事前注意事項

・この話には、オリキャラが出るよ!!主役だよ!!
・怪人も主役系だよ!!
・コアが7つ以上あります。

以下を了承したうえで、見て下さい!!!

うみねこセブン番外編『11話のif〜紅蒼氷炎晶悲恋宴舞〜』

第3話 覚悟と決意の戦士

「はぁ、はぁ・・。今のは、一体・・。」

俺は、幻聴が聴こえた気がしてきた・・。
俺を混乱させるつもりか・・。




翌日 1986年 7月17日 午前10時30分 指令室

「うー、戦人・・。」

「真里亞お姉ちゃん、どうしたの?」

ちび緑寿と真里亞は、戦人に、嫌な予感が当たりそうで、怖かった・・。
特に、真里亞の場合は・・。予知能力。つまり、ファントム直伝の特殊能力が存在している為でもあった。
ちび緑寿の場合は、単なる予想だ。属に言う、ブラコンってやつか・・。




同日 同時刻 グレーテルと天草と美佳の家 

「おはよう、神坂」
「おはようございます。美佳さん、相変わらずのお寝坊さんですね」
「あははは。そうだね・・。お二人ともどちらへ?」
「とりあえず、手当たり次第探ってみるわ。この時代にも、彼女は、居るはずだから」


「彼女??」

「ベアトリーチェよ」
「あっ、なるほど!気をつけて!いってらっしゃい!!」

そう言って、天草さんとエンジェは、出て行った。

私は、残った朝ご飯をパクパク食べた後、皿を洗い終えた後、自分の部屋へ戻った・・。
ただ・・。ベアトの事を思いながら・・。


部屋へ戻った後、ベッドの上に座り、私のリュックから、一枚の写真を取り出した。


その写真は、私の過去の象徴と呼べるのに、相応しきモノ

かつて、うみねこセブンとファントム両者が友好条約を結びながらも、たまに、ストレス発散で襲撃していた頃に撮った・・。

最初で最後の全員集合の写真なのだから

「逢いたいよ・・。朱志香ちゃん、譲治さん、嘉音くん、紗音ちゃん、真里亞ちゃん、天草さん、グレーテルさん、戦人くん」

涙を流しながら、私は、その写真を見ていた。




同日 午前11時30分 ファントム 大広間前

「結局、伝えられなかったなぁ・・。」

昨日、深夜に帰って来た私は、あの事をランタンに話す事が出来なかった。
弟に言えば、きっと、泣いてしまう・・。
そんな事になれば・・。って、思いながら、昨日の夜を過ごしてしまった・・。

「私は、姉失格だなぁ・・。」
「そんな事ありませんよ、貴方は、充分なほどに優しい怪人なのですから」

そんな落ち込む私の前にワルギリア様が現れた・・。

「ワルギリア様・・。」
「フロスト、今日は、ゆっくり休みなさい、後の事は、貴方の上司に任せるので」
「で、でも!!」
「たまには・・。休みも大事なのですよ」
「はい・・。了解です」




同日 正午 ファントムの書斎

僕は、お姉ちゃんが隠し事してそうな気がしてならなかった・・。

そのせいで、僕は、通常業務に参加できずに、この部屋で籠っていた。

「お姉ちゃんは・・。どうして、隠し事をしてしまうのかなぁ」

時折、僕は、お姉ちゃんの哀しい顔を見てしまいそうになる。
僕たちの家族が人間に殺された時も・・。僕たちの種族が人間に殺された時も・・。
お姉ちゃんは、僕を必死に守りながら、失ってしまった大切な何かの事で、コッソリと泣いていた。
僕の前では、優しくて、明るくて、時に厳しいお姉ちゃんで居る為に・・。
自己犠牲と称して、あくまで、自分の為とか、自分のせいです。って、他人のせいにしない。

