「どこかであったかもしれない物語」(前編)

次回予告
朱志香だぜ、あいも変わらずファントムとの戦闘に明け暮れる私達だが、普通の生活も大切だ
見知らぬ芸能人が現れたりして大混乱の予感!・・・けどちょっと待てよ
なんでここにまで山羊とかが現れるんだぁぁ!!
次回、うみねこセブン 外伝 「どこかであったかもしれない物語」(前編)
ってぇ!外伝なのに前後編なのかよ!!

うみねこセブン 外伝「どこかであったかもしれない物語」(前編)
ファントム側の用意したホテルの一室、そこで今までのうみねこセブンの活躍がスクリーンに映し出されていた。
「レッドガンナーズ・ブルーム!!」
「超全力!破魔連撃拳!!!」
「【魔王破岩脚】!!!!」
「フレア・アロー!!」」

「と、まぁこれが今までの彼らの戦い方です。理解できましたか?」
電気ではなく、蝋燭の炎が揺らめくその一室でワルギリアが目の前の人物に問いかけた
その人物の姿は暗闇でよく見えない。
「ありがとうございますわ、初代様。これがこのカケラの戦士達」
クスクス、と笑い声を漏らす、その人物
「い、いいですかいくら貴女がこちら側であっても余計なことは謹んでくださいね
特にエンチャントに関することについては・・・」
「でも、余計な障害物を排除したいのはファントムの悲願を達成するために必要なことでしょう?」
「そ、そうですが・・・とにかく、貴女は招かざる客です。余計な手出しはしないでください」
「・・・・はぁい、わかりましたぁ」
「うみねこセブンについては貴女がこの世界を知りたいというから見せてあげただけです。それを忘れないでください」
「はぁい」
「・・・・全く、私の称号を継ぐものは皆返事はいいのですから・・・」
そう呟いて部屋を出て行くワルギリア
ただ一人残された客人はライトアップされている遊園地を見下ろすように窓辺に寄り添った
ガラス窓に写る茶色の髪に青い瞳
「聞いていたわよね。319、332」
背後に呼びかけると二人組みの男性が現れる
「はい、マスター」
「バッチし聞いてますで」
「初代様は余計なことはするなと言ったけれど、ただ遊ぶだけじゃつまらないもの
うみねこセブンとやらには絶望をプレゼントしてあげるのよ」
ここに最も残酷なベアトリーチェの物語が幕を開けたのであった


次の日、学校の教室では
「ツインシックスドライブぅ?」
朱志香はすっとんきょうな声をあげた
「あれ?ジェシーってば知らないの?
最近有名な双子のバンドでさー、結構すごいんだよ」
「へぇ、そうなのかぁ・・・最近そんな曲聞いてないんだよねぇ」
「えー、ジェシーってば。最近帰宅はやいし、家でギターの練習ばかりしてるんじゃないのぉ?」
「あはは、そ、それはそうなんだけど」
内心ではセブンとの両立でロクにギターも触ることできてないなぁ、と思いつつ友達のミーハーネタを聞き流すのであった
「でね、今度そのツインシックスドライブがコンサートやるのよ
しかも『Ushiromiya Fantasyland』の特設ステージだってぇ」
「と、特設ステージ?っていつもはショーやってるところか?」

『Ushiromiya Fantasyland』にはたしかにうみねこセブンショーをやるための特設ステージがある
しかし、一度もそんな有名人のコンサートのために開いたことはないと首をかしげるのであった

「そ、でね。そのコンサートのチケットが当たったのだぁ!!」
「へぇ〜、よかったじゃん」
「どうせならジェシーも一緒に行かない?」
「へ?わ、私?私はいいよ。そんなにツインなんとかのこと知らないし」
「ツインシックスドライブ。一度聞いたら病みつきになると思うからさ〜、ね?お願い」
「う、わ、わかったよ一度だけ、な」
「ありがとー、ジェシー!!
日にちは今度の日曜日の夜18時なんだ!チケットで二人まで入れるから『Ushiromiya Fantasyland』の中央のお城前で待ち合わせね」
「あ、ああ・・・わかったよ」

