのだった。

「あらら〜これじゃあランチには間に合わないかもねぇ」

「くっ!急げばまだなんとかなります!」

「…?ちょっと待って……貴方たち、どうしたの?」

絵羽の嫌味を受け、喫茶店に急ごうとする夏妃。しかし霧江が、寄り添いサメザメと泣く女生徒たちの存在に気がつく。一刻も早く子供たちのところに向かいたいと思いつつも、そこはセブンのお母さんたち、困っている子らをほっとけはできなかった。

「およよよよ……私たちは演劇部なのですが…」

彼女たちが言うには、文化祭の出し物で「シンデレラ」を演じることになったが何人かの部員がインフルエンザで休んでしまい、劇ができなくて困っているらしい。

「せっかくの晴れ舞台なのに…」

「そういうことなら、私たちも手伝うわ!」

「えっ!本当ですか!?ありがとうございます!それでは…えっと…」

「夏妃です。貴方たちの足を引っ張らない程度には頑張って見せますので雑用でも何でも遠慮なく言ってください」

ランチに間に合わないが、彼女たちの青春の1ページをより良いものにできるのであれば朱志香も許してくれるだろう、と夏妃は考える。

「シンデレラ役をお願いします」

ちょっとお待ちなさい

夏妃は即答で突っ込みを入れる。あれ?この子何を言ってるの?照明係とか、背景セットを運んだりとか、演技するにもエキストラ的なものを想像してたのに…主役!?

「わ、私たちは通りすがりですよ?しかもおばさんですよ?なんで主役を…」

「お願いします!イメージぴったりなんです!!」

「…ところで、インフルエンザにかかった学生って何人いるの?どの役の子たちなの?」

霧江が気になって、問いかける。


「え〜っと、シンデレラ、継母、意地悪姉1、意地悪姉2、魔女、王子様…」

「ほぼ全員じゃない!」

「大丈夫、皆さんオーラが違いますし、なんとかなります!!特にチャイナ服の方は継母や意地悪姉にぴったりです!」

「自覚はしてるけど、改めてはっきり言われるとムカツクわね……でも面白そうじゃな〜い♪いいわ、おねえさんたちが手伝ってあげちゃう。夏妃姉さんも、何でもやるって言ったんだから参加しないとダメよぉ」

「ふふふ、何事も経験ってところね」

「まだ時間がありますので、きっと大丈夫ですよ、ハイこれ台本」

「な、なんで、こんなことに!?…え、えっと…『すいません、お義母様、掃除はまだすんでいなくて…』」

「ここの演出は、こうしたほうがよくないかしら?」

「おお、なるほど」

「ていうか、ここまで人がいないなら、いっそ別の出し物にしてしまうのも手ね」

「(プルルルル)…あ、真里亞?聞いて聞いて、お母さん女優デビューよ!」

そして必死に台詞を覚える夏妃をよそに、他3人はノリノリであった。



(1)演技なら任せろ!とばかりに???が劇に乱入。
(2)なんのかんので無事に劇は終了、次なる演目は?
(3)セブンとおっさん、喫茶店対決に動きあり。
(4)茶屋『おっさん』。おっさん達の逆襲が始まる。
(5)料理対決に強敵登場。食材不足のピンチ到来。
(6)「鯖同盟」の屋台に、強力な助っ人参戦!
(7)謎の主従が登場。2人が向かうのは―――
(8)3人組は、文化祭を満喫中。お尻にはご注意下さい。
(9)待機中のエヴァ、暇すぎてプチプチに手をつける。
(10)フリー 

story:らいた   


第7話


→(9)待機中のエヴァ、暇すぎてプチプチに手をつける。



 『人が人に罰を与えるなどとっ!!』
 『私、シャア・アズ○ブルが粛清しよう言うのだア○ロっ!!』
 『エゴだよ、それは……!!』
 暇つぶしに付けていたテレビからそんな声が聞こえてくるがエヴァは特に気にするでもなく大きなあくびをしていた。
 「……ふふぁぁぁぁあああああ……退屈ねぇ……」
 ファントムの本部では主要なメンバーが出払っていて今は緊急時の時のための留守番という
名目の元にエヴァだけが残っている、もちろんそれはあくまで建前であり実際にはエヴァを連れていくとどんな騒ぎを起こすか分かったものではないからである。
 「……ん?……んん…………」
 何気なく手を伸ばすとそこにあったのは品物を傷つけないように宅急便の荷物などに入っている『ぷちぷち』だった、エヴァはほとんど条件反射でその『ぷちぷち』を潰しだす。 そう理由などない、『ぷちぷち』を見れば潰したくなる、それは人の本能なのである。

 ぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷち
 ぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷち
 ぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷち
 ぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷち
 ぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷち…………



 「だぁぁぁあああああああああっ!!!! やってられるかぁぁぁああああああああああああああっっっ!!!!!!」
 
だ〜〜〜〜!!と全部潰し終わった『ぷちぷち』を放り投げるエヴァ。
 「……って言うか、このあたしが留守番とかありえないわぁっ! そうねぇ? こうなったらこのポップでキュ〜トなエヴァ様が学園祭を惨劇と言う名の演出で盛り上げてあげるわよぉ〜〜〜〜?」
 そう言うや否やケーンを握って立ち上がる、そしてテレビを消そうとリモコンを手にした。
 『……ア○シズ行け! 忌まわしい記憶と共に!』
 テレビの画面の中で赤いモビルスーツに乗った男がそう言うのが聞こえた、そのセリフを聞いたエヴァはある妙案を思い付きにやりと笑うのだった。


 まったくいきなり酷い目にあったものだとまだ痛む顔を擦りながら蒼いツインテールこと古戸ヱリカは思う。
 「……それにして本当のどいつもこいつも浮かれて……」
 廊下を歩きながら面白くなさそうに呟く、ファントムの侵攻という現実があってなお自分達は無関係とでも思っているかの様に笑い合いふざけ合う学生達、この平穏な日常がちょっとした事で壊れさる事など想像もしていないに違いない。
 「……まあ、いいですわ。 学園の構造等はだいたい把握出来ましたし後はいつ行動を起こすか……ですわね……」
 そうなればこの学園祭は阿鼻叫喚の地獄へと変る、その光景を想像し思わずにやにやしてしまう。 だから自分が階段へとやって来た事に気が付いていなかった、不意に前へ足した足元の感覚がなくなる。
 「……へ?……って、あきゃぁぁぁああああああああああああああっっっ!!!!?」
 バランスを崩し階段下へと転げ落ちて行くヱリカ、幸いにも階段には他には誰もいなかったため誰も巻き込む事はなく落下し下の階の廊下へと顔面から突っ込んで行った。
 しかし彼女の災難はそれで終わらず、そこへスキップしながやって来た十歳くらいの少女がタイミングよくヱリカの頭をふんずけた。
 「……むぎゅっ!!!?」
 「……あれ? 何か踏んだ?」
 「た、大変だ! 女の子が階段から落ちたぞ!?」
 「誰か急いで先生を呼べっ! いや保健室へ運んだ方がいいか!?」
 「ちょっと待て! 今保健室にいるのは偽時乃 阿観馬(にせときの あみば)先生だぞ!? それは余計やばいってっ!!!!」 
 「何!? あの名医の北斗野 朱鷺(ほくとの とき)先生の留守中に保健室に来る生徒を人体実験してるって噂のあの迷物先生かよ!?」
 階段の下にいた生徒達が口々に叫びピンポイントで小規模ではあるが阿鼻叫喚の地獄へと変る。
 そんな彼らが長い銀髪のてっぺんに立つアホ毛をピコピコと揺らしながら上機嫌に去って行く少女に気が付かないのは少女が普通の人間には視えない存在――時間泥棒の魔女エターナだからだ。
 彼女はこの学園祭を楽しむ生徒達の『時間』をたくさんのキャンディーに変えてご機嫌だった、皆が心の底から楽しい時間を過ごしているだけにとても甘く美味しいキャンディーが出来たのだ。