けど・・。ホントは、泣きたいはずなんだ。泣かないといけないのに・・。

「おや?ランタンではないか・・。」
「あっ、ベアトリーチェ様・・。」




同日 午後1時45分 美佳の部屋

涙を流し終え、洗濯物を干し、適当に料理を済ませた後、私は、昼寝をする事にした。


でも・・。あの時間が永久に続く事なんてない。

私は、今を逃げているのかもしれない。




未来世界 1986年 11月25日 午後12時 うみねこセブン 自由部屋

「うーん・・。これが、こうだから。えーと、この数式は・・。」
「・・・。だー!!!分からねぇ!!」
「うーん、えーと、この単語は・・。」

俺達は、この時期になると、強制的に出動命令がなくなる。

その時期がテスト週間だ。

俺達のテストは、平均的にいえば、ヤバい!
じゃあ、その週間に出動命令があった場合は、どうなるかというと・・。


同時刻 うみねこセブン指令室

「エマージェンシーコールが発令した。セブンは、出動が出来ないので、君達に出動命令だ」
「了解よ〜。任せなさい〜」
「わいらが行って良いんかいな」
「仕方ねぇだろ、セブン達は、試験勉強、邪魔する訳にはいかねえんだ」
「ふん、まぁ、退屈しのぎには、なるだろう」
「私が頑張って皆さんを支えないと・・。」
「お父様、誰がナビを務めるのですか?霧江姉さんも出動するみたいですし」
「うむ。その点は、ワルギリアが務める。各自、ワルギリアの指示に従うように、良いな」
「「「「「「「了解!!」」」」」」」」


同時刻 Ushiromiya Fantasyland メイン広場

「結局・・。また、来ちゃったなぁ」

私は、その日、試験勉強を終えた後、この場所へ来ていた。
服をセーラーにして、上に淡色のカーディガンを着て、白いコートを羽織って、立っていた。


あの日からの疑問が止まらなくて、ここへ来れば、何かが変われる気がしてならなかった。

「私は・・。結局・・。この場所へ立ってしまった・・。引き返す事も出来たのになぁ」

ポケットから、青空と雲で彩られたテレフォンカードを取りだした。

このカードは、私にとっては、心象世界。つまり、私が心から願う風景・・。

「闘う資格なんてないけど、でも!!力になれたら良いなぁ・・。」

私は、日に日に、そう思う時が多くなっていた。

でも・・。学校生活だけは、結局、依然と一緒・・。

暗く、暗く、ジメジメとした生活。

部屋に帰ってきても誰も居なくて、一人ぼっち。

それじゃあ、何も変えられず、私は・・。

ただ、泥沼に浸かりながら、セカイを憎みつくすしかないだろう。


「じゃあ、消えれば、良いじゃないの?」
「!!む、紫のドレスの少女!?」
「あたしは、そんなに長い名前じゃないわ!!エヴァよ、エヴァ。分かる?」

私の前にエヴァと、名乗ったあの時の少女が現れた。今回は、うさぎの兵隊も、異様な兵隊も居なかった。

「はい。分かりますよ」
「そう・・。なら、悪いけど、今度こそ・・。」

ゆっくりと、杖を構え、エヴァは・・。

「消えてもらうから」

冷酷な表情で、杖を私に向けた。


冷静に判断しながらも、やっぱり、エヴァを倒すのは、難しい。彼女は、私と違って、普通じゃない。

だからといって、倒せない訳じゃない。

「冷静ね・・。どこまで、そう冷静で居られるのかしら」
「さぁ、私にも理解できないよ。でも、やらなきゃいけない気がする」

そう言って、私は、逃げる体制をせずにそのまま立ち向かう事を決めた。逃げれば、きっと・・。今度こそ・・。

逢えない気がしていたから

バックステップで距離を取りながら、エヴァとの一定の距離間を空けて行く・・。
時間つぶしだけど、今は、これしかない!!