日曜日の夜
「特設ステージってこんなのだったっけ・・・」
友人と共にきた朱志香は驚いていた、いつもの特設ステージとは違う、テントのように黒い布で周りを覆いつつ、外には大きなスピーカー
飾りつけは派手な赤や黄色、緑にピンクの星を描いてかつそれが黒い布に縫いとめてある
のだが周りが暗くてよく見えない。
「さ、行こう。ジェシー」
「あ、ああ・・・そうだな」
こうして朱志香はそのテントの中へと入って行く
その瞬間に、テントに貼り付けたあった黄色い星は、黒い布に吸い込まれるように、消えた


(アイキャッチ)


控え室
「なぁ、これってそんなにも必要なことやったんか?」
ツインシックスドライブの一人、SUZAKUがボヤく
「仕方ないだろう、これは命令だ。いたわるべきは・・・これを一晩でやり遂げたマスターの期待がそれだけ高いということだ」
同じくツインシックスドライブの一人SEIRYUが冷静に答える
その時、控え室の扉がノックされて開かれる
「二人とも、順調?」
控え室を訪れたシュリは微笑みながら二人に聞く
「はい、順調です、マスター。」
「それはよかったわ、わざわざ貴方達を人間に近くしたかいもあるということね」
「ってもうさぎ耳がないだけですけど」
「332、今日の夕食ぬきだ」
「そんなぁ、それはないですよねぇ。マスター」
「いいえ、抜きね」
「うわーん、一日一食の甘いもの食べ放題がぁ」
「と、とにかく今回の作戦はうみねこセブンの小手調べとも言うべきものよ
山羊を使って暴れなさい」
「承知しております、我らにお任せを」
「マスターは観覧席からご自由にご見学くださいな」
「そうさせてもらうわ、じゃあね」
そして、開演が始まる
「へー、思ったより結構いい曲だ。」
初めて聞く朱志香も手をたたくが隣の友達や周りはもはや開始早々に熱狂しており、拍手ですらかき消されそうなほどの盛り上がりぶりだった
曲はどれもオリジナルばかりのようで聴いたことのない曲ではあるがそれでも盛り上がれるファンはすごいだろうと朱志香は思った
しかし、何処か違和感があるのもぬぐいきれない
戦士としてやってきた勘なのか、この会場は異常であるということを多少ながらも感知していたのであった
そして曲と曲の合間にそれは起こった
「きゃあああああああ」
大きな叫び声が聞こえると同時に会場にはあのファントム側の山羊が乱入してきたのである
「なっ、こんな時に・・・クソッ」
突然のことに混乱する会場、そして逃げ惑う人々
だが、会場の出口であったはずの場所がなくなり、逃げられないのだった
その間にも山羊達の数は増え、同時に幻想に周りが支配されていく
「く・・・変身したいけどここではできないし・・・うわっ」
すると目の前が真っ白になる、どうやら山羊か何かが会場用のスモークを巻いたのだ

「よし、これで・・・・・」
「そこまでだぜ!!」
「めぇ!?」
「盛り上がりの始まりライブ場所、そこを幻想にさせる悪いヤツ
今日のハートはどっきゅんと、響いてみせるぜ、うみねこイエロー!!」
「めぇー!!」
手当たりしだいに人々を襲っていた山羊がイエローめがけて突進してくる
「接近戦は得意中の得意だ。連電拳!!」
雷を纏ったイエローの拳が山羊を吹き飛ばす。
やがて山羊の数も次第に減り、現れた出口によりライブの客も逃げ出し終えた後
「・・・ふぅ、こんなもんか?」
最後の山羊を倒してイエローは汗を拭った
すると背後からパチパチと拍手が聞こえる
見ると自身と同い年ぐらいの少女がそこで拍手をしていたのだった
「実にお見事、流石、うみねこイエローね」
「だ、誰だ、アンタ」
「私はシュリ、シュリ・ベアトリーチェ。
ファントム側の魔女よ」
「ファントムだと・・・・!?」
敵側の相手だと知るやいなや再び戦闘体制に入るイエロー
しかし、対するシュリは笑顔を絶やさずにずっとそのままであった
「やめておきなさいな、貴女では私に勝てないわよぅ」
「やってみないとわかんないだ・・・・っ!?」
拳を振り上げかけたその刹那、どこからか飛んできた黄金の直線がその振り上げた手を掠った
「な、なんだ・・・今の」
「私の可愛い家具が貴女を狙っているの、その気になれば一撃で倒すことも可能なんだから」
「くっ・・・じゃあなんだよ。このライブもファントムの仕業か?」
「ノンノン、これはあくまでも私の仕業、ライブうんぬんはあえて秘密にするけどね」
「そこまでする・・・ってんならこの場は見逃すってことか」
「そうね、今日はとりあえず実力を見たかっただけだし。また今度会いましょう?
シーユーアゲインハバナイスドリーム」
そういうとシュリは黄金の蝶となって消えたのであった
直後に巨大だったテントも消える
「幻想・・・今のもか・・・?」
なんつー馬鹿でかい幻想なんだよ・・・」
一人、悩むイエローであった。

