最新話なのです。というわけで、注意事項です

1.コアが7つ以上あります&オリキャラが出ます。

2.怪人がまさかの主役級です。

3.今回の話で・・。飛んでもない事が発生します。


えー、一つだけ新たに忠告させて下さい・・。

これは・・。if・・。つまり、有り得ない話なので・・。


有り得ない事が余裕で発生しますので・・。



うみねこセブン番外編『11話のif〜 紅蒼氷炎晶悲恋宴舞〜』

第5話 戦士が戦士を捨てた日


時は、遡り・・。7月17日 深夜1時 裏通り


「何だよ・・。このコアに誰か居るのかよ・・。」

俺は、コアを見つめながら、静かに思う。

「ルシファー・・。」

二度しか逢わなかったが・・。俺としては、良い女だったと思う・・。

妹達を守る為に・・。俺に全力でぶつかり・・。そして、死んだ。

「俺なんかより、お前の方が戦士としては、お似合いだぜ」





数分前の・・。記憶が無い・・。

あの時・・。そう、裏通りに入った時から・・。記憶が無い・・。

なんでなんだ?

それ以前は・・。あるのに・・。


「ギィィィ!!!」


「!! ファントムか!?こんな時に限って!!」

コアを見つめた後・・。俺は・・。


「紅き光よ!!俺に力を貸してくれ!!【コアパワー!チェンジオン!チェンジレッド!!】」


バトルスーツを身に付け、銃を相手に向ける。

体長は、2m弱。ゲームで良く見るゴブリン系か・・。

ならば・・。

「これで、どうだ!!」


バンッ!!バンッ!!


蒼き幻想砕きだと、かなりの魔力が消耗してしまう・・。

だからこそ・・。今は・・。

通常弾で対処するしかない・・。


いつも、一人ではなく、6人で闘っていたからな・・。

1人だと・・。これだけ、キツイとは、思わなかったぜ・・。

それでも、逃げずに・・。前だけを俺は、見つめる。

逃げちゃ・・。ダメなんだ・・。

だから・・。



引き金を引きながら、俺は、思う・・。


感情など失くした方が良いのか?

無くせば・・。楽になれるのか?

分からねぇ・・。でもよ・・。

あの時、ルシファーは・・。なんで、俺に託したんだよ・・。

普通だったら、俺を殺すはずだろ。

仲間の為に・・。殺して、セブンに衝撃を与えるのが普通じゃないか・・。

でもよ・・。

今じゃ、俺も、ファントムも・・。混乱状態なんだよ・・。

なんで・・。こうなっちまったんだ!!!


「蒼き幻想砕き!!ブルーファントムブレイカー!!!」


蒼き弾丸が、あのゴブリンに、ブチ当たる・・。

けれど・・。

「なっ!!き、効いてない・・。だと・・。」

俺は、すっかり忘れていた・・。


コアのチカラは、俺の感情によって、威力が強弱する・・。

つまり、今の俺の放つ、蒼き弾丸も・・。


怪人一匹・・。倒せない


「ちっ!!!」

このままじゃ・・。


ヤバい・・。もう、やられる・・。


「ゴメンな・・。緑寿・・。」


その時だった。




「あー、駄目ね。全然、駄目だわ」
「えっ?」

俺をじらりと睨みつける女・・。

腰には、拳銃が納めていて、目線は、常に俺に向けられていた。

「天使の双刃【エンジェリック・ツインブレード!!】」

両手から、双刃が現れ、敵を一閃で片づけた・・。


改めてみると・・。その瞳に、似ている少女が居た・・。

「緑寿に似ている・・。だと・・。」

驚きを隠せなかった。

頭に付けたピンク色の二つのボンボンは、俺が前にあげたモノ・・。

何より、俺と同じ、口癖と髪の色・・。

そして・・。蒼く光り続けるコア



俺は、銃口を女に向ける。

女は・・。ビクともしなかった・・。

「殺すの?」
「―――」

引き金を引く・・。

安全装置を外しているから・・。もう・・。一発、撃てば・・。重傷にもなりかねない・・。


コアが黒く染まる・・。

それを女は、見逃さなかった・・。

「!!――― こ、コアが!!」

躊躇なし・・。


バンッ!!!


