第11話

(3)学園を惨劇にするのはあたし達よ! エヴァ&ヱリカがテロ犯と戦闘開始。



「んふふふふ、そうねぇ、いいこと思いついっちゃったわぁー。 このうみねこ学園の連中が恐怖で戦くような演出を。 早速準備しなくちゃ」

ぷちぷちという名の暇つぶしから開放されたエヴァはにやりと笑い、腰を上げる。やることが出来て、非常に上機嫌である。
しかし、その気分は一瞬の内に霧散することとなる。それは準備のために廊下を歩いていた時のこと、噂のようなひそひそとした声が聞こえてきた。

『どうも爆弾テロが仕掛けられているらしい。 混乱を避けるため一般人には言うなよ』

声の内容を理解した瞬間、エヴァはそちらを振り向くが、話していたと思われる人物たちは既に見当たらなかった。
爆発テロ?すごい演出ね。そう誰もが恐怖するような……。
そう思案し、エヴァははっと気付く。
このままでは私の出番がまた無くなる。
コノママデハワタシノデバンガマタナクナル
コノママデハワタシノデバンガマタナクナル
大事なことなので3回言ったわけでもなく、それ程ショックなことだったので、頭の中で反芻してしまっていた。

「くっ!? まずいわぁ、すごくまずいわぁ。 またあのプチプチと向き合うなんて絶対に嫌ぁ〜」

プチプチもちょっと楽しかったとか思わないわけでもないのは心の中の秘密にしながら、エヴァは見えないテロリストへの闘志を燃やす。
そしてその怒りを見せ付けるように天に向かって叫ぶのだった。

「私の出番は渡さないわぁ〜〜〜!!!!」






時を同じくして、ヱリカは一人で廊下を歩いていた。

「まったくまたも酷い目にあってしまいましたね」

ふぅと溜息をつき、辺りを見回す。

「さて、今度こそこの学園を阿鼻叫喚の地獄に陥れてあげますよ!!」

決意を胸にさぁいざ準備を開始せん、と意気込んでいるところに、その気勢を削ぐかのようにエヴァの聞いたのと同様の噂話が聞こえてくる。
その言葉を聞いた瞬間、ヱリカの心は恐怖に打ち拉がれる。
このままでは私の見せ場が無くなる。
コノママデハワタシノミセバガナクナル
コノママデハワタシノミセバガナクナル
繰り返すが、決して大事なことなので3回言ったわけではなく、あくまで心の内で反芻してしまったためだ。
このうみねこ学園に来てからの自らの不幸体質を呪いつつ、ヱリカは見えない敵に向かって勝負を挑む決意をする。

「私の見せ場は渡さないですよ!!!!」

そう叫び早速行動を開始する。
まずは怪しい人物がいないかを確認することから始める。周囲を注意深く見渡しながら廊下を渡っていく。すると、幾分か歩いたときに、普通の人間とは違う空気を纏う男性を発見した。見た目は普通の人間と同じだが、雰囲気というか佇まいのようなものが違うのだ。普通ならば見逃してしまうだろうが、注意力に優れるヱリカにはその違和感が目立って感じたのだった。
ヱリカは自らも目立たぬよう自然体を装い、さりげなくその人物の近くまで接近し、

「あのぉ〜……」

どこか頼りなげな空気を醸し出しつつ、その男に声を掛ける。男は、うん?と返事をしヱリカの方へ特に警戒した様子もなく向き直る。そこへ、一気に空気を変え、言葉を畳み掛ける。

「爆弾テロってどうなってるか知ってるかしら?」

「……っ!!」

ど直球な質問と空気の変わり具合に戸惑った男が、息を呑むのが聞こえる。グッド!!とヱリカは心の中で叫び、男の腕を捕まえようとする。

「くっ!!」

しかし、男はヱリカの手を払いのけ、廊下を走り去っていく。

「ちっ、まてぇぇぇぇぇええええぇぇぇえぇ!!!」

大絶叫と共にヱリカは男を追っていく。






「まてぇぇぇぇえぇえええええぇぇぇえ!!」

叫び声はエヴァの所にも聞こえていた。
その方向を見ると、何やら人ごみが割れていく。そこからはた迷惑に人を押しのけて走ってくる男が見える。その少し後ろに、ツインテールの少女が走ってくる。絶叫の主はあの少女かとエヴァは納得し、追われているのが十中八九あの掛けてくる男だろうと見当をつける。
このタイミングでこの捕り物騒動、何か閃くものがエヴァの中を駆ける。
男がどんどんと近づいてくる。エヴァは数瞬の間思案し、

「てい☆」

何故か可愛らしく、男の腕を取り足を掛け転倒させる。
男は何が起こったかわからないらしく、目をぱちくりとさせている。
そうしている間に、ツインテールの少女が追いついてきた。

「はぁはぁ、ありがとうございます!」

「いえぇ〜、全然いいわぁー。それよりあなたかもしくはこの男に聞きたいことがあるのよねぇ〜」

エヴァは少女の方を向き伝える。

「私もこの男に聞きたいことがあったんですよっ! もしかして一緒ですかねっ?」

少女が少し嬉しそうにこちらに笑顔を向ける。同士を得たと思っているのかもしれない。

「そうねぇ〜。一緒かもしれないわね。じゃあ〜、この男に一緒に聞きましょ〜」

エヴァがそう提案すると、すかさず少女は同意してくる。

「じゃぁ〜、いくわよぉ〜」

「はいっ!!」

床に拘束されている男性は二人の笑顔に思わず恐怖する。

「「せ〜〜のっ」」

「「爆弾テロについて知ってることを全部吐きなさい!!」」

見事に重なった二人の言葉が男を追い詰めていく。
男は身の危険を感じ、ぽつりぽつりと話し始めた……。



(1)男が語った内容とは!テロの解決に一筋の光がさすのか!
(2)大人達の意地を見せろ、テロ犯対セブン大人組の対決開始。
(3)事件は警察に任せとにかく子供達に心配はかけないよう平和な学園祭を続行。
(4)テロ騒動が起こっているとは露知らず、ステージの奥様方は……
(5)事件に気が付いた戦人達うみねこセブン出動、そこへ現れたファントムが一時休戦を提案!?
(6)メイド喫茶&執事喫茶VS喫茶『おっさん』の売り上げ対決に新たなる展開が……
(7)フリー

story:結城 白黒   


第12話

「後2時間か……ククク。右代宮の慌てふためく様が見えるようだ」

 高層ビルの屋上に置かれたチェアーに腰掛け、にやりと笑う老人。
 手にした赤いワインが注がれたワイングラスを透かして見えるのは、赤く染まるうみねこ学園。

「あの場所が真紅の血に彩られるまで後少し……もうすぐだ。もうすぐ俺の悲願が叶う! くっくっくくく!」

 ぐいっとワインを飲み干す。

「あの黄金は、俺こそが手にするべきであったのだ。そうして、それを有意義に生かしておれば、我が日本が敗れる事はなかった。我が軍……それを統べる我が、全世界の覇者となっておったのだ。それを、あの右代宮の奴が……横から掠め取りおって……ッ!」

『貴様、あの黄金を何処にやった! あれさえあれば、我が軍は……』
『黄金? 何の事ですか? 夢でも見たのではないですか?』
『世迷言を! 貴様が隠したのであろう!』
『隠す? 俺一人でどうやって隠すというんですか? 運べる訳がないでしょう。夢でも見たんじゃないですか?』
『い、いや、そんな筈は……っ……』

「やはりあの黄金は本当にあったのだ。そうでなければ、一代でこんな財閥を築ける筈もない! 俺はずっとそう言っておったのだ。それなのに……どいつもこいつも……っ……!」
「お気持ちお察しいたします。さぞかし無念だったことでしょう。ですが、それも後少しです。山本中尉……いえ、山本大将とお呼びするべきですね」