 「うふふふふふふ〜☆ このラムダデルタとベルンカステルが『鷹野三四』と『古手梨花』に変装して学園祭に潜入しているなんてお釈迦様でも想像出来ないでしょうね?」
 「……ずいぶん楽しそうねあんた」
 『古手梨花(ベルン)』は呆れた顔で『鷹野三四(ラムダ)』を見る。 偶には自ら様子を見に出向くのも良かろうと学園祭に潜入したはいいがこれといってすることがあるでもなくぶらぶらとしている。
 暇つぶしに暴れたい気分であるが二人が直接干渉するのは今はまだ時期尚早であるとフェザリーヌ・アウグストゥス・アウローラからきつく戒められていた。
 「……さて、どうしたものかしら……?」


 (1)もう少し様子を見る。
 (2)ヱリカに攻撃命令を出す。
 (3)エヴァが何かやらかしそうなので手助けをする。
 (4)ここは人間の流儀に則りファントムにも学園祭の出店を命じ売上勝負をさせる。
 (5)とりあえずの暇つぶしにヱリカを祭具殿へ送る。
 (6)フリー。

story:アルブレード   


第8話


うみねこ学園内が文化祭で大いに賑わい沸き立っていたその頃、
学園を一望出来る高層ビルの屋上で、その老人は携帯電話と何かのスイッチを持って不敵な笑みを溢していた。
そして…


??「今日はいい天気だ。なぁ、そうは思わないか右代宮?……ククク。さあ、パーティーの始まりだ!」


カチッ。




ドゴオオオオオオオオオンッ!!





(6)フリー。



「大変です田島署長!大木奈(おおきな)橋が爆発しました!電話の男の…予告通りです!!」

「爆音はこちらまで聞こえている!貴様…法治国家たる日本で爆破テロなど…何が目的だ!?」

『目的?最初に言ったでしょう、右代宮に横領された黄金10t分相当の現金だって。これで冗談じゃない事は理解出来たな?田島警察署長殿?』


「ぐっ…右代宮とは…あの右代宮グループの事だな?」

『そう。右代宮は…金蔵は俺の手に渡る筈だった黄金を奪いやがったさ!寛大な俺様は数十年待ってやったが未だに返す素振りも音沙汰もねぇ!だから…優しい優しい俺様はこうして思い出せる様にラブコールを送ってやってんだよ』

「だったら本人が気付く様に直接話をするんだな。警察にタレ込み入れて橋を爆破する必要が何処にある!?」

『おっと失敬。そりゃあアンタの言う通りだなぁ、はははははははははははははッ!!…じゃあ愉快犯って事でいいや』

「ふざけるなッ!」

『……………だ』

「………なに?」

『次はうみねこ学園だ。猶予は今から三時間後。それまでにキッチリ用意しとけや。受け渡し方法は最初に言ったな?じゃあな』


ピッ。


「もしもし!もしもし!…くそ!切られたか。…離操君、逆探知は!?」

「うみねこ学園の周辺10キロ範囲内までは絞れました。ですが…それ以上は…」

「黒崎警部、門都と御智を連れて直ちに学園周辺に急行し犯人の捜索、確保に向かいたまえ!離操君はオペレーターとして彼等のバックアップだ。所轄の底力を見せてやれッ!!」

「「「「はいっ!!」」」」

「私は自衛隊の爆発物処理班の出動要請を掛ける!あと本庁のSATにもだ!今はまだ犯人の出方次第だが…場合によっては、うみねこ学園を封鎖する!!」





またもやKENMさんの暴走でシリアスルート、『劇場版 六軒島戦隊 うみねこセブン 〜うみねこ学園を封鎖せよ〜』が追加されました。



(1)テロ予告情報が金蔵の元に届き…、「うみねこセブン、爆弾処理ミッションスタートだ!」
(2)家族で文化祭を訪れていた赤坂、野生の勘で仕掛けられた爆弾を発見。
(3)そんな事など露知らず、メイド喫茶&執事喫茶VS喫茶『おっさん』の売上げ対決は大いに白熱していた。
(4)奥様達の劇が開幕。大急ぎの練習の成果は…
(5)阿観馬先生に捕まったヱリカ。昼なのに死兆星が見えたそうな…
(6)映画の影響を受けたエヴァ様、巨大なお菓子の隕石の製造に着手。
(7)喫茶店を満喫した幻想側の皆さん、スタンプラリーを発見して学園内の催し物の制覇に乗り出す。
(8)フリー