伸縮性に優れてない杖は、遠距離まで伸ばす事は出来ない。ならば、それを逆手にとって、遠距離まで離れば良い。

「ちっ・・。」

軽く舌打ちをした後、一旦、バックステップを止めて、走りだした。

体力の限界で、とてもじゃないが、持たない!!

「はぁ、はぁ。ヤバいなぁ・・。これじゃ、体力が持たない」

何も出来ない無力な私でも、責めて、逃げて、相手の体力を消費させる事は、出来るはず・・。

でも・・・。

「へえー、こんな場所に来ていたなんてね〜」
「!!」

エヴァは、瞬間移動で、私の所へ来ていた・・。

目の前には、杖に刺を付いたエヴァが構えている・・。

ヤバい、殺される・・。

「た・・。」
「言っとくけど、うみねこセブンは、来ないわよ」
「!!」

今度こそ、殺される。

正義の味方が、来ないならば・・。もう・・。

そう思いながら、目をつぶった時だった!!


「お嬢ちゃん。諦めちゃダメだぜ!」
「えっ?」

そう言って、目を開けると・・。

大きな銃を右手に持った男性が、私の前に立っていた・・。

「霧江!!今だ!!!」
「了解よ。留弗夫さん」

霧江と、呼ばれている人が、左手に銃を持っていた。何者かなぁ・・。

「頼んだわよ。コキュートスシュート!!


コキュートスシュート:霧江がうみねこセブンの戦士として持つ冷気系の技 銃に込める事で、普段溜まってる嫉妬の力が発動。力が増幅する。

氷の弾を銃から、放ち、エヴァに当たり、倒れこんだ。

「!―― 留弗夫さん!!今のうちに、その子を安全な場所へ!!」
「えっ・・。―― 分かった。すぐに、戻るから無茶だけは、するな」

そう言われ、私は、留弗夫と呼ばれている人にお姫様抱っこされて、安全な場所へ誘導された。




同日 午後1時 うみねこセブン本部入口

「ここなら、安全だな」
「あの・・。貴方は・・。誰ですか・・。」
「留弗夫だ、さっきの人は、霧江という人だ」

留弗夫さんは、簡単に説明をしてくれた・・・。

ここならば、いかなる攻撃も、大体、防ぐ事が出来るというシェルターがあるらしい。

で、ここは・・。うみねこセブンという組織の入口だということ・・。

えっ?うみねこセブン!?

「うん?どうした・・。何か、気になる事でもあるのか?」
「あの・・。留弗夫さん、貴方は、まさか・・。」

『ウー、ウー!!非常警戒警報発令!!右代宮霧江様が敵の襲撃を受け、重傷の模様。他の関係者は、直ちに、敵を壊滅せよ!』

「マジかよ・・。」

サイレンの音が鳴り響く中、留弗夫さんが、タメ息を付いていた。当然だろうけど、でも・・。

「姉貴は、大丈夫だよな。ちくしょ!これじゃ、戦人に、うみねこセブンに顔向け出来ねぇぜ」
「えっ・・。うみねこセブン・・。」

その瞬間、何かが芽生えた気がした・・。

「ちっ、仕方ねぇな。お嬢ちゃんは、ここに居な!!絶対に来るんじゃねぇぞ!!」
「ちょ、待って下さい!!!」

そう言って、留弗夫さんは、出て行き、残された私は・・。

「追いかけないと・・。このままじゃ、お礼も言わずにさよならなんて嫌だ!!!」

私は、追いかけた・・・。

助けてもらったのに、何もお礼を言えないでさよならなんて、ゴメンだから!!