(Cパート)
「ってことがあったんだよ」
「うーん、それは困ったね。ファントムの中にあってファントムとは違う魔女がいるってことはこれもまた僕達の脅威になりかねない」
「うー、でも皆がいれば大丈夫、悪い魔女やっつけられる、うー」
「そうだぜ、朱志香。今度はちゃんと俺らも呼べよ」
「そ、そりゃそうだけどさ。今度のはまたファントムと違うからいつくるかってのがまったくわからねぇんだよ」
「そう、それもあるし、朱志香ちゃんの言っている。ツインシックスドライブ
この聞いたことのなかったバンドのバックにいるかもしれないとなると相当なものになると思うんだ。
だから今度は皆バラバラでいるとその場でどうなるかわからない、ファントムの目的もわからないけれど、シュリという魔女の動向もわからないうちは危険にはかわりないよ」
「うー、真里亞知ってる。ツインなんとかの動向ならわかる、うー」
「なんだって!!?そりゃ、どういうことだよ」
「ママの会社に最近お得意様として衣装を頼みにくるんだよ、その時にお話してくれるんだってママが言ってた」
「よし、そうと決まれば今度はこっちから押しかけてやろうじゃねぇか
で、真里亞。今度は何処に現れるってんだ?」
「えっと・・・たしかクリスマスコンサートで、学校だったはず」
「クリスマスコンサート・・・?学校・・・・?」
「ちょ、ちょっと待ってくれ、たしか私たちの学校、今度それらしき行事あった気がするんだけど」
「そういえば、僕の大学にも全校の合同としてそんなのがあるって聞いたな」
「マジかよ・・・ってことは今度は遊園地だけじゃなくて学校が狙われるってのかよ
勘弁だぜ、全く・・・・」
「とにかく、今度はどうなるかわからない。おじい様に聞いてみよう」
「「「おう」」」

(後編へ続く)





「どこかであったかもしれない物語」(後編)

嘉音です、朱志香さん達からの情報を元に、ツインシックスドライブという二人組のバンドの行方を追うことになりました。
・・・ロノウェ様達からは聞いたことのない魔女、一体、どうなっているんだ。
次回、うみねこセブン外伝
「どこかであったかもしれない物語(後編)」
魔女の家具なんかに、僕は絶対負けない!!

ー六軒島、うみねこセブン本部ー
譲治、戦人、真里亞、朱志香の報告を受けた金蔵は一人悩んでいた。
予想外のファントム外からの敵襲、それも規模も目的も不明となればそれを止める手立てがなかった。

??「何を・・・悩んでおるのだ?右代宮金蔵よ」
金蔵「だ、誰だ、貴様は・・・・」

突然暗闇から響く女の声に金蔵は驚き、司令官の椅子から立ち上がる。
しかしその声はクスクスと笑い声を上げるだけでそれには答えず

??「私のことはどうでも良い、少なくとも貴殿らに力を貸そうとしている善良なモノであるぞ?」
金蔵「上から目線の物言いで善良とは片腹痛いわ。貴様の目的は何か」
??「くっ、クックックッ。私をも恐れぬとは、流石、右代宮家の当主よ
その粋たる精神は実に面白みがある、今回は無償で協力してしんぜようぞ。」
金蔵「生憎であるが正体も現さぬモノに協力もなにもないであろう」
??「そなたが【視えぬ】だけよ。私はとっくにこの場所におるというのに
この世界のそなたは反毒素の魔法がよっぽど強いと見える。
安心せよ、先ほども言った通りに協力においては無償である、その代わりに、もっとも面白いものが視たい
それだけだ。・・・・うみねこセブン、全員を出撃させよ、そしてツインシックスドライブの真の姿を目の当たりにすると良い
クックックックッ」