 傍に控えた黒服、黒眼鏡の男が、山本のグラスに新たなワインを注いでおく。

「はっはっは。それはまだ時期尚早というものだ。……まぁ、後少しという処だが。それもこれもおまえの主の支援あっての事だ。感謝しておるぞ」
「中尉にそれだけの力と信念があったからこそです。どうぞ自らの信じる栄光への道を最後までお進み下さい」
「ふっ。もちろんだとも。まずは浄化の炎であの学園を焼き、利子の取立てを行うとしよう。黄金など、その後ゆっくり探せば良い。元々俺の手に入るべきものだったのだからな。はーっははははははっ!」


『……もし、黄金が実在したとしても、個人の欲望……人を傷つける為に使われるべきではない。守る為に……来るべき未来の為にこそ、在るべきだ……』

「ふん。何が来るべき未来だ。貴様とて同じではないか。軍事力ではなく、富と名声を選んだ……それだけであろう。……右代宮…金蔵…ッ!」

 握り締めた手の中でグラスが砕け散った。



 うみねこ学園、理事長室―――

「お館様……二時間を切りました」
「うむ。まだ見つからぬか……」
「はい。出来る限りの人員を動員して探させてはおりますが、うみねこ学園は広大ですから」
「この場合、広さが仇になりますな」

 隣にいた南條が、眉をひそめる。

「はい。文化祭中で生徒はもちろん、父兄達も大勢来ております。派手に動いて彼らに不審を抱かれ、情報が漏れるような事になれば、パニックが起こります」
「むむむ……やはり、黄金を渡して時間を稼ぐべきか……」
「それで収まるなら良いですが……脅しの為に橋を爆破するような奴です。悪い方に転ぶ可能性も十分ありえますぞ」
「あやつはこのような大それた事が出来る力などなかった筈だ。一体何故……っ……」
「わかりませんが……嫌な予感がしますな」
「……この学園で爆弾テロなど起こさせる訳には行かんのだ!」

「……随分物騒なお話をされておられますね」
「……!……譲治……おまえ何故ここに?」

 扉が開くと同時に飛び込んで来た声に、戸口へと振り返る3人。

「警備員達が慌しく動いていましたので、問いかけてみたら、要領を得ない返事が返って来ましたので、おかしいなと……」
「おかしいような動きはしていなかった筈ですが……」
「僕は皆の中で一番この学園の文化祭を経験しているんですよ。短時間ならともかく、ある程度時間が経てば、いつもと違う位わかります。……僕だけじゃないですよ」
「爆弾テロだって? 冗談じゃねーぜ!」
「いかれたおっさんの好き勝手にさせる訳には行かねぇな」

 譲治の後ろから、戦人と朱志香が飛び込んで来る。

「おまえ達……」
「うー。嫌な予感。ぞわぞわする……」
「最初に気付いたのは、譲治兄さんと真里亞だけど、なんか変だなってのは私達も感じてたぜ。一番学園を良く知ってるのは私達学生なんだからさ」
「心配してくれるのは嬉しいけど……水臭いぜ。俺達の学園のピンチじゃねぇか」
「この学園で私達は大切なものを知りました。皆の笑顔を守りたいです」
「僕達は、その為にここにいます」
「ファントムでなくとも、悪人は容赦しないわ」

 瞳に強い光を宿し、戸口に立つ7人。

「……うむ。お前達の気持ちは有り難い。だが、相手は人間だ。本来おまえ達が戦うべき相手ではない上に、現在所在不明。……おまえ達の力は強大だが、爆弾を防ぐ事は出来まい」
「……う……、そ、それはそうだけどよ……」
「確かにそういう意味では力不足ですが……この学園で爆弾捜索をするなら、人手はいくらあっても足りないでしょう。探す手助け位は出来ると思います」
「いや、おまえ達はここで待機だ」

「父さん!」

 逆光を背に立つ蔵臼達の姿がそこにあった。

「この後どうなるかわからない状況である以上、おまえ達を動かす訳にはいかない」
「そうやな。ファントムとの戦いは、任せるしかない。けど、対人間相手なら、わしら大人の出番や」
「そうそう。それにおまえらが動いたら目立ち過ぎるだろ。何があったのかと思われるぜ」

 確かに、それぞれ学園では目立つ存在である。不審がられる可能性は高い。

「…………だ、だけど、後二時間切ってるんだよな。大丈夫なのかよ」
「やるしかあるまい」
「……もっと時間があれば、本社から応援を呼ぶ事も出来たのですが……」

 ―――ふいに響いた呼び出し音が、重い空気を切り裂いた。

「はい。理事長室でございます。……!……お館様、ファンタジアの悪義 梨亞(わるぎ りあ)社長からお電話が入っております」
「何?」


「右代宮社長お世話になっています。会社の者達と、うみねこ学園の文化祭に来ていたのですが、爆弾テロの事を伺いまして……爆弾の解体のスキルがあるものや、腕に覚えがあるものもおります」

 携帯片手に話すワルギリア―――その視線の先には、ファンタジアの社員に扮した黒山羊達に、指示を飛ばすガァプ達の姿があった。

「よろしければお力になれればと思いまして……別々に探すより、協力した方が、より効率的に動けると思いましたので、ご連絡差し上げたのですが」



(5)事件に気が付いた戦人達うみねこセブン出動、そこへ現れたファントムが一時休戦を提案!?



「少し、失礼致します」

―――どうだ。首尾の程は。

 山本の傍から下がった黒服の男―――その眼前の空間が揺らぎ黒い闇が広がっていく。
 その奥から、響く声。

「はっ。問題ございません。すっかり欲望の虜になっております」

 黒服の視線の先……同じ色の闇が、蛇のように山本の周囲を取り巻いていた。
 闇に纏わりつかれながら、狂ったように笑う老人。

「心の闇……闇の力に取り込まれるのも、時間の問題でしょう。その時が本当の恐怖の始まりです。幻想世界と人間界が繋がる……お待ち下さいませ」

―――楽しみにしておこう。

 黒服の一礼と共に、閉じていく空間。
 後には、能面のような男と、狂気に満ちた老人だけが残されていた。



「……ちっ」
「どうしたんですか。ウィル」
「ぞわっと来たんだよ。嫌な予感がビンビンするぜ」
「やはり……ただの爆弾テロでは……済みそうもありませんね」

 天を見上げる白い女性。
 その視線の先―――晴天の筈の空が、少しずつ曇り始めていた。


(1)エヴァ&ヱリカに、男が語った内容とは!テロの解決に一筋の光がさすのか!
(2)思わぬタッグが実現。セブン大人組&ファントム共同戦線の行方は?
(3)更なる協力者現る。その正体は―――
(4)テロ騒動から生徒達の目を逸らす為、奮闘する奥様達。
(5)一斉ミッションスタート! 皆で学園を守れ!
(6)爆弾解体成功! ……それは、新たな事件の幕開けだった。
(7)フリー

story:祐貴   


第13話

「大きなノッポの古時計かぁ」
「アンティークの置時計です…あんたどういう耳してやがるんですか?…まぁ多分間違ってなさそうですけど」

エヴァとヱリカに拘束された怪しき男は、とてもとても文章では言い表す事のできない拷問の数々を受けて知ってることを洗いざらい(いや途中で気絶したので全部ではないが)白状した。


(1)エヴァ&ヱリカに、男が語った内容とは!テロの解決に一筋の光がさすのか!