「えっ・・・。」


バタッ・・・。


「はぁ、はぁ・・。お、俺・・。う、撃ってしまったのか・・。」

崩れ落ちる女


「!!」

周囲に、人が集まるのが分かる・・。

たった・・。一発の銃声が・・。たくさんの人が騒ぎを知る事になる

「不味い・・。このままじゃ・・。」

俺は、変身を解き、血だらけの女を見つけた後・・。

「ゴメンな」

そう言って、俺は・・。また、変身して、空へ、飛び去った。




同日 深夜2時45分 裏通り

『・・。嬢、お嬢・・。』

無線機から、天草の声がしたグレーテルは、起き上がり、状況を確かめる・・。

傷は、深いが・・。魔力が奪われた訳ではない。まだ・・。変身が可能だ・・・。

「天草・・。ゴメン・・。当分の間、神坂をお願いね」
『な、何、言っているんですか!!!お嬢!!!』
「あたしは・・。お兄ちゃんを追いかけるから!!!」
『お兄ちゃん・・。って、戦人さんですか!?』
「そうよ!!!さっき・・。お兄ちゃんに逢ったの!!でも・・。様子がおかしかった・・。天草は、この事を神坂と金蔵に伝えて!!」
『で、ですが・・。お嬢!!アンタの残存魔力は・・。少ないし・・。俺も、行った方が・・・。」

グレーテルは、天草に最後の言葉を告げた。

それは、彼女の本心だった。

「美佳さんは・・。心優しいわ・・。でも、時々、無茶をするわ。それも・・。死にたい。と、私が肌で分かる程にね・・。
だから、天草、もし、私が帰って来なかったら・・。美佳さんを頼んだわよ」
『お嬢・・。って、お嬢!!』


ブチッ!!!


グレーテルは、無線機の通信を切り、もう一度、変身する。

その瞳に、迷いは・・。あったが・・。仕方なかった。

唯、兄を追いかける。それだけが、グレーテルが今居る理由だった。




何度、走っても、走っても、聞こえる声がある。


ぺたぺた。ぺたぺた。


足音が響き・・。


人を撃った感触がまだ・・。残っている。


消えたはずなのに・・。まだ・・。


「はぁ、はぁ、はぁ・・。」


あの女・・。緑寿にそっくりだった・・。

でも・・。


「もう、顔向け出来ないな・・。」

これしか・・。思う事が無かった・・。

『ば・・。・・・。・・。聞こ・・。ら・・。へん・・。』

ノイズのように、聞こえる声。

少女なのは、確かなのに・・・。

ウザい。五月蝿い。それが、俺の今の気持ちだった。

「頼むから・・。声を・・。出すな」

出されたら、俺は・・。



今度こそ・・。人を殺してしまう・・。


コアが黒く染まる・・。

今度こそ・・。漆黒に・・。


(お願いだから・・。貴方も・・。私と同じようにならないで!!!フロストも!!ランタンも!!七杭も!!・・。もっと、自分を大切にしなさいよ!!!
じゃないと・・。お姉ちゃんが・・。私が死んだのは・・。何の為なのよ・・。)




????