story:KENM   


第9話

執事喫茶を満足した後、幻想組のメンバーは、散りじりとなっていた・・。

目的は、唯一つ!『スタンプラリーの制覇!!』

だが・・。暗雲が今にも、漂っている事を知らない彼らの行動を少しばかり見てみる事にしよう。

まぁ、あくまで・・。見聞というカタチではない、というわけで、彼女の行動を見てみよう。



(8)フリー






ベアト「むぅ・・。お師匠様も、ロノウェも・・。喫茶店の手伝いに行っちゃったし・・。ガァプは、適当にどっか行ったし、ヒマじゃのぅ・・。」

そんな事を言うのは、ファントムのボスのベアトリーチェだった。が、普段は、こんな風に、遊園地から出れるはずはないと思うのだが・・。
そこは、スルーしておくとしよう。

で、そんなベアトの仲間のうち、ワルギリアは、『鯖同盟』の手伝いに・・。ロノウェは、『茶屋:おっさん』の手伝いに・・。
ガァプはと言うと、何処かへ行ってしまい、今は・・。彼女一人なのだ。

そんな一人ぼっちの彼女は、フラリと・・。歩いていると・・。


ドサッ


肩と肩がぶつかりあって、目と目が合ってしまう。


「「あっ・・。」」


目が合うと、そこには・・。自分と同じぐらいの髪の長さに、紅に近い茶色と焦げ茶の瞳。
身長は、戦人より10p短く、体型は、やや細め。
唯、服が・・。うみねこ学園の冬服とは・・。似ていたりするが、違うブレザーの制服を着ていた。


「え、えーと・・。ご、ゴメンなさい!!あの・・。大丈夫ですか?」
「平気だ。そなたの方は大丈夫か・・?」
「あっ、はい。私、こう見えても、頑丈な体をしていますので、あ、後・・。
 肩と肩がぶつかりあって、怪我をするのは、紫外線を浴びない人だと聞いていますし」

ニコニコと笑う少女。

だが・・。その笑みには、薄らだが影が見えていた。


「そうか」
「あっ、すいません・・。とりあえず、私と一緒に回りませんか?」
「いや・・。良い。それよりも、そなたの名は?」
「…。琴宮朝奈。高校三年生です」



琴宮朝奈・・。

うみねこセブンから更に派生した世界で生まれた1人の女子高校生。
生涯天涯孤独の身で、おまけに・・。クラスから苛められている。

そんな彼女は・・。文化祭を満喫しようと必死だったに違いない・・。



「そうか・・。では、朝奈。機会があれば、また、逢おうぞ」
「はい。それでは・・。また」


そう言って、ベアトが文化祭の模擬店を捜しに行ったのを見届けた後、私は、携帯電話を取り出す。

「…。よりにもよって、この日に爆破テロなんて、馬鹿げていますね・・。これは・・。貴方の仕業ですか?“右代宮家を憎むモノ”

そんな事を呟きながら・・。私は、ポケットにそれを入れ直し、静かに前を見る。

すると、そこには・・。






「ウィル、見慣れない人が居ますよ」
「うん?てめェは・・。誰だ」
「敵・・。には、視えませんね・・。」

目の前に居るのは、女二人、男一人。

しかも、ifの世界の住人と蒼色の制服。


三者三様、そんな気持ちでいっぱいだろう・・。

何故なら・・。私は、この世界に居ても、彼らと出逢う確率がとてつもなく低いのだから・・。


「えーと、初めまして・・。ですよね?」
「そうだな。お前に逢った記憶なんかねェよ」
「ですね。では、自己紹介・・。してもよろしいでしょうか?」
「構わないぜ。その様子だとお前も、俺たちの事は、知らないようだがな・・。」
「うーん、知っているか知っていないかは、保留にさせてね・・。私の名前は、神坂美佳」