その光景を静かに見つめる二人の老人と二人の魔女が居た・・。

「やはり、彼女には、素質があるな」
「魔女だけでなく、戦士の素質か、珍しいパターンだな・・。」
「ですが、本物のコアは、もうないですよ!!予備のコアしか・・。」
「だとしても、彼女は、異端。警戒しなくては、なりません!!」

話している順番は、金蔵、ベアト、南條、ワルギリアである。

「今回のパターンは、神坂家そっくりだな」
「今は無き、もう1つの魔法系の家だったな、通りで・・。だが確か、神坂家は、10年前のアレで亡くなったはず・・。」
「これは、少々調べる必要がありますなぁ」
「そうですね。とりあえず、私は、指示に戻ります。ゴールドスミス卿一つお願いが・・。」
「なんだ、ワルギリア。七姉妹達の保護は、ちゃんとしたぞ」
「いえ、そうではなくて9人目のうみねこセブンの為にコアの準備をお願いしますね・・。」
「あぁ、了承したぞ」




同日 午後1時30分 Ushiromiya Fantasyland メイン広場

走って戻って来た時、私が見た光景は・・。

「あっっっっ・・。」

人が大勢倒れている光景だった・・。

「!―― 大丈夫ですか!!留弗夫さん!!」
「お嬢・・ちゃん・・。逃げるんだ・・。キミが・・。此処に居ては・・。危険だ・・。」
「でも!!!」
「いいから!!!」

留弗夫さんに言われ、逃げようとしたけど・・。辞めた・・。

前方には、狂気に溺れたエヴァだけ・・。

ならば・・。

今こそ、覚悟を決める時だ!!!

「ゴメン。留弗夫さん、私は、逃げるつもりないから・・。」
「ちょ!!!どうするつもりなんだ!!」

留弗夫さんの方で、ウィンクをした後・・。

「こうするのよ!!!私に、皆を守れるチカラを!!!」

霧江さんの腕輪を外して、それを左腕にはめた・・。

すると・・。

ピカーン!!!!

眩しく光り出した・・。


その光景を水晶玉で、眺める人達が居た。

「やはり来たか・・。」
「予想よりも早いな、金蔵よ。彼女を一応、戦士候補生という名目で、セブンのメンバーにした方が良いぞ」
「何故だ?」
「彼女の覚醒が速すぎる。速すぎては、一応、ダメだ」
「以前の・・。うみねこセブンみたいになってしまうのか?」
「可能性は・・。高い。だが支えられる仲間が・・。戦人が居るから大丈夫だと信じたいが・・。」
「分かった。だが、万が一の為にセブンには、連絡を入れておこう」




