Tips1『もしかして・・。』


直、3話目の後日談。


留弗夫は、美佳をお姫様抱っこをした後、霧江にこっぴどく叱られ・・。

やがて・・。一人になり、屋敷の窓から見える星空を眺めていた。

「アイツ・・。成長してたんだな・・。」

タバコをあえて吸わず、星空を眺める・・。


手元には、一冊の資料。これは、霧江には、まだ、見せてない。

いや、見せる必要なんて・・。ないのかもしれない。

何故なら・・。

「霧江は、彼女の事を覚えている様子もないだろうな・・。」

彼女・・。神坂美佳は、八人目のうみねこセブンの戦士。いや、第二の戦士候補生となって、帰って来た。


このセカイを守りたい一心でなった、イレギュラーな戦士。でも・・。実力は、ホンモノ。ただし、精神的には・・。


「このままじゃ、ヤバいな・・。」

留弗夫は、思い返す・・。

以前、戦人は、俺に銃口を向けた。それも、殺意の眼で・・。本気だった。

でも・・。

それを留弗夫は、逃げる事もなく、立ち向かった。

それは・・。自らの罪の象徴だったから・・。


神坂美佳が神坂家の最後の跡取りと言うのは、知っていた。

美佳を護る為に、戦人を置き去りにし・・。留弗夫と明日夢と霧江の三人は、ひたすら守り続けた。

そして、あの日・・。


「うっ!!」

急に頭痛と吐き気が留弗夫に襲ってくる。

あの日から、留弗夫は、度々、この苦しみを味わっていた・・。

「明日夢・・。お前は・・。まだ、俺を許してくれねぇのかよ・・。」

戦人にも、霧江にも、まだ、留弗夫は、3つの隠し事をしていた。

一つ目は・・。戦人の出生。二つ目は・・。戦人の六年前の罪。三つ目は・・。明日夢の死の真相だった・・。


「仕方・・。ねぇよな。俺が甘すぎたんだ・・。でもな・・。もう、許してくれとは、言わねぇ・・。
 唯、隠し事をするというのは、まるで、背中に大火傷の痕を残すぐらいヤバいんだよ・・。」

唯でさえ・・。留弗夫に抱えているココロの傷は、戦人よりも多く・・。そして、傷ついている。

精神的にも、肉体的にも・・。限界は・・。近い。

長年、彼は・・。右代宮家を護る為に、あえて、闇社会の道を選んだ。

表向きは、法律スレスレの商売。裏では、日々・・。魔と闘う道を・・。


その為に・・。戦人を傷つけた・・。

二度と治るかどうか分からないココロの傷を・・。

「すまねぇ・・。戦人、緑寿、美佳・・。お前達にこんな事を背負わせた俺が悪りぃ・・。でも、後・・。頼むな」

そう言って、留弗夫は・・。屋敷の廊下を渡り歩く・・。


その瞳には・・。若干、迷いが生じていた・・。


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