深呼吸した後、静かに・・。言った。



「貴方がたと同じ、別の世界から言わば、戦士候補生です」


「「「はぃ???」」」


「ですから!!うみねこセブン候補生だと言っているのです!!理解して下さい!!」
「えーと・・。仮に、美佳さんが・・。その候補生だとします。では、何故に、来たのですか?」
「それが私たちは、知りたいのです」
「…。ここに、見えざる脅威が来る。って、さっき、警察から連絡があったから」


「「「なんだって!!!!!?????」」」


「言っとくけど・・。私は、それの用で来たのもあるけど・・。別の用で来たからね。はぁ・・。あのさ、3人に聞いて良い?」
「良いですけど・・。何でしょうか?」
「…。どっかに、時空の切れ間とかないよね・・。あったら、教えて欲しいんだ。もしかしたら、元の世界に戻れるかもしれないから」
「―――― 見つけ次第、連絡してやる。それよりも、さっきの事、詳しく教えてくれ」
「えーとね・・。簡単に言うよ。爆破テロ発生しました。次の目的地は・・。ここだってさ」


さぁ、うみねこ学園どうなる!!


というわけで、作者の暴走により、『うみねこセブン 〜虚空からの使者〜』が追加されました。


選択肢!!!


1.ベアト様、模擬店到着。そこでは、なんと・・。アイゼルネ組が働いていた!!
2.七杭組、執事・メイド喫茶連合の助っ人に!!ルシ姉の恋の行方は!!
3.ベアトの配下3人組は、相変わらず、喫茶店の手伝い。
4.謎の3人組、行動開始。そこで、ばったり・・。
5.ベルンとラムダ、文化祭で大暴れ!!それを止めたのは・・。
6.右代宮を憎む人の行動
7.フリー

story:白右鎖璃月   


第10話
 
  →6.右代宮を憎む人の行動


 理事長室で金蔵は苦渋の表情を浮かべていた、それは先程警察から連絡があった『爆破テロの件』が原因である。 この緊急事態に茶屋『おっさん』を抜けて戻って来た源次もまた動揺を隠せないでいた。
 「……あやつか……何たる暴挙を……」
 自分一人を狙うなら良い、だが金蔵の家族はおろか無関係な人間まで巻き込むなど外道としか言いようがない。
 「……生徒達を避難させようとすれば即爆破……という可能性もありえますか……ならばここは戦人様達に……?」
 「それはいかん! 相手は人間なのだぞ!?」
 確かに相手は犯罪者――悪人であるがそれでも人間なのだ、戦闘において遅れをとることはないが対人戦闘をするには【バトルスーツ】の性能は高すぎる、彼らが加減をひとつ間違えれば相手の命を奪ってしまう恐れもある。 孫達にそんな事を、『人殺し』をさせるわけにはいかない。
 「……だが……どうする!?」
 黄金など渡しても構わないと言えば構わない、当然人命には変えられるものではないからだ。、しかしこんな暴挙をする人間においそれと渡せるほど軽いものでもない。 
 それは単に金銭的価値だけではないのを源次も良く知っていた、だからこそ彼も金蔵に素直に黄金を渡せばいいと言えないでいた。