私は、今まで、セカイを、自分を憎んでいた・・。

憎んで、憎しみ続けて、やがて、それは、自分自身を、他人をも憎み始めていた。

家族なんて、私が覚えている限りでは、居なかった・・。

私の一番古い思い出は、血と血と血と・・。それ以外に何もない・・。

怯え尽して、心を閉ざして、何も考えずに過ごす。それが、当たり前だと感じていた・・。

なのに・・。彼が、彼らがそれを変えてくれた・・。

私を助けてくれた正義の味方、うみねこセブン。

見ているだけで、幸せだった。彼らは、正に白色、光そのものだった。

だからこそ、力になりたかった。一緒に闘いたかった。

その為ならば・・。命だって、くれてやる。悪魔と契約してやる。そんな覚悟だった。

それだけの為に、全ての人生を投げ出した・・。

戦場へも、どこへでも良い。

ただ、こんなセカイを私が憎まなければ・・。

着ていたセーラーがゆっくりと、濃い蒼色のブレザーに変わって行った。
同時に腕輪が空色へ変わり、スカートは、ジャンバースカートへ変わって行った。

「お嬢ちゃん!?」
「あ、アンタが、せ、戦士!?う、ウソでしょ!?」

留弗夫さんとエヴァは、驚きを隠す事が出来なかった。

当然だろう、うみねこセブンは、右代宮財閥の人間しかなれない。

それでも・・。

「お嬢ちゃん!!武器を想像するんだ!!じゃないと、アイツには、勝てないぞ!」
「想像・・。何を想像すれば、良いのかな・・。」

少し、考えて、一瞬、思い出に残っている武器・・。

あの時、私を助けてくれた銃を思い浮かんだ。

紅くて・・。左手で、じっと、正義の味方のように、私を助けてくれた銃・・。

血のように紅いその銃には、確かに正義が、誰かを守りたい。という意思決定が合った・・。

私には、そんな銃を持つ資格など、ない・・。

ならば・・。私には、どんな銃を持てば、良いのだろうか・・。


皆を守る事が出来る銃、そう・・。優しさと幸せを詰め合わせた温かい銃

これが、一番だと思うんだ。何かを守る為には、何かを犠牲にしなければならない・・。

ならば・・。

私は、皆を守る代わりに、これからの人生を犠牲にしよう。

そう思った時・・。


ピカーン!!!!


更に、腕輪が眩しく光り出し、静かに声が聴こえた・・。

それは、聞いた事もなかったけど、温かい声だった・・。

『貴方は、貴方のそうしたいなら、そうしなさい。常に、貴方らしく、それだけを忘れないで・・。』

「私らしく・・。私らしく・・。」

そう呟きながらも、私は、右手をゆっくりと前に出して言った。

「お願いだから、力を貸して!!蒼き光よ、幻想を守りし銃を今、ここに!!ブルースカイ・リボルバー!!

そう言って、腕輪から、私の右手に、蒼く光る銃が握られていた。

それをゆっくりと、エヴァの居る方向へ銃口を向けた。

「チッ、仕方ないわね!!相手しなさい!わたしの家具達!!!」

エヴァの居る左右上下に魔法陣が展開し、ウサギの兵隊と異様な兵隊が約、10人ほど、現れた・・。

「シエスタ410!ここに!」
「シ、シエスタ45!こ、ここに!」
「シエスタ00!ここに!」
「メェー!!」
「さぁ、こんな人間共に、黒き魔女の恐ろしさを見せつけてやりなさい!!!」

ウサギの兵隊と異様な兵隊は、私に襲いかかる。

「お嬢ちゃん!!!弾を出すんだ!!!やられるぞ!!」
「分かっているよ!!!でも・・。どうしたら!!」
「思いを、守りたい思いを、そのまま、相手にぶつけるんだ!!!」

留弗夫さんの言葉をヒントに、銃にゆっくりと、自分のチカラを込めた・・。

こんなこと、しか―― 私には・・。出来ないから・・。

「蒼き光よ!幻想を払う弾となれ!!スカイブルー!!ショット!!」

引き金をゆっくりと引き、思いを込めて、相手の方向へ銃を向け、発射した弾は・・。


空のように、黒き心など一切ない、蒼い弾だった・・。


「にひ!そんな弾、受け流してあげる、にひ!」
「410!!霊子戦に、対応しないと、ヤバいぞ!!」

だが、時既に―― 遅し・・。

「たぁ!!!!!」

引き金を横に引き、410,00の肩を瞬時に狙い撃ちした。

バンッ!バンッ!!

「痛っ!何だ!にひ?」
「!!・・。すいません、大ベアトリーチェ卿。どうやら、我々の負けのようです」
「ど、どういうことですか!!00!!」

動揺する45に対し、410は、静かに言った・・。

「霊子データが、パンクしちゃったにえ。おまけに、全種類の弾も撃てないにえ」
「弾も!?どういうことよ・・。」

エヴァが、静かに呟く中・・。

「お嬢ちゃん。一体、何をしたんだ?」

私は、留弗夫さんの言葉に、若干、戸惑いを感じていた・・。

ただ・・。ウサギの兵隊さんのうちの二人を右肩にぶつけただけだったのに・・。

「チッ。今日は、勘弁してやりたいけど、そうも、いかないのね。仕方ない・・。」

エヴァがケーンを構え、何か言葉を紡ぎ始めた。

「さぁさ、思い出して御覧なさい。空から、ゼリーの海が降ってくる事を!!!思い出して御覧なさい!!」

そう言うと・・。

空から、大量のゼリーが降って来た!!