それだけ言うとその声の気配も全てが司令室の中から消えたのであった。



ファントム側で用意したホテルの一室
シュリは不機嫌そうにベットの上でゴロゴロとしていた。

理由は単純明快、この前の襲撃がワルギリアの耳に届き、小一時間説教を食らった後、外出禁止にさせられているのだ
だからひどくつまらなかった

シュリ「あーあ、もぅ。どこかに面白いことないかしらぁ」
319「マスター。」
シュリ「あら、319。なぁに?コンサートのことなら私じゃなくて321に管理してもらってね」
319「いえ、そちらではございません。たった今、この封筒がマスター宛に」

スッと319が取り出した封筒には双頭の鴉の封蝋がされていた。
シュリはそれを無造作に受け取ると、中に一枚の手紙と紫色の怪しげに輝くビー玉サイズの玉も転がり落ちた。
そして、手紙を読むとニヤリと笑みを浮かべる。

シュリ「あの耄碌ババァ、たまには面白いこと考えてくれるじゃない。
319、近衛兵全員に通達しなさい。『クリスマスコンサートは中止、変わりに最高の舞台の用意を』と」
319「ですが、マスターの魔力では全員を具現化は・・・・」

シュリは何も言わなかった、だがそれで319は悟る、今の主人はそれができると
それが判ればもはや家具は命令を聞くのみ
音も立てずにその場から去るだけであった

シュリ「クスクス・・・・『赤き生誕日(クリムゾン・クリスマス)』最高の宴にしてあげるわね、うみねこセブン」

ーうみねこセブン、会議室ー
嘉音「・・・僕達、もですか?」
朱志香「うん、じいさ・・・いや、司令が言うにはうみねこセブン全員で警護しろっていうことらしいんだよ
なんたって規模がわからないからそうなった、ってことだろうけど」
紗音「で、ですが規模がわからないと言ってもファントムの魔女様なのではないのですか?」
譲治「相手はそう名乗ったみたいだけれど、紗音や嘉音君までもわからない相手だと余計に心配だからね」
戦人「だけど、どんな敵が現れたって俺達は負けないぜ!!」
真里亞「うー、皆で頑張る!!」
譲治「うん、そうだね。皆でならきっとできるよ。
で、作戦なのだけれど一応、コンサートは僕達全員が生徒として出なきゃならないから、外の警護は基本的にグレーテルに任せるらしいんだ」
戦人「あれ?そういやそのグレーテルはどうしたんだ?」
真里亞「うー、学校の下見に行くって天草さんと出かけるってママが言ってた。ママは学校の案内役なんだって」
朱志香「うへぇ・・・休みの日にまで学校なんざ私はごめんだぜ」
譲治「あははは、とにかく補佐の天草さんが変身のタイミングは作ってくれるらしいし、そうなったら僕達は変身して僕らはライブの途中で異常が起きないように見張りってことらしいよ」

ークリスマスコンサート、当日ー
朱志香「えっ・・・?ライブ中止・・・?」
リン「そうそう、なんか急になくなっちゃってさぁ・・・もー、最悪
折角、生のツインシックス見れると思ったのにぃ」
サク「まぁまぁ、でもリンはこの前のライブは行ったんでしょぉ?それの話聞かせなさいよぉ」
ヒナ「え!?その前もライブ行ったって言ってなかった!?リンだけずるい〜」
リン「えへへー、いいでしょぉ。あれ?ジェシーは?」
ヒナ「お腹でも痛くなったんじゃない、それよりライブの話ー!!!」

朱志香は同じクラスの嘉音を連れて中庭に来ていた。
それというのも通信機が鳴ったからだったのだ、そしてその後に遅れて紗音や譲治、戦人に真里亞も合流する。
ちなみに戦人と紗音が遅れたのは昼休みの昼食中だったとかそうでないとか