そこで二人が知った最重要事項、爆弾の隠し場所。それはうみねこ学園が誇る中央塔巨大時計。

あまりにも巨大なため、その内部は歯車に囲まれていながらも、かなり広い空間のため物置替わりにもなっているのだが、その中に古びたホールクロックがひっそりと安置されており、その時計に爆弾をセットしたのだという。

「時計の中の時計に時限爆弾をセットって…どんだけ時計好きなんだって話よねぇ。おまけに上部のつまみを左にずらすだけで解除できるなんて、やる気なさすぎ〜」

「もともと時間が来れば爆発する代物なのだから、置時計にわざわざ繋げて解除機構を備えさせる必要は無かったはずです………依頼主がやる気満々でも、仕掛けたこいつは、土壇場で怖気づいたんで、そんな余計なことをしてしまったんでしょうね。つまらないヤローです」

エヴァのツッコミに対して、ヱリカは冷静に分析し床に這い蹲るように横たわって寝てる男を見下した。
実際のところは学園祭を楽しむ学生たちの笑顔を見て、良心が咎めたことによる行動だったのだが、そこまでは今のヱリカには理解できなかった。

「で、どうする?」
「そうですねぇ……」

やりとりの一部始終を、ワルギリアの指示を受けて爆弾の捜索をしていた山羊さんの一人が物陰からこっそり観察していたことに二人は気づかなかった。
ワルギリアたちに報告するため、慣れない人の姿が解けないよう気をつけながら、山羊さんはその場を離れ駆け出した。




「あった……アレね……」

その頃、中央塔巨大時計の中で、霧江が問題のアンティーク時計(正確にはそれにセットされている爆弾)を発見していた。

留弗夫から連絡を受けた霧江は演劇の準備を適当な理由で抜け出し独自の調査をしていた。
破壊するならばこの学園の象徴、かつ、人目に触れない場所だろうとアタリをつけての捜索は見事に功を奏したのだった。

「さて、解除はどうすればいいのかしらね………!!!」

爆弾の解除に悩む霧江を頭上より急襲するは黒服黒眼鏡の男。
先ほどまで遠く離れた場所で山本中尉といたこの男が一瞬にしてこの場に現れたのはいかなる能力なのだろうか?
人の姿には不釣合いなほど巨大で禍々しいカギ爪が霧江に対して振り降ろされ、その身を切り裂いた。しかし切り裂かれた霧江の姿は薄らぎ影も形も無く消え去った。

「超高速による残像…手傷は負わせたようですが逃げられましたか……只者ではなかったようですね」
点々と血痕が続く入り口のドアがバタンと閉じる音がする。
その音を耳にしながら、男は自分の凍った鍵爪を見て呟いた。
しかしその凍傷も、鍵爪から普通の人の手に戻っていく過程で消えていく。

「我等の力を持ってすれば、この学園を破壊しつくすことなど容易い。しかしあの方は、人が作りし殺傷兵器が人の意思によって同胞を亡き者にすること、その行為を尊重された。そしてその気高き魂を贄とし扉は開かれる……ならば私は、邪魔せんとする者達を排除するのみ……」

獲物を逃したからには、爆弾を止めようとする者が直に来るはず。それらを叩きのめさんと黒服の男は黒眼鏡の位置を直しながら静かに待ち構えた。



(1)うみねこセブンVS謎の敵、時計塔にて決戦!
(2)惨劇をつむぐは私たちよ!エヴァ&ヱリカ大暴れ!
(3)山本中尉の前に、現れたのは……
(4)古手梨花(ベルン)と鷹野三四(ラムダ)動く!
(5)ひっそりと大月教授の講演会が開かれる
(6)妾を差し置いて勝手なことはさせない!ファントムが…!?
(7)動き出す事件に謎の3人組は……。
(8)フリー

story:らいた   


第14話

「ああ、ロミオ!どうして私はお城の舞踏会へは行けないの!?」

「思いっきり台詞間違ってんじゃないわよシンデレラアアァァ!!」



スパーン!と継母役の絵羽が振るったハリセンの快音が舞台上に木霊する。
後頭部を強打されてつんのめる様にぶっ倒れるシンデレラ役の夏妃。
…結局テロ事件の騒動で霧江までも欠いてしまった奥様方の演劇公演はシンデレラと継母の台詞間違いにツッコミのハリセンと言うどつき漫才コントの場と化していた。

まぁ、グダグダではあったものの絵羽のツッコミが秀吉による本場仕込み(笑)で有った効果もあり、集客率はかなり上々ではあった。


「…何ていうか…。斬新なシンデレラねぇ…(汗)」

「って言うか意地悪姉1と王子様の一人二役ってどうなのこれ?もうちょっと先の靴合わせのシーン…まさか右半身と左半身で服装チェンジとかやらかす気かしら?」


ポップコーンをリス状態で頬張りながら意地悪姉1兼王子様役の楼座の二役無双がどうなるのかをぽつぽつと閑談しながら演劇を観賞する古手梨花(ベルン)と鷹野三四(ラムダ)。
楽しげに見ていたラムダと相変わらずの無表情で眺めていたベルンだったが…
演劇の幕間を見計らって、その表情が不意に真面目なものへと変わる。


「……この演劇、随分とぶっ飛んだ内容になってるけど、この大騒ぎなお祭りコントのお陰でテロの件の警備の違和感を殆どの一般人に気付かれない様にしているわ」

「陽動を兼ねてるって訳ね。やっぱり人間って中々侮れないわねぇ。…あら?」

「…?どうかしたの?急に余所見なんかして……って、…何あれ、空間の…裂け目?」

「…くす。どうやらこの体育館でも何かしらの一騒動は起こる事になりそうね」







「ふむ。新手は二人…か」


両の腕を巨大な鍵爪と化して新たに爆弾の解除の為に現れた者達と相対する黒服黒眼鏡の男。
そのぞっとするほどの威圧感を全身で受けつつも、怯む事無く眼前の敵に不敵な笑みを見せる二人の魔女。
爆弾の位置を聞き出し、早々に駆け付けた古戸ヱリカとエヴァの二人だった。


「その時計に仕掛けられた爆弾、私達が解除させて頂きますわよ」

「大人しく消えちゃわないと…ヘソ噛んで死んじゃう事になるわよぉ?」


自身が持つ黄金の杖を振るって男を威圧するエヴァ。
男の表情は黒眼鏡越しとなりその眼が何を思っていたのかはヱリカ達には読み取れなかったが…その口元邪悪な冷笑を浮かべた時点で予想は付いていた。


(2)惨劇をつむぐは私たちよ!エヴァ&ヱリカ大暴れ!


双方共に爆弾を刺激する訳には行かないと判断し、接近戦の装備を整えて交戦を開始するヱリカ、エヴァ、そして黒服の男。

ヱリカとエヴァの連携は即席ながら見事なものであり、
振るわれる杖と鎌は共に弾きあう事も無く男の鍵爪へとヒットし、男を少しづつ追い詰めていった。


「これはこれは。思ったよりは…できるな」

「この期に及んで余裕がある振りなんてみっともないだけですよ。私の予想では……あと20手で詰みですわ!」


勝利宣言と共に勢い良く振るわれたヱリカの鎌が男の左腕の鍵爪を叩き砕く。
次いで連携で仕掛けたエヴァの杖が男の左腕の鍵爪を叩き砕く。


軽く舌打ちしてから間合いを取るべく後方へと勢いよく下がる黒服の男。
その動きを読んでいたヱリカの鎌の一閃が男の左肩を深々と斬り裂く。


「グッ!!」

「これで15手目!さぁ、大人しく降参なさい!!」


自身が宣言した手数で決めようと更に加速させて鎌を振るうヱリカ。
16、17、18、19!…あと一つで……この男は壁を背にして追い詰められるッ!!