「ど、どうしたら良いの!?」

慣れない私は、先ほど、撃った弾で、弾切れのようだった・・。


だが・・。

「!!」

留弗夫さんが、何かを感じた後、ゆっくりと立ち、銃を構えた。

「10分したら、うみねこセブンが此処に来る!!それまで、耐え抜くんだ!!」
「えっ・・。うみねこセブンが!?」

私は、正直、驚いていた。

ゼリーは、どんどん、降って来る。

弾切れだけれども、どうしたら・・。

「衝撃弾!!!」

茶色の光と同時に、茶色い弾が茶色い銃から出てきた。

「留弗夫さん!!!」
「良いか、お嬢ちゃん、弾ってのはなぁ、自分のチカラで出さねえと、意味がねぇんだ!!!」
「留弗夫さん・・。」

銃口をエヴァに向けながらも、留弗夫さんは、続けた。

「姉貴、チェックメイトだ。大人達のチカラの源は、魔法じゃねえけど・・。でも、こっちだって!!家族を守りたい気持ちは、一緒、なんだ!!!」
「ちっ・・。どうしてアンタは、そこまで強いのよ!!!コアなんて、戦士の資格なんて、無いくせに!!!」
「戦士の資格?」

私は、その時、その言葉を知らなかった・・。

「あぁ、確かに、俺達、大人組にその資格なんてある奴は、少ねえ。だがな、皆・・。家族を守りたいって、思いだけは、誰にも負けねぇんだ!!!」

留弗夫さん銃が紅く光りながらも、エヴァは、攻撃を止めなかった。

「そう。でもね・・。私は、絵羽じゃないのよ!!」

ケーンの刺を振るうエヴァ、それに対し、弾切れの私・・。

もはや、絶体絶命のピンチだった・・。

「お嬢ちゃん!!弾は、思いのチカラで強くなる!!!お嬢ちゃんなら相当強い弾が撃てるはずだ!!」

思いのチカラ・・。

そうだ、私は、何の為にこの場所に来たんだ・・。

あの時、私を助けてくれた人に、一言、お礼を言いたくて、チカラになりたくて!!来たじゃないか!!

「ぐはッ」

グサッ!!

「あー、こんなに、あっけないとはね・・。でも、ニンゲンにしては、頑張った方よね・・。止めを刺してあげるわ」

留弗夫さんが、血まみれで、倒れているのを見て・・。

私は、自分が情けない事を知った。

「いやぁぁぁ!!!!!!」

ピカーン!!!

強く辺り一面を蒼い光が包み込み、私は、右手に銃を構え、静かに言った。

「蒼き光よ 魔を退き 幻想の闇を撃ち払え!!!スカイブルーブレイカー!!!」

銃から蒼い弾と共に光線が飛びだし、エヴァを狙っていった。

「グハッ!」

バタッ

エヴァが倒れて行き、留弗夫さんは、ゆっくりと立ち上がった。

「なんとかなったな」
「はい、そうですね・・。」

気を抜いた瞬間・・。

「そ、そこまでよ!!」
「「!!」」

刺が、私の目の前まで、迫る。

身体が動かない

なんで!なんで!

動いてよ!!!

私は、私は・・。

うみねこセブンに、助けてくれた感謝を述べなきゃいけないの!!!

そう、思った瞬間・・。


蒼い幻想砕き!!ブルーファントムブレイカー!!!いけ!!」
「「!!」」

私にとって、正義の味方が、蒼い弾と共に現れた・・。

「良かった・・。来てくれたんだ」

バタッ!

私は、疲れが全開に来たのか、フラリと倒れてしまった。


「お嬢ちゃん!?」

駆けてきた留弗夫さんの手に抱かれて、私は、フラフラになりながらも、その光景を見つめていた。

「クソ親父!だ、誰なんだよ。そいつ・・。」
「―― 詳しい事は、後で話す。とりあえず、エヴァを・・。もう一人の姉貴を解放してくれ」
「分かった」

そう言って、エヴァの方向を向き・・。

「ピンク!!」
「うー!!ハートスター!!!

