はーい、作者です!!!
えー、毎度お馴染み、注意事項。ちなみに、美佳のイメージは、マモンです。

1:この話は、うみねこセブンの番外編です。よって、オリキャラ+怪人も主役です。
2:バトルシが、あまり出ません。ベアバトも、あまり出ません。
3:例外として、コアが増えてます。
4:シリアスだらけですが、ほのぼのもあります。

以下を了承した人のみどうぞ!!


うみねこセブン番外編『11話のif〜紅蒼氷炎晶悲恋宴舞〜』

第2話 禁断のセカイの始まり

1986年 7月16日 午後8時 うみねこセブン本部

「じっちゃん!!クソ親父、霧江さん!!」

俺は、雨の中、ルシファーを抱えて、うみねこセブン本部へ帰ってきた。

「戦人くん!?ど、どうしたのよ!!」

霧江さんとクソ親父が、皆が、俺を見つめる・・。

当然だろ、だって・・。

敵の幹部の一人の少女を背負っているんだぜ・・。

「倒れていたんだ!!とにかく!南條先生は!!」
「私なら、ここに居ますが・・。」

どこからか南條先生が現れた・・。

「南條先生!!こいつを助けられないのか!!」

南條先生がルシファーを診察し始める・・。

だが、その結果は、残酷すぎたんだ・・。

「残念ながら、助かりませんなぁ・・。」
「はぁ!?なんでだ!!」
「理由は、詳しく調べないと分からんが・・。出血性ショック死なのは、確かだと思います。」

南條先生の判断は、正しかった・・。

俺は、動揺しすぎて・・。家族を恨みたくなった。

彼女、ルシファーを助けなかった家族が許せなかったんだ。




同日 同時刻 ファントム本部 ジャックフロスト・ランタンの部屋

「ルシファーお姉ちゃん、遅いね・・。」

ランタンは、ランプを見ながら、心配そうに私に言った。

「そうだね・・。これは、余りにも遅いね・・。」

以前から、ルシファーお姉ちゃんは、たまにだけど、遠征という仕事に出てた。


「少し遅くなるけど、必ず帰ってくるから、待っていてね」


いつも、どんな時でも、ルシファーお姉ちゃんは、笑顔で私とランタンにその言葉を言った。


そういえば、今回も言っていた・・。

「どうしてこんなに遅いのかなぁ・・。」

「仕方ないよ。だって、今回の任務は、危険だ。って、言っていたから・・。だから、私たちには、出動命令が出なかったの」

そう私達の場合、今回のみ、ルシファーお姉ちゃんからもワルギリアからも、指示が出されなかった。

そのせいで、逆に不安になって来た・・。






トン、トン


部屋の前の扉の音が二回響いた。


「誰ですか?」

おそる、おそる、扉を叩いた主を訪ねた。

「メェー!!清光雪菜様!!」

「うん?山羊さん?どうかしましたか?」

山羊の皆さんの一人、PN. 山羊助さんが、私のもう一つの名前を呼んだ。

これを呼ぶと言う事は・・。

「メェー、ワルギリア様がお呼びです、一人で来てほしいということです。直接、部屋へ来てほしいとのことです」
「分かりました。すぐに、そちらに向かいますので、ロノウェ様にアイスのストレートと何かお菓子を用意してくれるよう伝えて下さい」
「かしこまりました」