ヱリカの予想通りのシチュエーションで見事に時計塔の壁に男の背が預けられる。
それでヱリカは自身の勝利を疑わなかった。


………しかし………




最後の一撃が…振り被ったまま振るわれない。
共に追い詰めていたエヴァもまた同じだった。

ヱリカの一撃が躱されようものならばと黄金の杖が高々と振り被られ、二の太刀として備えられていたにも拘らず…。

その場で彫像の様に二人とも動かなくなってしまった。


「…動け……ない……」

「な……何で…なの…よぉ?」

「…【影縫い】だ。いや、正確には私の影の手足でお前達を捕えたと言った方が正しいのかな」


そう指摘されてからヱリカとエヴァはこのうっすらとした時計塔内の物置部屋の床に日差しとは関係無く自由に蠢く『影』の存在に気付く。
本体の黒服の動きとは一切のリンクを持たず、その形状さえも人型では無く今はロープ状となってそれぞれの両の手足や全身を拘束して見せている『生きた影』に。


「さて、まだまだ新手が来るやも知れぬのでな。お前達には」


ザシュッ!ザシュッ!


「早々に死んで頂こう」


何時の間にか再生させていた黒服の男の両腕の鍵爪によってヱリカとエヴァは斬り裂かれ、
そのままロープ状から巨大な獣の口へと更に姿を変えた『生きた影』に喰われる様に呑み込まれて消え去っていった。


「……。さて、次に現れるのはどの様な者達か。…ククク…」


ヱリカが斬り裂いた左肩の傷をも既に癒し、何事も無かったかの様に黒服の男は黒眼鏡の位置を直しながら、再び静かに新たな敵の襲来を待ち構えていた。




(1)うみねこセブンVS謎の敵、時計塔にて決戦!
(2)「随分な事やってくれたじゃねぇかッ!」ファントムの怒りの逆襲が始まる
(3)山本中尉の前に、現れたのは……
(4)奥様達のコントな演劇も佳境に入っていたその時…
(5)ひっそりと大月教授の講演会が開かれる
(6)妾を差し置いて勝手なことはさせない!ファントムが…!?
(7)動き出す事件に謎の3人組は……。
(8)瀕死に陥ったヱリカとエヴァ、敗れたとはいえキッチリと置き土産は残していた
(9)古手梨花(ベルン)と鷹野三四(ラムダ)、そろそろ行動を開始する。
(10)フリー

story:KENM   


第15話

 
  →(4)奥様達のコントな演劇も佳境に入っていたその時…

 空間の裂け目から現われたのコウモリの様な姿をした異形の者だった。
 「くっくっくっくっくっ! 我が名はチョコ・ザイナー! 人間共よ、今からこの俺様が恐怖のどん底に叩きこんでやるぜぇ!!」
 突然の襲撃に観劇をしていた生徒達が騒然となる、それはあまりにも非現実的な光景だったがファントムの襲撃という現実があるためそれを『お芝居の演出の一環』と思う者はいなかった。
 「……くっ! テロリストは人間じゃなかったのですかっ!?」
 「……らしいわね夏妃姉さん……」
 この襲撃を絵羽は偶然とは思わない、テロリストの背後に幻想の存在がいたという事だ。 だがそれが分かったところでどうにか出来る手段があるはずもなく額に冷たい汗が浮かぶのを感じる。
 「……さて、どうしたものかしらね……?」
 
 「「そうはさせません(させん)っ!!!!」」
 
 その時突然響いた男女の声。
 「このうみねこ学園の平和を……お、脅かす悪党共? 貴様らはこのウィラ……じゃなくて幻想刑事ヴァンダインと……」
 「クレ……じゃなくて、愛と正義の魔法のプリンセス……ホワイト☆クレルンが成敗して上げますっ!!!!」
 そこにいたのは白く目もとを覆う仮面を付けた男女だった、男の方が小さく「……く、理御め……何で俺がこんな事を……」と呟くがそれを聞いた者はないかった。
 この体育館から僅かだが魔女の気配を感じ監視していたところへの襲撃に際し理御が即興で考えた作戦だった、そしてその理御は観客やチョコ・ザイナー達と同じ様に茫然なった夏妃達に近付く。
 「……おか……いえ、夏妃さん……ここは適当に話を合わせて下さい……」
 「え? あ、あなたは……?」
 「今はどうでもいいです、とにかく観客がパニックになるのだけは避けないと……」
 夏妃の事を『お母様』と呼べない事を残念に思いつつも必死で訴える、しかし先に気が付いたのは絵羽だった。
 「……そうかっ!?……成程チョコ・ザイナー!あんたはこの劇を妨害するためにやってきた魔王キーンゾーの手先ね!!」
 「……は? ちょっと待て! 俺は……」
 「でも残念ね! ヴァンダインとホワイト☆クレルン?……がやって来たからにはあんたの悪事もこれまでよっ!!!!」
 多少芝居がかった絵羽のセリフ再び生徒達がどよめく、そんな中で鷹野三四(ラムダ)は呆れた顔になった。
 「……要は突然のヒーローショーかなんかにして誤魔化そうって?……そんなの誰が……」
 「……キーンゾー?……つまりこれって理事長の差し金か?」 
 「ああ、そうだろうな……あの理事長ならやりかねないぜ?」
 「え?……そうなの?」
 「ああ、ほら最近話題の何とかセブンって奴、きっとあれの影響だぜ?」
 「だな、あの理事長ならやりかねないな。 西部劇の影響でウィンチェスターの実銃を購入したとか特撮やアニメの影響で遊園地の地下で巨大ロボットを建造してるとか噂の右代宮金蔵理事長だぞ?」
 「……でもよ? ちょっとリアルすぎね?」
 「きっと金にものを言わせてどっかの研究所とかの試作段階の最新技術とかを使ったんだろう? あの理事長だぞ?」
 「確かにあの理事長ならやりかねないわっ!!」

 「「まじっすかっ!!!?」」

 次々とそう言い出す観客達に驚いた鷹野三四(ラムダ)とチョコ・ザイナーの声が重なる、その鷹野三四(ラムダ)の横で古手梨花(ベルン)がクスクスと愉快そうに笑っていた。