ピンクのマスクを着た少女が、ハート色の星を無数に出し・・。

「レッド!」

コクリと頷き、銃を上に向け・・。

「蒼き幻想砕き!!ブルーファントムブレイカー!!」

蒼い弾を星に向け撃ち・・。

「見ているか、お嬢ちゃん」

留弗夫さんの手が暖かくて、優しくて、温もりがあった。

「あれが、うみねこセブンのリーダーであり、俺の息子だ」


「うー!蒼き星よ!!」
「幻想の闇を払いやがれ!!!」

「「ブルー!シューティング!!スター!!」」

蒼いハート型の無数の星が、エヴァに向けて、当たって行く・・。

「ぐはぁぁぁぁ!!!!」
「降参か?」
「―― 違うわよ・・。」

そう言いながら、ゆっくりと立ち上がり言った。

「降参なんかしないわ。でもね、こんなのになって、惨めね・・。」

エヴァは、倒れてる大人達を見つめながら、感じた。

「あんなのが、あたしの未来の姿か、でも、案外良いかもしれないわね」

そう、呟きながら・・。

静かに言った。

「レッド、変身を解きなさい。アンタ達に重要な事を教えてあげるわ」

そう言った後、私は、気絶してしまった。




同日 午後6時30分 ???

「こ、ここは・・。」
「あっ!きがついた!!!」

目を開けた私が一番最初に視たのは、紅い髪で、ピンク色のボンボンの髪飾りを付けた女の子だった。

年はまだ、10歳も越えてないぐらい幼少で、明るかった。

「おにいちゃん!!!めがさめたよ!!!」
「おう!そうか!今すぐ行くからな!」

そう言って、現れたのは、同じ紅い髪で、学生服を着た男の子だった。

身長は、180を越えているか、越えてないぐらい高く、体長は、普通クラスかな。

「おっ、目が覚めたか!!」
「あの・・。貴方は?」
「俺か?俺の名は・・。」

そう言おうとした時・・・。

「話は後でも良いだろう」

私の居る部屋に現れたのは、二人の年老いたお爺さんだった。

一人は、マントを羽織っていて、もう一人は、スーツ姿だった。

「じっちゃん!!源次さん!!ど、どうして、ここに居るんだ!?」
「おじいちゃん・・。どうして??」

男の方と女の方が同時に驚く。それほどに、この二人がこの場所に居るのは珍しい事らしい。

そして・・。

お前たちの新しい仲間の紹介をしに来ただけだ
「「な・・。仲間!?」」

ほえ?一瞬、何を意味するか理解できなかった。

「お前が、神坂家直系血族の娘か?」
「「神坂家??」」

二人が驚く顔をする。当然だろう、何せ、神坂家は・・。

ほとんどの血縁者が、偽名でその名を語り継ぐから。

しばらく下を向いた後、私は、悩みながら、その質問に答えた。

「外れですよ、勘違いじゃないですか?」
「そうか・・。気のせいか」
「金蔵さん、そろそろ・・。」
「―――― 源次、もう、分かっているだろう」

どうやら、老人は、金蔵さんと源次さんという名みたいだった。

だからこそ。私は、私の名を言った。

「私の名は、琴宮朝奈と言います」
「えっ!?神坂じゃないの!?」
「なるほど。本名を出したくない訳か・・。ある意味、俺達と一緒か・・。
「で、早速だが、琴宮さん・・。」
「はい。何でしょうか?」