嫌な予感がしてきてしまった・・。

どうしよ、ルシファーお姉ちゃん、どうすれば、私は、この予感が的中せずに済むの・・。

「フロストお姉ちゃん!!」


「!!」

はっと、ランタンの声が、私を我に戻した。

「どうしたの?フロストお姉ちゃん!!顔色が悪いよ・・。疲れが溜まったの?」

いけない。ランタンには、この予感を見破って欲しくない・・。

己を犠牲にしてでも、やっぱり、ランタンと七杭には、幸せになって欲しいから。

「お姉ちゃん、ワルギリア様から、呼び出しをくらっちゃった。ちょっと、行ってくるね」

「うん。大人しく待っておくよ、気を付けてね。ワルギリア様は、怒ったら、罰が・・。」

「分かっているよ。だから、待っていてね。すぐに、七杭の皆が来るはずだから」

そう言って、明るく誤魔化して、私は、部屋を出た。




ワルギリア様の部屋は、かなり歩かないと行けないぐらい長い道の先にある。

私の部屋は、ランタンと初めて1つの部屋だから、ワルギリア様の場合は、個室。

でも、普段は、私と言えども、直接入る事は、許されない禁断の部屋。

私の上司曰く、ワルギリア様の部屋は、ロノウェ様クラスじゃないと、入る事が許されないらしい。

で、上司というのは、まだ、言えない。

でも、いずれ、分かってしまうから。




アイシクル・アイス

ワルギリア様の部屋の近くで、私は、慣れた擬人化の姿から、元の怪獣の姿に戻った。

やり方は、簡単で、両手を伸ばして、言霊を紡いで、今、言った言葉を唱えれば良い・・。

見慣れたどこまでも白い肌と海のように蒼くない帽子を静かに被りなおした。

身長も小さくなってしまい、まるで、マスコットキャラだ。

「これで、良いかな、じゃ、行きますか・・。」




トン、トン

「はーい。どなたですか?」

茶色のアンティークのような扉を二回叩く。

声は、老婆のような声よりも、少し若く、大人の声だった。

「ジャックフロストです。入ってもよろしいでしょうか?」

少し間が空いた・・。

先に口を開こうとしたが、開く前にワルギリア様が口を開いた。

「―― 覚悟出来たならば、その扉を開けなさい。決して、その扉を開けた事を後悔しない事、出来ますか?」

「!!」

私は、驚きを隠せない。ワルギリア様が凄く暗い声で、私に言った・・。

恐らく、この先にある真実は、私にとっては・・。


残酷で、禁断の真実になるだろう。


それでも ――

私は、この扉を叩くことしか出来ない。


覚悟を決めた後、一度深く深呼吸をしてから、私は、扉をゆっくりと、開けた。

後悔だけは、どうしても、したくなかったから。




「失礼します」


ガチャ


扉を開けた先に、居た人物は・・。

私の上司の上司 【有限と無限の魔女 ワルギリア】の姿だった。

「久しぶりですね。ジャックフロスト」
「ワルギリア様、ご無沙汰しております」

私は、ワルギリア様に礼儀を行なった後、椅子に座って下さいね。という指示で、アンティークの椅子に座った。

真正面に、ワルギリア様が座っていて、テーブルの上には、アイスのストレートとホットのストレートとお菓子が置いてあった。

「で、私に呼び出しとは、何です?しかも、私だけ、ランタンを呼び出したくない理由が貴方には、あるのでしょうけど」

アイスのストレートを一口飲んだ後、私は、言った。

特別任務ならともかく、私しか呼び出しが来ない。しかも、直接、部屋へ来なさい。というのは、かなり珍しい事。


嫌な予感しか考える事は、出来なかった。


「実は・・。」

唾をゴクリと飲み込んで、ワルギリア様の言った事を、静かに受け止めた。

「先ほど、ロノウェとシエスタ00から連絡がありました」

嫌な予感しかしない。

次の言葉を聞きたくない!!

ロノウェ様は、幹部で、ワルギリア様の補佐役だから、信用できるけど!!

シエスタ00は、最近来た、エヴァ?じゃない!!ヘソ魔女の補佐役だから、信用できない!!