グレーテル「人を待たせておいていいご身分ね」

一番最初に発信をしたグレーテルはなにやら怒り心頭という形でいたがそれを天草がどうどうと宥めるのであった。

天草「で、結局何がどうなっているですかい?」
朱志香「どうもこうも、コンサートが中止になったってことしか聞いてないんだよ」
譲治「僕もさっき先生達から聞いたよ、どうやら向こう側から朝一番の電話があって中止になったってね」
戦人「つまりは何だァ?全くの無駄足ってことかよ、悪りィな、グレーテル」
グレーテル「・・・・・・」

グレーテルはそれに答えなかった、それどころか空を見つめるのであった。

天草「どうしたんですかい?お嬢」
グレーテル「天草、ちょっと空に向けて、それ、撃ってみて」
天草「はぃ?気は確かですか・・・」
グレーテル「いいから」
天草「まったく、お嬢はクールですぜ」

そういいながら天草は用意していた銃を空に向けて一発発射した。
普通であればそれは何事も起きないはずなのだ、普通は
しかし、その打ち上げられた弾は学園の上空でバチッと鈍い音をさせ、消えた。

譲治「こ、これは・・・・まさか」
真里亞「うー、結界なの」
戦人「嘘だろっ!?こんなのありかよ!!」

その直後、上空から無数の黄金の矢が降ってくる。
譲治「と、とにかく皆。逃げながら変身しよう!もうこの学園は狙われてる!!」


(アイキャッチ)

シュリ「あら、つまらないわねぇ。なかなか出てこないじゃなぁい
クスクス、このままだと校舎にも当てちゃうわよぉ」

校舎の裏側でシュリはほくそ笑んでいた、校舎に攻撃を当てていないのはそれでは切り札にもならないからだ

レッド「そこまでだ!!!」

そこへ現れる七つの影

レッド「燃える闘志は不死鳥の如く!うみねこレッド!!」

イエロー「岩を穿つ雫は龍の如く!うみねこイエロー!!」

グリーン「静かな決意は獅子の如く!うみねこグリーン!!」

ピンク「桃色旋風は猫の如く、うみねこピンク!!」

ホワイト「白き癒しは一角獣が如く、うみねこホワイト!!」

ブラック「黒き疾風は黒豹が如く、うみねこブラック!!」

ブルー「孤高の刃は鮫が如く、うみねこブルー!!」

「「「「「「輝く未来を守るため! 六軒島戦隊 うみねこセブン!」」」」」」」

シュリ「ようやく現れたわね!うみねこセブン。さぁさ、お出でなさい、私に忠実な家具達よ」

その声の呼びかけと共に黄金の蝶が乱舞し、6つの影が出現する

319「シエスタ319、ここに」
332「シエスタ332、ここにぃ」
321「シエスタ321、ここにですっ」
453「シエスタ453、ここに」
946「シエスタ946、ここにですわ」
207「シエスタ207、ここに」

イエロー「う、うさ耳が六つ・・・・」
ピンク「うー、男の人はどうかと思うのぉ」
ホワイト「ピ、ピンクさん。それはちょっと・・・」

シュリ「うっさいわね!私の家具にケチつけないでよ!!」
319「マスター、あんまりフォローになってないです」
321「まぁ、個人的に一番似合わないの946ですからぁ、問題なしですぅ」
946「なぁに?私に喧嘩売ってるの」
シュリ「こんなところで痴話げんかしないのぉ!!と、とにかく私の目的はうみねこセブンさえ倒せればいいわ、さっさとやっちゃいなさい」
207「なら俺が一番ノリだな」
332「あ、さっきから攻撃してるの207じゃねぇか!ずるいぞ!!」
946「クスクス、早い物勝ちでしょぉ?」
319「・・・・ハァ」