 一方霧江からの話を聞いた金蔵はすぐさま戦人達に出動を命じた。 そして彼らが急行した時計塔ではもちろんあの男が待ち構えている。
 「…………ようやくお前達が来たか、うみねこセブン」
小さく呟くと黒服の男は戦闘態勢をとる。 黒い眼鏡に隠されたその視線の先には七色の【バトルスーツ】を装着した七人の若者達。
 「当り前だ! 相手が人間じゃねえなら俺達の出番だぜ!!」
 「……一応言っておきます、降伏するなら今のうちですよ?」
 はやり立つレッドをグリーンが制して言った、だが黒服の男はふっ!と口元を歪めて笑う。
 「!?……てめえっ!!?」
 「七対一という数の優位だけでもう勝ったつもりか? この私……ティル・フィングにな!」
 ティル・フィングと名乗った男の右腕が鉤爪に変わる、その次の瞬間には地を蹴りセブン達へと迫る。 それに反応出来たのはブルーだけだった。 
 「……ほう?」
 「……こいつ!?」
 レッドに迫った鉤爪を【幻影の双剣】で受け止める、ブルーは一目見た時からこの男に恐ろしい物を感じとっていた、それは幾多の戦いで培われた戦士の感と言うべきものである。
 詳しい話は聞いていないがこんな奴を相手に母――霧江はよくも逃げられたものだと思う。
 「……こいつは手強いわ! ここはあたしが引き受けるからレッド達は爆弾を何とかしなさい!」
 「……で、でも……」
 「全員がかりこいつを倒したとしても爆弾が爆発したら負けだって分からないのっ!!!」
 大声で叫びイエローの反論を封じるとティルに蹴りを繰り出すが後ろへ跳びかわされてしまう。
 「ほう、なかなかに冷静な判断が出来る……貴様は相当に実戦、それも修羅場を潜り抜けて来たか青い戦士よ!」
 「……不本意ながらね!!」
 叫ぶと同時に横に跳ぶ、次に瞬間地面から黒い槍状の物が突き出してきた。 もちろんティル・フィングの能力を知っていたわけではなく研ぎ澄まされた戦士として感が別方向より迫る殺気を感知していたのだ。
 「……避けただと!?」
 「……こいつは【影縫い】!? ますます厄介なっ!!……でもねっ!!」
 何を思ったかブルーは床に【幻影の双剣】を突き刺した、正確には自在に動くティルの影にだ。
 「む!? ぐ、ぐあっ!?」
 「な、何だぁ!?」
 突然に苦しみの声を出したティルにレッドは驚くがブルーは思った通りと言わんばかりの表情で言う。
 「あんたの『影』がこっちの実体へ干渉出来るって事はその『影』を傷つければこっちからもあんた本体にダメージを与えられるって事よ!! やはりあんたの『影縫い』も同じ見たいね!!」
 「貴様、『影縫い』と戦った事があるのか!?」
 そう問うと同時に鉤爪を振う、ブルーも【幻影の双剣】でそれを弾いた。
 「さぁね! どっちにしてもあんたを倒す事には変わりないわっ!!! こんな爆弾で大勢の人達を殺ろそうだなんてこの外道がっ!!!」
 「ふん! 勘違いするな小娘、この学園の者共を殺そうとしているのは貴様と同じ人間なのだよ!! 俺は手を貸しているにすぎない!!」
 「だからってあんたを倒さない理由にはならないわっ!!!!」
 【幻影の双剣】を打ち込む手に力がこもっていく、それを受けるティル・フィングは鉤爪と化した腕を僅かに痺れるのを感じた。
 「確かに我らは人の心につけ込む、だがそれは人間が我らにつけ込まれる悪があるからだ!! つまりこの世に悪があるならそれは人の心だと知れ青き戦士っ!!!!」
 「ふざけないでっ!!!! あんた達が来るからでしょう!? あんた達が来るから皆静かに生きていけなくて……戦うはめになって……死んじゃうのよっ!!! 邪悪の根源共が何を言うかぁぁぁああああああああああああああああっっっ!!!!!!」
 ブルーの悲痛な絶叫が時計塔内に木霊する、だがその叫びにどれだけの想いが込められてるのかを想像する暇はない。
 「よし、ここは僕が何とかしてみる! 皆は敵をここに近付けさせないで!」
 いつの間にか周囲にグリーン達の周囲に何体もの人影が集まっていた、金属質の銀色のボディーののっぺらぼうの顔のそれは『オートマタ』という魔力で動く戦闘用の人形だ。
 爆弾の解体なんてしたことはもちろんないがこの場での一番の適任者は間違いなく彼である以上他に選択肢はない。
 グリーンは深く深呼吸すると携帯電話を取り出す、この携帯の写メで画像を南條博士に送りその指示を受けながら解体する。 恐ろしく危険な、賭けと呼ぶのもおこがましい行為だがやるしかないと自分を奮い立たせるグリーンだった。


 


 (1)爆弾の解除は出来るのか? セブン達の戦い。
 (2)ヴァンダインとホワイト☆クレルンの活躍はいかに?
 (3)もっと出番を! ヱリカ&エヴァ奇跡の復活(笑)
 (4)セブン達ピンチ!? ファントム参戦。
 (5)フリー。

story:アルブレード   


第16話


「参りましたね・・。てか、何故に貴方がここに居るのですか?」
「…。ベルンカステルからの命令なのです。唯、眼の前のそれは、私が召還した訳じゃありませんが」
「じゃ、これの召還主を捜しなさいよ!!」


(3)もっと出番を! ヱリカ&エヴァ奇跡の復活(笑)


そんなこんなであの後、中庭で神坂美佳と遭遇したヱリカ&エヴァ様コンビだった。

眼の前に居るのは、オートマタ。その数、約50


「質問して良いですか?何故、我が主を・・?そして、それは・・?」
「…。ここに連れて来たのが彼女だから。で、これは・・。コアです。私の世界のうみねこセブンの・・。」
「アンタの世界は、一般人もうみねこセブンになれる訳!?」
「違いますよ。あくまで・・。【魔法が使える者】【右代宮家に関係する者】以下の条件がない限り、ムリですから」
「なら、なおさら、気になるわよ!!!」
「それは・・。言えませんから」


オートマタは、ガチャン、ガチャン。と近づいてくる。

しかし・・。

「おかしいわね・・。数は・・。これだけかしら・・?」
「ですよね、確か・・。10m以上の魔法陣が上空に出ていましたから、オートマタが出るなら、数は、200あっても、おかしくないはず・・。」

そう考えている中・・。






「くっ・・。カスミン、後、魔力は、どれぐらいあるわけ?」
「キリエ姉さんよりかは、残っています」

こんな狭い渡り廊下で、キリエとカスミンは、オートマタの大群と戦っていた。

本当だったら、誰かの救援でも頼みたい・・。

が、それは、避けたい為。誰も通らないこの場所で闘い続けていた。


「はぁ、はぁ・・。こう思うと、私たちは、本当の姉妹なのかしらね・・。」
「どういう意味ですか・・。」
「…。先日、ファントムを抜ける事を決めたあの二人を思い出したのよ」
「あぁ、あの二人ね・・。今頃、どうしているかしら・・。って」

あの二人とは、第11話と第21話の後日談に出て来た、ジャックフロスト&ランタン姉弟。

七杭達を本当の姉のように思う彼女たちは、悩んだ挙句に離脱を決意した。

「普通に過ごして欲しいわね。少なくとも・・。今だけは」
「そうですね・・。」

そう思い、願い。悔みながらも、彼らは、オートマタと戦い続けていた。

だが、魔力も限界に近い・・。


その時だった!!


「ブリザード・ランサー!!!」


二人の眼の前に、突然、氷の矢が大量に遮る。

数分後には、十数体のオートマタは、やられていた。


「フロスト・・?」
「…。キリエ先輩、カスミ先輩、酷いじゃないですか・・。僕とお姉ちゃんだけ置いてけぼりなんて」
「ど、どうして・・?」
「どうしてじゃないです。私たちは、元ファントムです。でも、今は、学生です。だから・・。協力させて下さい。私たちも、この場所を護りたいのです!」

そんなこんなで、フロストとランタンも協力し、オートマタと戦うのだった。






それが数十分前だ。

「…。爆破まで後わずか・・。」

私は、少しだけ眼を瞑り、そっと、コアに触れ、戦士に変身する。

皆と違って、マスクとかは・・。ないけれど、それでも・・。


「…。私は、【現の存在】どうせ、数日後には、皆の記憶から消えていく。だから、覚えておきなさい、ベルンカステル。
 私は・・。あの世界から戻ってしまっても、絶対に、後悔しない。
 それが、神坂美佳。【うみねこセブン候補生】だ!!」
「良いわね。それ、なら・・。賭けましょう。爆発しないか、するかに」
「私は、爆発して欲しい派ですね」
「…。私は、爆発しない派」
「―――― そんなのさせるのだったら、私の知るうみねこセブンは、そこまでだった。ということだよ」

拳銃を構え、私たちは、静かに・・。オートマタに向ける。

そうした時・・。私は・・。消えてしまい、後には、ヱリカとエヴァが残ってしまった。


「「さぁ!!宴のはじまりだ!!」」






選択肢


@グリーン、南條先生と通信が繋がった!!爆破を解除する方法は!?
A理御は、何処に居るんだ!?
Bベルン&ラムダの活躍は!?
Cエヴァ&ヱリカ、オートマタ軍団と激突。助っ人来る?
Dファントム、セブンの方へ参戦?
Eフリー

story:白右鎖璃月   


第17話

「……………ドラマなんかでよく見るけど、まさか本当に…2択だなんて!!」

爆弾の解体作業を進める うみねこグリーン右代宮譲治は、目の前に現れた赤と青のコードを前に愕然とした。

「グリーン!もう時間が無い!」
「……はやく!」

(くっ…どうする?…)
グリーンの通信機が鳴る、相手は金蔵だ。


ドガガガガガガガガ!!