「ヱリカ」
「はい、我が主」

どこかの屋敷の書斎で、中学生ぐらいの少女と魔女が話をしていた。

「ジャックフロストとジャックランタン。二人を衝突させる為の盤上は、完成したのね」
「はい。只今、アイゼルネの連中がセッティング。もうじき、完了だそうです」

魔女は、一瞬・・。横を向く。そこには・・。角が生え、着物を着こなしている魔女が居た。

老婆のように見える魔女は、ずっと・・。本を読んでいた。

「――― ヱリカ・・。一つ聞くけど、神坂美佳と言う名前に心当たりはない?」
「あります。私の灰色の脳細胞に刻まれていますから」
「・・・。たった、十数年で、あんな風になるとはね・・。アンタも予想外でしょ。ラムダ」

居ないはずの相手に、魔女は・・。呼びかける。

声が届くと、信じていたいから

「――― 駄目ね・・。届きやしないわ」

やがて、魔女は立ち上がり、『バルコニーに出てくるわ』と、言って、去って行った。




風がたなびく中、魔女は、ふと思ってしまう。

ラムダが去って行った理由・・。それは、自分に関係があったのだ・・。

「――― ねぇ・・。ラムダ、アンタ・・。何処に居るのよ。私は、今も・・。アイツの掌の上に居るけれど・・。それでも・・。
アンタは、私を見守ってくれる?こんな私でも・・。」

声など届くはずが無い。何故なら、ラムダは・・。


もう、この世に居ないのだから





1986年 7月19日 深夜2時 裏通り

コアが黒く染まり、やがて・・。俺に、負の感情が集まってくる。

怒り、憎しみ、苦しみ、痛み、絶望・・。正に、それは、地獄。

こんなの・・。耐えきれるかよ・・。

でも・・。あの女の瞳は、哀しかった。

「ぐっ・・。わぁぁぁぁぁ!!!!!」
(瘴気が・・。漏れ始めてる・・。このままじゃ・・。誰か・・。来て!!!)

身体は、蝕われ、自由を奪われていく・・。

もう・・。終わりが近づく・・。

そう思った時だった!!

「フローズン・デッド・アロー!!!」


上空より、現れた氷の矢は、次々と俺の身体を刺していく・・。



やがて・・。体温が奪われ、俺は・・。凍りついてしまった。



「・・・。」
『!!――― キリエ様!?」

驚いて、ルシファーは、コアから姿を現す。

ゆっくりと地上に降り立つ女性 右代宮霧江のもう一つの姿【氷結の女王 キリエ】

フロストの師匠と同時に・・・。

『どうして・・。貴方がここに居るのですか?』
「――― ルシファー。それは、母親としての役目なのよ・・。と言うより、久しぶりね」
『私の声が、聞こえているのですね・・。』
「一応ね」

ルシファーは、嬉しかった。

今までは、戦人しか、それも・・。たまにしか話せられなかった。

『――― キリエ様・・。お願いがあります』
「何かしら?」

ルシファーは、真面目に、キリエに言った。

その眼には・・。迷いなど、なかった。

『・・・。戦人をお願いします・・。』
「――― 貴方は・・。どうするの?」

ルシファーは、しばし、黙った後、ゆっくりと魔法を唱えた。

『一時的ですが・・。このコアを持って・・。行こうかと』
「そ、それだと・・・。貴方が・・。」

キリエは、分かっている・・。

今、ルシファーを逃せば・・・。後悔するだろう・・。

でも!!

『分かってます。だからこそ、戦人を・・。自分のした罪を償いおうと思っています。その為ならば・・。
貴方を倒してでも、このコアを取って、誰も居ない場所へ逃げます!!