連携の取れていない集団にうみねこセブンは焦るがその次の瞬間、黄金の矢が飛んでくるのに別の意味で焦る。
なにしろ、その黄金矢を放つ相手の姿が捉えきれないのだ。

946「クスクス、何処見てるの?ノロマねぇ!!」

946の一撃はイエローの横を掠める。

イエロー「このやろっ!待ちやがれぇぇ!!」
ブラック「あ、イエロー!」
453「余所見している暇は与えない、散れ」

453が放つ黄金弓はブラックを狙ったがそれをなんとか刃で弾き返す
ブラック「くっ、相手をしてやる。こい、魔女の家具!!」
453「その域は買ってやる、ニンゲン」

グリーン「イエロー!ブラック!!駄目だ、離れ離れになっちゃ!!」
ホワイト「ど、どうしましょうか、グリーンさん」
グリーン「とにかくもう一度作戦を練り直すしか」
319「そんな暇すらも」
332「与えへんで」

319と332の連携攻撃が二人の間を掠める
とっさにホワイトがシールドを展開させるがそれは校舎の壁を崩すのであった

ホワイト「あ、あああ・・・」

332「ほぉら、余所見しとる間に次は教室狙うでー」
ホワイト「や、やめてください!!」
332「そんならこっちまでおいでな〜」
ホワイト「ご、ごめんなさい!グリーンさんっ!!」

そういうとホワイトもまた散り散りになっていく

319「脆いものだな、ニンゲンは」
グリーン「・・・そうだね、ニンゲンは脆いものだよ。だけどホワイトを泣かせた君達は、どうにも許せないな」
319「そうでなくては面白みがない、来い!うみねこグリーン!」

ブルー「・・・・そういうこと私達を散り散りにさせるのが目的なのね」
ピンク「うー、許せないのぉ」
207「許してもらうつもりはない、全くな」
321「クスクス、可愛いお嬢ちゃんは怒っても可愛いだけよ」
207「子供はくれてやる、俺は青いのを片付けよう」
321「了解しましたわ、207」
ブルー「ああ、全然駄目ね。アンタ達みたいなのにやられる訳には行かないのよ!!」
ピンク「子供扱いしないでほしいもん!さくたろぉぉっっ!!」

シュリ「・・・ということで、私とアンタだけが残ったわね、うみねこレッド」
レッド「テメェ、本当にファントムの魔女かよ」
シュリ「ファントムぅ?きゃははっ、何ソレ、私があれと同じとでも思ったのぉ?
あんなしょぼいのと一緒にしないでよねぇ、たしかに私はベアトリーチェだけどぉ、一匹狼だもん
っていうかこんなトコロ関係ないしぃ」
レッド「ああ、そうかい。それじゃあ、遠慮なくぶっ潰してやるぜ!!」
シュリ「やってみれるもんならやってみなさいよぉ、うみねこレッドぉぉぉっ!!」

黄金の矢といくつかの爆発とそして巨大な闘志の塊
だがそれは校舎を壊しはするものの、誰一人一般生徒は巻き込んではなかった。

??「そう、それこそが我が時空の【空間繋ぎ】。現実と幻想をつなぎ合わせ、現実には被害が及ばぬように作り上げる我が結界」

うみねこ学園上空に姿を現す魔女、黒きドレスに身を包む、【時空の魔女】セイント・ジョスール・メイデント

セイント「踊れ、我が茶葉にこのカケラの戦士達よ。千年も味わえぬ極上の暇つぶしを私に見せておくれ」

クスクスと笑うとセイントはその場から姿を消した。



イエロー「【破魔連撃拳】!!」
946「アハハッ、まだまだよぉう!!ノロマすぎて当たらないわぁ」

ブラック「忌まわしき力が全ての敵を断ち切る【ブラック・オブ・ソード】」
453「そんなもの、当たらなければ意味はなさない」

ホワイト「癒しの守りよ、我が声に応え、幻想の力を打ち返す【ホワイト・ヒーリング・バリア!!】」
332「おお、せやったら次の散弾撃はどうやっ!!?」

グリーン「【破岩魔王脚】!!」
319「どうやっても、遠距離と近距離は相性は悪いのを学ばないのか?」

ピンク「さくたろ、攻撃型形態!エンチャントタイプ:フレア!!」
さくたろ「うりゅうううううう!!」
321「まぁ、可愛らしい攻撃。でもそんなものじゃ私に火傷負わせることできないわよ!」