そして同時に轟音も響き渡る。
突如として魔法弾の一斉掃射が、オートマータの群れをなぎ払う。

「お困りのようですね、みなさん」

「おまえたちは?…ワルギリアにロノウェ!?」


Dファントム、セブンの方へ参戦?


「爆弾のことは存じています。私たちとしてもこのような方法認めるわけにはいきません。一時休戦といきましょう…ガァプ!」

山羊の報告を受け現れたファントムの幹部3人、ガァプのワープ能力を利用してここまでやってきたのだった。ワルギリアはちらりとアンティーク時計のほうを見る。もうほとんど時間が無い。しかしガァプの能力を使えば…


「リーア、ごめん…」

「えっ!?」

ワルギリアとロノウェはガープのほうを見る。
無数の影の槍がガァプを取り囲み完全に動きを封じていた。

「影牢-KAGEROU-…時空をも遮断する我が最強の封殺技の一つだ…この爆弾をなんとかする存在がいるとすればガァプ、貴方だと思っていましたよ。だから私は貴方の存在だけは特に念入りにマークしていました」

ここに3人が来た瞬間に、ブルーやワルギリアの攻撃には目もくれず、ティル・フィングはガァプの動きを封じにかかったのだった。

ティル・フィングは勝利を確信し、いびつな笑みを浮かべた。



時計の針は12時を指し示す。
鐘が鳴り響く、無常にも鳴り響く……



「ああ、もうこんな時間!王子様!私はもう戻らねばなりません!!」

「えっ…えっ?…お、おお、シンデレラどこへ行かれるのです…か?」

舞台では舞踏会でシンデレラの魔法が解ける零時に鐘の音が鳴り響くようにセットされていたが、その音を聞き、シンデレラ役の夏妃が演技をし、あわてて王子様役の楼座がその演技に併せる。

「……よくこの状況でそのまんまの演技続けられるわね」

少しはアドリブ効かせて状況に合わせなさいよと言わんばかりに、夏妃の融通の気かなさっぷりに絵羽が、いや絵羽だけでなくウィル、クレル、ベルン、ラムダ、チョコ・ザイナーまでもがあきれ顔で舞台を呆然と見るのだった。



「なぜ?なぜ!なぜ!?爆発しない!!」

時計塔のほうでは、爆弾爆発の時間は止まっていた。

「当然、解除したからだよ」

ティル・フィングの問いにグリーンは振り返って答える。
爆弾のコードは赤も青も健在、しかし隠されるように仕舞われていた黄金色のコードは引きずり出され、切断されていた。

直前でかかってきた金蔵の通信、金蔵は伝える。

《爆弾を仕掛けたものの性格は良く知っている。惑わされるな、きっともう一本のコードが隠されている。》

そしてグリーンは隠されたコードを見つけ出し、見事爆弾の起動を止めたのだった。

「どうやら私たちは爆弾解除には役立てなかったようですね」
ガァプが封じられたことに気を取られ、つまみの事すら伝えられなかった失策を恥じるが、まぁ結果良しとロノウェは苦笑する

「だったらこいつを倒す手伝いをすればいいんじゃない?」
術者が動揺したため技の効力が弱まった影牢から抜け出し、ついでにオートマタを数体倒しながら、ガァプが着地する。

「グリーン!ナぁぁイス!!残念だったな、後はてめぇを倒すだけみてぇだな!!」
レッドをはじめ、うみねこセブンの皆も、あとはティル・フィングを倒すだけだと勢いづく。

「貴様ら…………………」

冷静な仮面を脱ぎ捨て、ティル・フィングはセブンとファントムの面々を憎しみの目で睨みつけた。


 (1)ティル・フィング VS セブン&ファントム
 (2)ヴァンダインとホワイト☆クレルンの活躍はいかに?
 (3)航海者のふたりが・・・・!?
 (4)さらに出番を!ヱリカ&エヴァ!
 (5)フリー。

story:らいた   


第18話


(1)ティル・フィング VS セブン&ファントム



「貴様ら…………………」

冷静な仮面を脱ぎ捨て、ティル・フィングは彼らを憎しみの目で睨みつける。
射抜かれてしまいそうな鋭い視線にもセブン達は動じない。
ティルを囲むように立ちふさがった彼らはむしろ不敵な笑みを浮かべて彼と向きあっていた。


「へっ…!どっからでも来いよ…!こっちも折角の学園祭を無茶苦茶にされてイライラしてんだぜ?」
「ああ!悪いがとっとと終わらせて貰うぜ!ライブの時間が迫ってるんだ!!」

レッドが、イエローが地を蹴る!
真っ向面から向かって来た彼らにティルは慌てもせず向かいあう。
元々単純な攻撃力や経験は大幅に彼の方が上回っているのだ。
たとえ二人が掛りだとしても、直接対決でティルが負ける要素などどこにもないのだ。

「きひひひひひい、そうはいかないよ!!さくたろー!!」
「!!?」

ピンクが持っていた杖を大きく掲げる。
可愛らしい音と共にピンクや黄色というポップな光と共に、
彼女の眷属であるライオンのぬいぐるみ、―さくたろうが、無数に彼の上空から降り注いだ!!

「なっ……!!」
「おっとよそ見をしてる暇はねぇぜ!!これでもくらいやがれぇええええ!!」

ほんの一瞬、さくたろうによってティルの注意がレッド達から外れる。
それで十分だった。
レッドの青き弾丸が、そしてイエローの拳がティルを抉る!
二人の攻撃にティルの体が大きく空へと舞い上がる。
そして体勢を崩したティルの後ろには既に次の影が待ち構えていた!

「…ごめんね。らしくないとは思うんだけど。
今回のことは僕もちょっと怒っているんだ。だから……、
……そろそろいいよね?反撃しても……!!」

ドグシャァ!!!!!!!

グリーンの踵落としがティルを直撃する!
セブン達の連続攻撃になすすべもなくティルは地面へと叩き落とされた!!


「次の相手は…、僕だ。覚悟しろ!!!」

シャキィイイイン!!

ブラックが抜いた赤き刃がティルを襲う!!
しかし、あと少しと言う所でブラックの刃はティルによって防がれてしまった。
ぎりぎりと互いに一歩も引かない力比べが続く。
だが、両手を使ってティルの攻撃に耐えるブラックに比べてティルにはまだ余裕があった。
片手でブラックの攻撃を遮り、彼はもう一方の鉤爪を高く振り上げる!!
そしてそのままティルは周りの空気ともどもブラックを切り裂こうと襲い掛かった!!


「させません……!!」

ブラックへと襲い掛かった攻撃が眩い光の壁によってかき消された!
ティルの目が驚愕に見開かれる。
そして、少し離れた場所で彼ら を見守っていたホワイトは、その結果に満足そうに笑った。


「うん。感度良好。サポートはまかせてね。ブラック」
「もちろん。信頼してるよ、姉さん…。
僕は目の前の相手を切る意外…、何も考える必要もない……!!」

ブラックが、イエローが、グリーンが、そしてレッドが。
一斉にティルへと襲い掛かる!!
次々と繰り出される彼らの攻撃に、流石のティルも動きを止められた…!!