ルシファーも分かっている。

これが、自分自身の罪だということに・・。

「―――― カスミが、調べてくれた情報によると、その瘴気の原因は・・。貴方じゃ・・。ないわ」
『えっ?ど、どういうことですか?』

それは、驚きも隠せなかった・・。

戦人達のココロを壊したのは・・。

自分では・・。なかったのだ。

「仮定の上だけど、聞く?」
『はい』

こうして、ルシファーは、聞くのだ・・。




「どう?理解・・。出来たかしら・・。」
『・・・。気休め程度には、ですが・・・。』

キリエは、ゆっくりと、戦人の凍らせた氷を解く・・。

戦人の意識は、あったが・・。

それでも・・。

『!! つ、冷たい!』

ルシファーでも、分かるぐらいに、戦人の身体は、冷えていた・・。

「・・・。普通は・・。こんなに・・。冷えないのよ。いくら、私が・・。氷の使い手でもね」
『ど、どうして・・。』

ルシファーは、落胆してしまう・・。

死んでいる者だから・・。視えてしまう事がある・・。

それは・・。


他者がココロが・・。どれだけボロボロになっているかどうか・・。光景で分かるのだ


「ルシファー・・。あなたの瞳には・・。何が視えたの?」

キリエの質問に、ルシファーは、答えたくない思いで一杯だった・・。

視えたのは・・。哀しき現実・・。

だからこそ、自分だけの秘密にしたい。

「―――― 黙ってただけじゃ、なにも・・。分からないわ。お願いだから、話して」
『・・・。キリエ様・・。絶対に皆に言えない。と、誓ってくれますか?』
「それぐらい、言いたくない事なのね・・。」
『七姉妹にも・・。フロストやランタンにも、無論・・。ベアトリーチェ様達にも、見せる気は、ありません。これは・・。本気ですから』
「・・・。そう・・。なら・・。聞かないわ・・。」
『聞く必要がない。と、貴方が・・。判断したからですか?』

キリエは、少し黙った後・・。

「元から・・。聞く気がなかったのよ。だってそうでしょう、あの人は・・。」

それ以上を聞こうとしたが、ルシファーは、すぅと・・。消えようとする。

戦人のコアの中に居るおかげで・・。いろんな事が分かってしまった。

キリエの本音も、戦人の哀しみも・・。


そして・・。


『・・・。どうして、もう一人の私は・・。そんなに・・。哀しい顔を・・。瞳をしているのよ・・。』

戦人と闘い、散ったルシファーと・・。

戦人の中に・・。ずっと、居続けたルシファー・・。

二人の運命は・・。皮肉にも、哀しきモノだった・・。



しばらくして、キリエが戦人のコアを取ったのを確認した後・・。

『それでは、キリエ様。戦人を・・。お願いします・・。』
「えぇ、分かってるわ・・。唯、もし、彼が起きた時に、パニックになった時は、どうすれば良いの?」
『貴方のご自由にどうぞ。私は・・。このコアを持って行って、彼女を・・。捜しますから』
「彼女?誰なのよ」
『・・・。もし、居るとしたら・・。ですけどね、この中に居るモノの言う事が本当ならばの話ですが・・。』



『神坂美佳と言う少女をね・・。』


それだけを告げ、コアを奪い、ルシファーは、虚空の中に去って行った・・。


「・・・。」

静かに沈黙するキリエの沈黙を打ち破ったのは・・。


トゥルルルッ!!

「うん?こんな時間に誰かしら・・。」


ピッ!


「もしもし、誰かしら?」
『キリエ先輩!!良かった・・。先輩は、無事なんですね・・。』

そう言うのは、一人しかいない。

正しく、フロストだった。


「無事って・・。どういうことよ・・。何かあったの?」
『先輩・・。お願いです・・。』

フロストは、キリエに、必死の思いで言った・・。



『ランタンを・・。私の大事な弟を一緒に捜して下さい!!!』



続く。




次回予告:


『ずっと・・。一緒だよ』

幼き時に交わした約束は、ずっと守られると思っていた。

なのに・・。

何時から、私の世界は・・。こんなにも、おかしくなったのかなぁ・・。

無意味に感じる全てのセカイが・・。憎くて、辛くて・・。

何よりも・・。姉が、ルシファーお姉ちゃんがいないセカイが・・。嫌だった。

でも・・。

今、何よりも辛いのは・・。


『なんで・・。』


胸が痛い、苦しい・・。それでも・・。

目の前に居る奴が・・。許せないから・・。

前を向くしか、私には、許されなかった。

次回:うみねこセブン番外編『11話のif〜 紅蒼氷炎晶悲恋宴舞〜』

第6話 雪と炎を狂わせる盤上


なんで・・。居なくなったの・・。ランタン・・。


〜NEXT STORY〜


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