 「……はぁ!? 爆弾テロですってぇ?」
 「ええ、そうらしいわよリーア」
 人気のない校舎裏でそんな会話をするのはワルギリアとガァプだった、突然に一部の教師達の動きが慌ただしくなったのを不審に思ったガァプがシエスタ達に調べさせたところそんな事件が起こっているらしいとの報告があった。
 「狙われているのはこの学園ですか……」
 「ええ、茶屋を手伝っていたロノウェにはいざという時のためにリーチェの傍にいるよう頼んだわ」
 自分達には関係ないと言う事は容易い、しかし先程まで見ていた学園祭に集う生徒や一般の人々、何も知らずこの学園祭を楽しみ笑い合う彼らが爆弾で消し跳んでしまうという事を想像してしまうとそう言えないワルギリアだった。 何より今日のベアトリーチェはファントムのトップではなく一人の少女としてこの学園祭を謳歌している、それを台無しにしたくはない。
 「……人間が人間を殺す……それも無関係な者達を巻き込んで、何という悪行ですか……」
 言ってから悪の組織の幹部らしくないなとワルギリアは気が付く、それはガァプも同じだったがもちろんそれを笑う気はない、同じような憤りをガァプもまた感じていた。
 「……とにかく爆弾を探しましょうリーチェ、『ファンタジア社員』を……魔法で人間の姿にしている黒山羊達を呼び出して!! 場所が分かれば後はあたしが何とかするから……」
 人間の警察も動いている様だがどこまで当てになるかは未知数である、阻止するつもりなら自分達でも動くしかないとガァプは考える。 もちろんガァプは爆弾の解体など出来ないが、彼女の能力なら被害の出ない場所へ素早く爆弾を捨てるくらいは出来る。 
 「まったく……自分は直接手を下さずに多くの命を一瞬にして奪う爆弾って何て武器なのよ! あたしらの『魔法』より人間の作る武器や兵器の方が達が悪いじゃないのよっ!!!」
 自分が殺す相手の顔すら見ずに多くの命を奪うゆえにおそらく犯人は人を殺したという実感すら覚えないだろう、それはニュースなどで聞く死者の数字と同じだ。 何千人死のうがどこか遠くの世界の出来ごとの様に思えて実感のないそんな感覚……。
 この犯人もそう思っているんだろうと思うとガァブは吐気がする思いだった。


 学園の屋上は無人だった、だから秘密の通信にはちょうど良い。
 「そりゃ分かってますけど、だからってお嬢達に人間を傷つけるような戦いはさせられんでしょう!?」
 傷つけるだけならまだいいがもし万が一にもその手を汚してしまえば二度と戻れないのだ。 それを良く知るからそ天草は縁寿達にも協力を要請すべきという『彼』に異を唱えていた。
 『……それは俺だって同じだ、秀吉さんの息子やその仲間にそんな事はさせたくない……だが『昔の仲間』はそうすぐには集められんぞ『雲雀13』……』
 自分の事をうっかり昔のコードネームで呼んでしまうことからも電話の向こうの相手も焦っているなと天草は思うが今はそんな事を気にしている場合ではない。
 「とにかく汚れ仕事になろうってんなら俺がいくらでもやりますから! あんたは出来るだけの情報を集めてくださいや『鳳01』……いや、小此木隊長!!」


 
 「……なあ、兄貴……俺達こんなことしていていいのかよ?」
 留弗夫が小声で蔵臼に訊ねる、彼らは表面上は変わらず茶屋『おっさん』を続けていたが先程一旦戻って来た源次からテロ事件を聞かされてからは気が気でならなかった。
 「……分かってはいるが……しかしこの事を朱志香達、特に戦人君あたりが知ったらすぐに飛びだしていくぞ?」
 「そうやな……それに一般の生徒や来客に知れ渡ったら大パニックや……わしらはとにかく皆に気づかれへんように茶屋『おっさん』を続けるしかないで……」
 蔵臼や秀吉もそうは言うものの内心では悔しい思いでいっぱいだった、自分達だけが逃げ出すという真似をしない事だけが現時点で彼らに出来る犯人への抵抗なのだ。
 「ファントムなんて敵が現れて……大人が何も出来ないから子供達が奴らと戦ってんだぞ!?……なのに大人はそんな時にも人間が人間を殺すなんて事をしてるだと……なんてこった……」
 他人に聞こえぬよう小声ではあったがそれでも留弗夫の声に込められた憤りを二人ははっきり感じとれた……。


 (1)大人達の意地を見せろ、テロ犯対セブン大人組の対決開始。
 (2)事件は警察に任せとにかく子供達に心配はかけないよう平和な学園祭を続行。 
 (3)学園を惨劇にするのはあたし達よ! エヴァ&ヱリカがテロ犯と戦闘開始。
 (4)事件に気が付いた戦人達うみねこセブン出動、そこへ現れたファントムが一時休戦を提案!? 
  (5)フリー。

story:アルブレード   

《This story continues 11〜20.》


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