「………くっ!!」

…しかし、続けざまの攻撃の中でもティルは冷静だった。
ただ彼はレッド達の攻撃を受けていたわけではない。
あえて防戦に徹し、彼らの様子をじっと観察していたのだ。
連携を崩すには最も弱く、そして連携の要となっている所を打つのが一番効果的だ。
数手の攻撃を見て、ティルはセブン達の要を……、彼ら全員のサポートをしているホワイトの存在を導き出した。

「!!……えっ…!!」
「朱……、イエロー!!」

ティルの腕の一振りが、連続の攻撃を続けていたイエローを吹き飛ばす!
吹き飛んだイエローと彼女の元へ走り寄ったブラックには目もくれず、ティルはホワイトの元へと走る!
ホワイトは元々回復、防御に特化した戦士だ。
ブルーでも手こずったティルに対抗するすべはない。
直ぐにティル狙いに気付いたグリーンが彼女の元へと駆け寄ろうとしたが、間に、合わない……!!

目の前に迫ったティルの姿にホワイトは強く目を瞑った……、




「あら、ごめんなさい。させないわよ…!!」
「!!?」

指を弾く軽い音。
その音を合図にしてホワイトへ牙を向こうとしていたティルの姿が一瞬にして闇の中に掻き消えた!!
ティルの前に現れた暗い闇の穴の出現者が誰かはあえて説明する必要もないだろう。
自分の狙い通りのタイミングでティルを落とすことが出来たことを確認したガァプは
にやりと小さく笑うと、彼女の後ろのロノウェの方へとくるりと振り返った。


「はぁ〜いwあとはロノウェ、よろしく〜」
「やれやれ。老体をあんまりこき使わないで欲しいのですが…ねぇ…!!」

もう一度ガァプが指を鳴らすと同時に闇の中からティルが落ちてくる!
絶妙なタイミングでロノウェがソレを待ち構える!
黒い羽根が舞う。
本来の大悪魔の姿を取り戻したロノウェの攻撃が、一瞬にしてティルを無数に引き裂いた…!!!



「なぜだ…!見た所そなたらは同じ幻想の住人…!なのになぜ人間の味方などする…!!」

ティルの問いにロノウェ達はお互いに顔を見合わせた。
その表情は大悪魔、魔女に相応しくないきょとんとした間の抜けたものだった。

「ぷっくっく。そういえばそうでしたねぇ…、
我らは今、侵略している敵を助けているわけですか。深く考えてもいなかったですが…」
「まぁ、いいんじゃない?
元々私たち3人はファントムの大義名分とか、幻想の住人のためにとかを
一番に動いているような真面目な集団じゃないわけだしー。だけど…」


「あの子が幸せに過ごせるはずだった一日を奪ってくれた代償は…、高くつきますよ?
さぁ!これで終わりです!!」


ワルギリアが掲げた腕にまばゆい魔力が集まる!
やがて巨大な一本の槍を形作ったその光は、まっすぐにティルに向かって襲いかかった!!
ファントムの中でも名を知られる魔女の攻撃に流石のティルも耐えられない。
声にならない悲鳴が辺りに響く。

やがてその閃光が収まったその時には、彼らの目の前にはぼろぼろの姿になったティルが立っていた。

「……ふふ、ふはははははははは。見事なものだ。
この私がここまで追い詰められるとはな。ふははははははは…」

「………」

辺りに響くティルの嘲笑にレッド達は体を強張らせる。
言葉こそ自分達を称えるものだったが油断は出来ない。
大きな声で笑い続けるティルの様子はとても追い詰められて後のないようには見えなかったからだ。

「……ならばあなたは幻想にお帰りなさい。
もう十分暴れたはずですよ?あなたが大人しく帰ると言うのでしたら我らファントムが必ず無事に送り届けましょう…」
「はは、それには及ばぬ。人間などにやられて逃げ帰ったとあれば、笑い物になってしまう。ならば……」

ワルギリアが一歩歩み出し、ティルに撤退を進める。
だがそれにティルは応じなかった。
不敵な笑みを浮かべながら一歩、また一歩と彼が前へと踏み出す。
普通でない彼の様子に、ざっとティルを囲んでいた輪が下がる。



「ならば…、大人しくここで散る道を選ぶまでだ。
お前ら全員を道連れにしてなぁあああああああああああああああああああああああ!!」
「!!??や、やめろぉおおおおおおおおおおおお!!」

ティルの全身がまばゆく光る!
尋常ではない魔力が彼の元へ集まっているのだと言うことにレッド達が気付くのに時間などかからない。
このままこの魔力の解放を許せば学園自体が吹き飛んでしまうかもしれない!




(1)させねぇよ!!セブンの合体技が炸裂!
(2)そろそろ妾の出番だろ!!ベアト乱入。
(3)彼らを殺させるわけにいきません。ヴァンダインとホワイト☆クレルンが…。
(4)え?ええ!?私達の出番ですか??おっさん乱入
(5)ティルを止めるため、ヱリカ&ヱヴァが清き犠牲に・・・。
(6)フリー。

story:葉月みんと   


第19話


ティルの全身が、輝きを増してゆく。
その神々しくさえ映る、光の奔流。
其処にあるものすべてを破壊するために生まれた、悲しき光の渦。
その中心からは、狂ったような。
否、狂人そのものの哄笑。
加速度的に膨張を続け、そして一点に収束する。
誰もそれを止めることはできない。
あまりに強い光に、うみねこセブンも、そしてファントムも………一時的に視界がホワイトアウトした彼らにできることは、ただひとつだけ。

「「「「「「「やめろおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」」」」」」

決して届かぬと分かり切った叫びを、無様に繰り返すだけ。愚かにも、何度も何度も。
その叫び声を聞きながら……ティルは恍惚の表情で。

「さらば………なかなかに楽しい一日であった」













無音。










「な、何故爆発しない…………………!?」
「ふう、なんとか間に合ったか………。
おい、何時まで妾ひとりにやらせる気だ…………其処の―――、妾を手伝え」



(2)そろそろ妾の出番だろ!!ベアト乱入。




あと一瞬彼女の登場が遅れていたら、この地は数年は草一本生えないような不毛の土地に成り果てていただろう。
しかし彼女……ベアトリーチェは、まるで何でもないことのように軽く息を吐きながら、ティルの全身を包み込むように抱きとめていた。ティルのそれに負けないほどの眩い光が、周囲を包み込んでいる。
――彼女の能力(ちから)が、今にも自爆しかけていたティルを抑え込むことに成功したのだった。
しかし。
「おい、其処の―――! 妾の言葉を無視するでない!
………ちっ、どうやら目だけではなく耳もやられたか」
そう悪態をつくベアトリーチェ。言葉には余裕が感じられたが、それとは裏腹に彼女の額には大粒の汗が浮かび始めていた。最期の力を振り絞ったティルの自爆攻撃。その光は視力だけでなく、この場にいる者の聴覚をも麻痺させていたのだった。
このままではあと一分ももたない……!