お願いだから・・。

これが、夢なら、覚めてよ・・。

「連絡内容は、ルシファーの遺体消失でした」


「えっ?どういうことですか?」

「午後6時辺りに、ルシファーの反応が消滅したと、ロノウェから連絡がありました。発見場所は、クラシックセレナーデの貴賓室でした。どこか分かりますね?」

「はい」

「ルシファーは、どうやら、右代宮家の青年が担いで行った所を00が目撃済みです。これが、どういう意味か、貴方にも分かりますね?」

「右代宮財閥の一人に、まさか・・。」

「ルシファーの遺体があるのでしょうね、ちなみに、反応が消滅したのは、コアです」

「―― つまり、ルシファーお姉ちゃんは・・。もう・・。」

少しの沈黙が流れ、涙が、ポロリと、流れ落ちる ――

気がついた時には、もう・・。自然と泣きたい気持ちでいっぱいだった。

怪獣から、人間の・・。清光雪菜の姿に自然と変わっていた。

「うえん!!!ルシファーお姉ちゃん!!!」

自然と泣きまくって、泣いて、泣いて、泣きまくった。




どれだけ泣いても、どれだけ叫んでも、死んだ人が戻ってくる事はない

あー、懐かしい。

ルシファーお姉ちゃんがいつも、いつも、私とランタンと七杭達に言ってた言葉だったけ・・。

「うん、どうしてなの?ルシファーお姉ちゃん」

「あのね、フロスト。死んだ人は、遠い空の向こうへ行っちゃうの。 そこへ行ったらね、もう、こっちへ戻る事は、出来ないの。

天使になって、生まれ変わりをしない限りは―― ね」

「へえー、そうだったんだ。」

あの時の私は、まだ、言葉の意味が出来てなくて、普通に受け流していた。

でも、今、やっと、それを理解した・・。

もう、ルシファーお姉ちゃんは、帰って来ない・・。

私や七杭やランタンに笑ってくれない・・。




泣きまくった後、私は、顔をあげ、ワルギリア様にお辞儀をして、その場を立ち去った。




同日 午後11時半 某高層ビル 社長室

「何も知らないのよね?」
「えぇ。残念ながら・・。」

男は、小此木哲郎という人で、私の居たセカイでは、右代宮財閥の援助をしてくれている人で、このセカイでも、右代宮財閥よりやや低めのお金持ちで・・。


現在は、絵羽伯母さんの会社の側近のようなカタチみたいだと調べたら分かった。


「そう・・。悪いわね。いきなり、拳銃なんか向けて」

私は、グレーテルっぽく、言ってしまう。

「いえいえ、わいこそ、逢えて良かったと、思いますぜ」
「そうですか・・。感謝します。それで、再度聞きますが、このセカイにも、右代宮戦人は、居ますよね・・。」

「えぇ。尋ねますか?尋ねるんやったら・・。」

「―― まだ、尋ねません。というよりも、尋ねるよりも待った方が良いと私は、思いますので」
「そうですかい。だとしたら、これから、どうするんですかい?」
「ファントムの事を調べたり・・。後、未来で起きた惨劇の当事者や関係者を探ろうかと」
「―― その決意、忘れないで欲しいですな。」

「はい。忘れませんよ。だから、小此木さんは、私に、情報を下さい。右代宮財閥の情報やファンタジア・エンタープライスの情報をお願いします」

「了解ですぜ。連絡は、その・・。どうしたら良いですかい?」

「あっ」

慌てて、シャーペンを取り出し、雲と青空の綺麗な背景のメモ帳に書き始めた。

「こんな感じですか??」

そう言って、小此木さんに渡した。

「えぇ。感謝致します。えーと・・。」
「美佳です。神坂美佳、では、ありがとうございました。小此木さん」

そう言って、私は、小此木さんの部屋から立ち去った。





同日 午後11時45分 某高層ビル 玄関前

ビルを出て、家に帰ろうとした時・・。

「お疲れ様です。美佳さん」

そこに居たのは、黒い車の傍で、ぼーと、空を見ていた、天草十三だった。

車の中には、エンジェが後部座席に居た。

「お疲れ様よ、神坂」

エンジェは、相変わらずの無表情で、私を名字で呼んだ。

自動ドアが開いて、私は、助手席に乗り込んだ。




車の中

「そういえば、結果は、どうだったのよ・・。」

エンジェが夕食の卵のサンドイッチを食べながら言った。

「ダメでした。ただ、協力は、約束する。と、約束してくれたので」
「そうですかい。美佳さんは・・。今回、強引過ぎじゃなかったですか?」

天草さんに指摘される私は、さすがに・・。やりすぎた。と、思った。

「美佳は、目立ちすぎよ。私たちは、うみねこセブンじゃない。戦士なのよ。その自覚は、あるの?」

エンジェによると、戦士とは、隠密に行動し密かにファントムを消す者

でも、私は、そう思う事は、出来ない・・。

あんな未来を味わったとしても、それでも、私は、戦士候補生。

今の私をグレーテルさんと天草さんは、どう思うのだろう。

「ありますよ。だからこそ、こうして、守っているのですよ・・。」
「なら、良いけど、今日は、お留守番ね。家の番を頼むわ」
「はい」


「お嬢、ムリだけは、しないで下さい」
「分かっているわよ。だから・・。今から、寝るわ。家に着いたら起こして」
「了解です」

そう言って、エンジェは、ビルケースからビタミン剤と睡眠剤を飲んで、静かに眠りについた。

だいぶ、疲れていたのか、すぐに寝息が聞こえ始めた。


「全く、無茶しているのは、どっちですか?」
「あははは。そうですね・・。」

私は、ビタミン剤など飲まずに、天草が作ってくれたサンドイッチを食べた。


「そういえば、美佳さんは、このセカイに来る前のセカイって、どんな感じでした?」
「ここと、似ていました。別のセカイにとって、うみねこセブンは、大切な仲間、そして、グレーテルさんと天草さんは、私にとって、大切な人でした」
「師匠みたいなカタチですか?」
「はい」