次の瞬間、金蔵さんは、私に思いがけない事を言った。

「その・・。空色のコア、ピッタリとお前にくっついているようだが・・。」
「えっ?」

ゆっくりと、左腕を見ると、そこには・・。

まるで、私をマスターのように思うように、コアがくっついていた。

しばらくの硬直後・・。

「あっ・・・。ど、どうしよ」
「マジかよ・・・。」
「緑寿たちとおんなじようになっちゃてる・・。」

そう言った後・・。

「―― やっぱり」

金蔵さんが呟き・・。

「すまない、琴宮さん」
「はい」
「うみねこセブン 戦士候補生になってくれないか?」
「えっ?」

一瞬、戸惑いを感じた、きっと、もう一人の私が、その頼みを受けるな。と、言うのだろう。

でも・・。

もう、逃げも隠れもしない。と、決めたのだから。

「はい!!」

そう、これが、幸せの始まりであり・・。地獄の始まり、なのだから・・。




1986年 7月17日 美佳の部屋

「・・。久々に懐かしすぎる夢を見たなぁ」

起きた私は、腕時計機能が付いてあるコアを見つめる。

時刻は、もう・・。

夕方の5時半だった・・。

「昼寝でいえば、長過ぎたなぁ・・。」

戦闘以外は、常にセーラーな為、やっぱり、動きにくいといえば、動きにくい。

それでも・・。

『BGM worldend 着メロバージョン』

携帯電話を見るとメールが一件追加されていた。

メールの送信主は、金蔵さんだった。

「えっ・・・。ど、どういうこと・・・。」

メール内容に愕然し、驚きを隠す事が、出来なかった。

バン!!

「美佳さん、居ますか!?」

玄関のドアの音が聴こえて、慌てて、私は、階段を下りる。

居たのは、天草さんだった。

「天草さん!?」
「美佳さん、ちょうど良い所に・・。実は・・。」



「えっ・・・。」

次の瞬間、天草から言われたことは・・。

私にとって、想像したくない事実だった。




次回予告!!

中立管理職である私は、唯一人の義姉の事を本当の姉だと信じていた。

でも、その義姉は、もう居ない。

なぜならば、うみねこセブンの一人が殺したから

許せない思い

でも、上司からそれは、いけない。と、言われた。

ならば、私は・・。


僕には、優しい姉と優しい義姉が居た。

姉の方は、時々、怒りやすいが、根は優しくて

義姉の方は、傲慢だけど、優しくて

僕は、幸せだった。

なのに、それを一人の男が奪った。

許せなかった。貴様のせいで、僕の日常は・・。壊れた。

だからこそ、僕は・・。

次回 うみねこセブン番外編『11話のif〜紅蒼氷炎晶悲恋宴舞〜』

第4話 氷の涙 炎の怒り

大切な義姉を殺した人をこの手で、殺すだけ




Tips メール内容

宛先:右代宮金蔵
題名:緊急事態

本文:お前の知っているグレーテルとうみねこセブンのリーダーが行方不明になった。
   大至急、天草と一緒に、探し出してほしい。

   詳しい事は、天草に聞いた後、一緒にセブン本部へ来てほしい。そこで、詳しい事を話そう。




Tips エヴァの最後の遺言

「アンタ達だけに言っておくわ」

エヴァは、裏路地の中で、俺達、セブンに話し始めた。

「二週間程前よ、ワルギリア様やロノウェ様やガァプ様といった幹部たちが、ある一人の蒼髪の少女に叱られていたのよ」
「「「「「「「!!」」」」」」」
「年は、朱志香より下、中学生ぐらい、蒼い鎌を持っていたわ」

エヴァによると、その少女は、時々、やってくる使いのようなもので、ファントムが負け続けていれば、叱られていたと言う。

「で、その子が言ったわ。なら、私がセブンを殺してあげましょうってね」

驚きを隠せなかった。中学生でも、そんなことが言えるなんて・・。

「その子、今度、やってくる可能性があるわ、覚悟しなさいよ、うみねこセブン」
「あぁ、当然だ」
「そう。なら、安心したわ。絵羽を・・。もう一人のあたしを頼むわよ」

そう言って、エヴァは、自ら消え去り、黄金の蝶と、共に、飛んで行った。


それから、数か月後、俺達は、その少女と出逢い、そして・・。

闘う事になる。


〜NEXT STORY〜


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