ぐいっ!!
「え……? 誰だよ、俺の手を引くのは!?」

業を煮やしたベアトリーチェが、たまたま一番近くにいた者の手を強引に引く。
――――――うみねこレッド。彼の正体は、右代宮戦人。
彼女は、彼の正体を知らず。
彼は、彼女の姿が見えず。
それでも。


「ちくしょう、何も見えやしねえ………まあいい、あんたに全部任せるぜ! あんたは味方なんだろ!? 信じるぜ!
俺の力、全部受け取れ!!」
「おおっ……妾の魔力がさらに増大したようだ! これなら………完全に抑え込めるッ!!
礼を言うぞ、うみねこレッド!!」


「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」」


レッドとベアトリーチェが繋いだ手から、大きな大きな光が溢れ出た。
それはティルの全身を纏う光を完全に飲み込み、そして―――――――――









それから、どれだけの時間が経っただろうか。
たった数秒のことだったようにも思え、数分のことにも感じられた。



「ふっ……………ははははははははははははっ!!」



ベアトリーチェの耳だけに、高らかな笑い声が聞こえた。
其処にいたのは、ひとりの男。
彼の周囲には、もう光はない。周囲の景色も、それまでと何も変わらない。
ベアトリーチェとうみねこレッドの力が………彼の自爆を未然に防いだのだった。
全身全霊を込めた最期の技を封じられ、憑き物が落ちたように清冽な笑顔を浮かべた、ひとりの戦士。
そして彼は、何の躊躇いもなくこの言葉を口にした。
敗者にまったく似つかわしくない、晴れやかな顔で。



「―――――私の負けだ。うみねこセブン、そしてファントム」



(1)さあ、後はラスボスを倒すだけだぜ! 
(2)あれ? ベアトリーチェとレッドがいい雰囲気に……
(3)こんな状況下でも文化祭の出し物は行われていました(遠い目)
(4)おいしいところを持っていかれたエヴァとヱリカは、バッティングセンターでホームランを連発していた。
(5)フリー

story:豚骨ショウガ   


第20話
 

「…そうか。皆よくやってくれた」


金蔵はグリーンから爆弾解体の成功と裏で暗躍していたティル・フィングを捕える事に成功したと言う報告を受けてようやくホッと胸を撫で下ろしていた。

実の所、ファントムやうみねこセブンの面々が先行して爆弾の設置現場に到達した都合により所轄から駆け付けた警察の面々や本庁からのSATの一団を現場に急行させる訳には行かず、彼等が戦っていた裏では様々な情報規制や交渉事が行われていたのだったが…
そんな大人の事情の苦労は理事長こと右代宮金蔵がその全てを一手に引き受けて見せていたのだった。


「ふむ。手を貸していたティルとやらが倒れた事であやつに掛かっておった隠蔽魔法もその効力を失っておるだろう。…これであやつが捕まるのも時間の問題じゃな」

「はい。それにしても…あれほどの大規模な爆破テロと脅迫だったにもかかわらず文化祭を継続した上で解決して見せるとは…流石で御座います、お館さま」

「わしは彼等ならば大丈夫だと信じておっただけに過ぎんよ。その言葉は現場で戦ったうみねこセブンの者達にこそかけてやれ、源次よ。……それと、加勢してくれたファントムの者達にも…な」

「……はっ。畏まりました」

「…さて、後の事後処理はあやつが捕まってからじゃな。わし等が長々と不在ではそれはそれで疑念の元となろう。直ちに喫茶『おっさん』に戻るぞ」

「互いに抜けておりましたので売り上げはまだ五分五分で御座います」

「よし!今こそおっさんの底力を見せる時ぞ!わしに続けぃッ!源次よ!」


大事件の後にも関わらず金蔵の高笑いと共に二人は喫茶『おっさん』へと戻り再び文化祭を盛り上げるのであった。
うみねこ学園での戦いはこうして終息へと向かった。





(1)さあ、後はラスボスを倒すだけだぜ! 



「おのれぇぇぇぇぇぇ!何故だ!?何故爆発しないッ!!?」


うみねこ学園を一望出来る高層ビルの屋上。
そこでは爆弾が爆発する時刻になっても未だ沈黙を続けていた事に苛立ちを隠せず怒りを露わに激昂した山本中尉が思い思いに叫び猛っていた。

要求した黄金の件は警察から黙殺され、ならばとこの大爆発の時を心待ちにしていた彼にとってその爆発さえも起こらなかった今、その怒りの溜飲を下げるものは何もなかった。

当然来るであろう警察の捜索の手さえも気にせずその場から離れずにただ暴れ、右代宮への罵詈雑言を叫び続ける山本。
元々心の隙を付け込まれ、半ば操られて事を起こした程度の小物の犯人に過ぎない彼の底が露呈したといっても仕方が無いのだろう。


ティルが張っていた影の結界が消失した時、彼のその目立つ行動は不審者を見つけ出さんと目を光らせていた警察官がひしめいていたこの場において発見、急行するのに5分と要さなかった。


「お前が、爆破テロの犯人だな」

「ッ!何の事だ!屋上で年寄りが騒いでたらそれだけでテロリスト扱いかぁ!?証拠でもあるのか!?あぁッ?!」


未だ冷めやらぬ怒りに任せて駆け付けた警官隊を前にしても食って掛かる山本。
これは強引に連行するしかないな、と警官達が肩を竦ませていたその時、山本の携帯が鳴り始める。

怒りに任せてその電話を取る山本だったが………着信相手の表示を見て、怒りに満ちたその表情が一瞬にして穏やかなものへと変わる。


「…もしもし」

『もしもし、ねぇおじいちゃん、こんな半端な時間なんだけど、お時間あるかなぁ?』

「んん?確かにもうお日様も傾き始めそうな時間だねぇ〜。でも、おじいちゃんは孫のお前の為だったら何時だって時間を取れるぞぅ。どうしたんだい?」


電話の相手が老人の孫娘だと分かり、警戒していた警官隊もその電話を続ける事を許す。
先程までの怒り狂っていた老人と同一人物だとは思えぬほど穏やかな好々爺となっていたからだ。


『今ね、お父さんとお母さんと一緒に学校の文化祭に来てるの!それでねー演劇とか喫茶店とかすっごく楽しくておじいちゃんも呼ぼうってお母さん達とお話ししてたの!』

「……学校の……文化…祭?」

「うん!うみねこ学園って言ってね!とってもおっきなおっきな学校なの!ねぇ、明日も有るみたいだけど今からならもっと楽しめそうだって思って!ねぇ、どうかなおじいちゃん、今から来れるかな、かな!?ねぇねぇ〜〜〜♪』

「………………お前達が………あそこに………居たのか…………」

『んん?ねぇおじいちゃん、どうしたのー??』

「……………ごめんな。おじいちゃん…ちょっと、用事が出来ちゃったから……」

『ええ〜?!今、私の為だったら何時だって時間が取れるって言ったのにー!おじいちゃんの嘘吐きーーー!』


孫の声が少し涙声になっていた事に気付いて苦笑してから電話を切る山本。
そして…彼を囲む警官隊の隊長格の男へと向き合い…深々と頭を下げた。


「私がやりました!申し訳ありませんでしたッ!!」


自らの稚拙な復讐心に憑りつかれ、自分の大切な者達を失う所だった事を思い知った彼は
自らが起こした事の罪を償う事を決め、自らその両手を前に突き出したのだった。




(1)無事に事件解決!さぁ、みんなでまた文化祭を盛り上げようぜ!
(2)「ハイ、終わり終わり。空気読みなさいよアンタ」。チョコ・ザイナーは尺の都合で瞬殺されました(涙)
(3)ちょっとだけ時間は遡り、現場ではベアトリーチェとレッドがいい雰囲気に……
(4)現場組お疲れ様〜。うみねこセブン、ファントム共に今日だけは無礼講状態へ。
(5)さぁ、こっちも白黒着けようか!メンバーも戻り執事&メイド喫茶VS喫茶『おっさん』も遂に決着の時が…
(6)バッティングセンターでホームランを打ち飽きたエヴァ&ヱリカは、機械を弄って球速200kmの魔球に挑んでいた。
(7)フリー

story:KENM   

《This story continues lastT〜\.》


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