車の中で、私は、移り行く景色を見ながら、思ってしまう・・。


このセカイだけでも、絶望の渦に巻き込みたくない。




ふと、今でも思う事がある。

私は・・。この盤上に立っても良かったのか・・。って・・。

どうしても、思ってしまう。だからこそ、エンジェに指摘されるかもしれない。

エンジェも天草も、ううん、セブンもその家族も、何かを守りたかったかもしれない・・。


なのに、私には、そんな資格は、合ったのだろうか・・。


「美佳さんは、その・・。聞いちゃ悪いんですが、戦士になろうと、迷った時期は、ありましたか・・。」
「ありましたよ。散々、悩みました。でも・・。」
「でも?」
「ある時に、あの人が言いました。守りたいモノを守りたいのならば、それを相応の覚悟と決意が必要である。戦士とは、全てを犠牲にしてでも、守る者を守れ。って」
「美佳さんは、その言葉の真意を分かっているんですか?」
「―― 正直に言うと、私は、もう・・。どうしたら、良いのか分かりません・・。ただ・・。幻想を守りたい・・。でも、守ったら、エンジェに叱られますので」

私は、ほんの少しだけ、微笑を浮かべた後、ぼーと、し始めてしまった。





遠くて、懐かしいユメを見ていた。

そう、戦人くんや真里亞ちゃんや緑寿が所属していたセブンに就職するか、学園へ進学するべきか、私は、悩んでいた。

そんなユメを見ていた。


未来世界 神坂美佳の回想

季節は、秋から冬に近づこうとしている 11月下旬

中学生最後の年と高校生最後の年にとって、この時期から、地獄と苦しみと・・。そして、逃げたくなる時間が始まる・・。

私は、進学をするべきか就職をするべきか、で悩んでいた・・。

「はぁ、どうしよう」

教師らは、口を揃えて、進学しろ。って、言ってきている。なんと、私の成績は、学校長が推薦しても良いレベルらしい。

そんなの絶対に嫌だ。だって、進学するとしたら、どこへ行くのも自由だけど、そんな、ふざけた場所へは、行きたくない。

なのに、私は、選んでしまう。

私は、弱いから・・。

素直に、言葉に出す事が出来なかった。

私は、やっぱり、こんなセカイが大嫌いだ。

だからこそ、何度、このセカイから消えようと思い、何度、屋上から飛び降り自殺をしたのか忘れた・・。

両親も居ない私にとって、このセカイは、無意味だと、感じてしまう・・。

なら、どうして、こんな場所に居るのか?どうして、この場所に立っていられるのか・・。

いつも、疑問に思ってしまう・・。

空がどれだけ蒼く染まっても、雲がどれだけ白く染まっても、私の心は、灰色で・・。

辛く、凍りついた感情で、なのに・・。私は、生きてしまっている・・。

「右代宮財閥とうみねこ学園とうみねこセブンか・・。」

あれから、一か月・・。私は、自らの人生に迷いながらも、自分を助けてくれた正義の味方について、調べていた。

最初は、戸惑いを感じたけど、それでも、それを見なきゃ後悔してしまう。と、思ってしまったから・・。

そして、知ってしまった・・。でも、後悔は、してない。

むしろ・・。良かったと思う・・。

でも、今を思うと、私は、引き返すべきだったと、感じては、いない。

引き返せば、逢えてない。引き返せば、私は、盤上に立っていない。

「はぁ・・。結局、どうしたら良いのかなぁ・・。」




同時期 時刻不明 うみねこセブン本部 指令室

「うむ・・。困ったな・・。」
「どうしましたか?金蔵さん」
「どうかしたのか?ジジイ」

南條と留弗夫と金蔵と、そして・・。

「当主が悩むなんて、珍しいわね・・。」

ナビゲーター役の霧江の4名が指令室に居た。

うみねこセブンは、お休み中だ。

「霧江に、バカ留弗夫に、南條か・・。丁度良いだろう、これを見てくれ」

そう言って、3人に、愛用の水晶玉の中に映し出したある風景を見せた。

この水晶玉は、魔力がとても強く、うみねこセブンは、この水晶玉に映し出したメンバーで、揃っている。

なのにだ。

ここ、最近それの様子がおかしいらしく、8人目の戦士である 右代宮緑寿(ちび緑寿)が映し出したりしているが・・。

新たに、映し出された人物が現れた・・。

「こ、これは!!」
「うそ!!一般人!?」
「しかも、女!?」

と、南條、霧江、留弗夫の順に驚いていた。

映し出された風景は、今から、一か月前の風景だった。

「これに映し出している意味は、戦人達、セブンには、言うな」
「どうしてだ?」
「混乱を招きたくは、ないのね」
「その通りだ。今、緑寿が8人目として頑張っている今だからこそだ」
「了解よ。戦人くん達には、伝えないわ」