ブルー「幻想より生まれし剣が幻想を引き裂く イマジン・ツインブレイカー!!」
207「この俺の黄金弓を切り裂けるか。だが物量ではどうだろうな!!」

シュリ「我が黄金よ、称号と共に全てを飲み込む幻想となれ。【ゴールデン・オブ・イクスティンクション!!】」
レッド「幻想を消し去る銃が唸りを上げる 突き抜けろ!【レッド・ガンナーズ・ブルーム!!】」

何度か打ち据える両陣営。
しかし、決着が付かずに思えていた、そのとき

パァン

シュリ「な・・・ぁっ・・・・」

レッドのレッド・ガンナーズ・ブルームがシュリの持っていたビー玉を砕いた。
その直後、イエロー達が戦っていたシエスタは全員姿を消す。

シュリ「わ、私の魔力が・・・・」

そう、元々シュリには近衛兵全員を召還できる魔力などはなかった、しかしビー玉状の魔石のおかげで魔力を増強し、自らも戦うことができたのだ

シュリ「よ、よくも・・・私の・・・魔石をぉぉぉっ」

ゆらりと立ち上がるシュリ、その表情は激昂、そして目からは大粒の涙。
そこへ満身創痍ではあるがイエロー達も到着する。

イエロー「レッド!!ここは私達の力を託すぜ!その魔女をぶちのめしてやれ!!」
グリーン「君の剣ならできる、僕らの力を一つに!」
ピンク「うー、レッドなら絶対勝てるよ。信じてる!!」
ブラック「僕達の力も受け取ってください」
ホワイト「きっと勝てます、それが私達の強さですから」
ブルー「・・・頑張りなさい」

レッド「ああ、皆の思い、確かに受け取ったぜ!!
覚悟しやがれ、シュリ・ベアトリーチェ!!【パーフェクト・オブ・フレイム】!!!」

レッドの構えた銃から放たれる赤・青・黄・緑・白・黒・桃の閃光はシュリを飲み込むように放たれるのであった

シュリ「き、きゃあああああっ!!?」

こうして一番の脅威は去ったのであった。




その一週間後、再びうみねこセブン会議室
朱志香「にしても変な相手だったよな、シュリとかいうヤツ」
譲治「まぁ、本人はそこまで大したことなくてもあのシエスタ達は強かったよ」
紗音「でも、なんだか変な感じでしたね、あの後学校の誰もがツインシックスドライブのことも覚えていなければ学校そのものに何一つキズもなかったのですし」
真里亞「うー、ママも覚えてないって言ってた。たしかに変なのー」
嘉音「でもとにかく倒せたのは進展だと思うな」
戦人「・・・・・・」
朱志香「な、なんだよ。黙ってて気持ち悪りぃぜ、戦人!!」
戦人「だ、だってよぉ。あの戦いの直後の授業で小テスト帰ってきたんだぜ!朱志香はどうだったんだよぉ!!」
朱志香「うぐっ・・・そ、それはいわねー約束だろぉ!?だいたいそんなことが母さん達にバレたら」
夏妃「あら、バレたらどうするのですか?朱志香」

いつのまに入ってきたのか会議室の扉のところには夏妃がニコニコと笑顔で、そしてオーラは黒いままそこに立っていた。

朱志香「か、母さん・・・・・」
夏妃「戦いもいいですけど学生としてちゃんと勉強しなさい!!」
朱志香「うわああああん、戦人のばかやろぉぉぉぉっっ」



セイント「・・・いつまで拗ねておるのか、我が茶葉よ。」
シュリ「拗ねたくもなるわよぉ、なぁんでこの世界の私はなんかフラグ乱立みたいなのしなきゃならないのぉ?」
セイント「それは私が見ていて楽しいからよ、それ以外の何者でもなかろう」
シュリ「・・・チッ、いいからさっさと本当のカケラに帰るわよ、ったく!怪我のし損じゃない」

終わり


補則
ゴールデン・オブ・イクスティンクション・シュリ専用技黄金の旋風と共に衝撃波を放つ

パーフェクト・オブ・フレイム、セブンの合体奥義技。コアの力をそれぞれレッドの銃に集め、放つ

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