そうして、3人が立ち去った後・・。

「まさか・・。彼女が9人目のうみねこセブンか・・。居るのだろ、ベアトリーチェ」

黄金蝶と共に、ベアトリーチェが顕現した。

「くっくっく。金蔵よ、そなたが思う事などお見通しだぞ」
「それは、良かった。ならば、聞こう・・。
彼女は、セブンになれるか?」

「分からぬ。だが、魔女の素質は、あるぞ。彼女の魔法は、幸せの魔法だと、妾は、思うからな」




「美佳さん。着きましたぜ」
「ほえ!?あ、天草さん・・。ご、ゴメンなさい。家で休んでいますね。お仕事、頑張って」

そう言って、私は、車から立ち去り、家へ戻って行った・・。

ぼーとしてしまって、何だか懐かしすぎるユメを見ていた。

「はぁ。そこに居るのでしょ。出てきて良いよ」

右手に銃を持ち、左腕にコアを付けて、ゆっくりと、構える。

ゴメンね・・。戦人くん・・。もう少しだけ、そっちに行くの、待っていてね・・。

必ず、戻るから。そしたら、私は、誰も哀しまない戦士になるから。

だけどね、このセカイにも、哀しむ人は、居る。

かつての私が居るの・・。

だから、少しだけ待っていてね・・。

「ゴメンね・・。少しだけ、我慢してね。アクア・ショット!!!

水しぶきの水で作られた弾を相手にゆっくりと放つ!!

影は、ゆっくりと、消滅し、地面へ堕ちて行った。

「結局、何一つ変わってない・・。常に、黒き魔女と白き魔女が存在する限り、影は、現れてしまう・・。」

そう、呟きながらも、私は、家へ戻った。




7月17日 午前0時30分 美佳とグレーテルと天草の家

ガチャ

「ただいま・・。って、誰も居ないか・・。」

本当に小さな家。3LDKぐらいだったかな・・。

お風呂ありで、私の部屋は、本当に狭い。

でも、それでも、本当に限りなく幸せに近い場所だと、感じてしまった・・。




7月16日 午後11時45分 うみねこセブン 指令室

バン!!!

「答えろ!!!貴様、あの時は、何をしていた!!!」

蔵臼叔父さんの声が聞こえる・・。

もう、何もかもどうでも、良かった・・。

こんな職務質問っていう時間は、長く感じてしまい、凄く、凄く、嫌だった・・。

ただ、ルシファーと決闘をして、ただ、闘って、俺は、力尽きて・・。

目が覚めたら、コアがあって、ルシファーが倒れて、なのに、尋問だなんて、そんなの間違っている、だろ!!!


俺は、知らず、知らずの内に命令違反をしていたんだ。

理由は、分からなくて、ただ、両親を、家族を・・。


憎む術しか知らなかったから。


7月17日 午前1時 裏通り

「はぁ・・。結局、何も信じてくれないんだな・・。」

これが、絶望と言う表現なのか、そうなのか、分からない・・。

でも・・。

だったら、俺は、どうしたら、良いんだ・・。

「俺には・・。戦士の資格がないのか?」

悩み、苦しみ出す度に、俺のコアが反応する。

「俺は・・。このまま・・。」

反応し、黒く染まって行く、ココロも、コアも、黒く染まって行った。

「こんなセカイ・・。消えてしまえば・・。」

目が虚ろになりそうな時に・・。

「駄目ぇぇぇぇ!!!」

女の子の声が、ルシファーの声が聴こえたんだ・・。

聴こえた瞬間に、コアは、黒く染まらなくなって行き、色は、元の紅色に戻った。



3話目に続く

次回予告!!!

あの日、私を助けてくれた正義の味方が気になって、私もその道を歩みたくなった。
灰色のココロを溶かしてくれた貴方が気になった。

だからこそ、私は、その道を往く・・。


例え、それが、禁じられた道だとしても!!

次回 うみねこセブン番外編『11話のif〜紅蒼氷炎晶悲恋宴舞〜』

第3話 覚悟と決意の戦士

私は、この場所で、この盤上へ立ちたい訳じゃない。

ただ・・。

あの日のお礼をしたいだけなの。


〜NEXT STORY〜


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