うみねこセブン番外編『11話のif〜紅蒼氷炎晶悲恋宴舞〜』

第1話 始まりは、突然に訪れるモノ。

それは、突然の出来事だった・・。

「な、なんだよこれ・・。」

俺が目を覚めると、目の前に居たのは・・。

「ル、ルシファー!!」

ルシファーが血だまりの中で、倒れていた。

慌てて、俺がルシファーの所へ駆け寄ると・・。

ちょうど、左胸辺りに・・。




小さな穴が開いていた・・。

穴は、直径5pの大きさ。即死と考えても良いぐらいの致死量があった。

「な、なんだよ。これ、冗談じゃないぜ」

俺は・・。とてもじゃないが、今の状況を俺でも理解は、可能だった。

ルシファーの近くには、紅いコアがあったからだ。

「何だよこれ・・。」

丸く、水晶玉みたいに透き通ったぐらいに、すぐにでも、壊れるぐらいの綺麗な紅色のコアだった・・。

「これは・・。一体、何の冗談だよ ――」

俺がそう呟いた後・・。

空には、雨がポツリと一粒、俺の掌に落ちてきた・・。

空もまたこの闘いの結末を嘆くように・・。




「ま、マジですか・・。貴方が・・。」

「嘘だという話かもしれませんが、事実です」

「証拠は、あるんですかい?」

そう男が言うので、私は、蒼色のリュックサックの中に入れてる、3つのモノを取りだした。

1つ目は、未来での写真。風景は、壊れたビルや崩れた街を上空から撮影してる。

2つ目は、戦士候補生証明書。この世界じゃセブンを証明できるのは、コアだけだから

3つ目は、1つ目と同じ写真だが、写っているのが少し違っている。

「こりゃあ・・。今では、有り得ない光景ですね・・。」

男は、じっくりと、眺めてるうちに私は、その写真についての説明をした。

「その写真は、ファントムに支配されて・・。未来の世界が終わりを告げる前に撮った写真です。廃墟や街を撮影したのは、それが、今の現状だと言う事です。
 
 この写真を撮った約1週間後に、世界の約80%が地に堕ちています。残りの20%は、幻想を信じないアジ★系で、辛うじて残っている状態です」

「で、これが証明書ですか?」

男がそう尋ねると私は、はい。と、答えた。

縦10p、横5pもないぐらいの長方形のIDカード。


未来には、どうしてもこれが無いと証明が不可能になっている。

何しろ、本物の戦士である戦人達は、ファントムよりも強いやつらとの闘いで亡くなった。




少し、昔語りをしようかな・・。

そう、始まりの時間を。

私が未来世界に居た時の事を




未来世界 1986年 10月15日 午前10時 Ushiromiya Fantasyland園内にて

その時の私は、何もかも知らなかった。

ただ、この遊園地へ遊びに行ったら、楽しいから。って、クラスメイトが言うから来ただけだった。

バカ馬鹿しい。皆、進路と言う壁にブチ当たって良くそんなヒマな時間が取れる。

私には、こんな下らない時間が退屈で仕方なかった・・。

何しろ私には、恋する資格もゼロに等しいぐらいの勉強バカだった。なのに・・。それは、あの日をラストに消え去った。




クラスメイトからは、勉強好きの女としか見てなくて、両親もとうの昔に亡くなって・・。
天涯孤独の身だった私は、新たな人生を歩む為に進学先を決めてなかった。

ちなみに、現在の在籍校は、青葉女子高等学校。
この近くでは有名な私立校で言わば聖ルチーアと同等の学校である。

イジメとかは、ないけれど・・。それでも・・。




「アンタバカぁ〜。何で、こんな馬鹿な人が居るのよ」
「アンタなんか、存在してるだけでバカなのよ、バーカ、バーカ」

ふざけるな。そんなのこっちから願い下げに決まってる。

大体、私は、こんな場所に来たくなかったんだ。

なのに・・・。私は・・。それをクラスメイトに言えなかった。




悪口だらけで退屈すぎるこのセカイが憎くて、明日が来るのだけでも嫌だった・・。

でも、それは、あの日をきっかけに変わった。


「なぁ、真里亞。今日こそは、アイスの早食い勝負、負けねぇからな!!」
「うー!真里亞も負けない!!今日も勝つ!!うー!」
「戦人くんは、羨ましいな。そんなに早食いが好きなのかい?」
「そんなことねぇぜ。譲治の兄貴。ただ、俺は、アイスが好きなんだよ」
「へぇー。そうなんだ、意外だぜ。」
「お兄ちゃん。お腹壊したらダメだよ・・。」
「譲治様は、アイスは、食べる方ですか?」
「姉さん。今は、仕事中だから黙らないと・・。」
「戦人、アイスを食べるのも良いけどたまには、キムチを食べなさい」
「お嬢。それは、どうかと」

楽しくはしゃぐ9人の男女。私は、そんな光景が羨ましかった。

学校では、そんな光景は、夢のようで、私は、彼らが羨ましすぎていた。

交りたいとは思っても、叶わない夢物語だから・・。

これもまた、夢なんだと私は、思ってしまった。

でも、夢じゃないと私は、すぐに知ってしまうのだから・・。




午前12時 うみねこセブン本部

俺は、エマージェンシーコール。つまり、緊急召集がかかるまで、指令室に居た。

「はぁ。緑寿、今日も出動するのか??」
「うん!!お兄ちゃんを守るんだもん!!!」

俺は、緑寿が今日もうみねこセブンとして出る事を聞いて正直、ビックリしてた。

ここ毎日、緑寿は、出動していた・・。しかも、俺に黙って・・。

ばらしたのは戦士の一人 真里亞だった。コッソリと俺に耳打ちした。

で、その場合、セブンの編成は・・。

祖父様が7つのコアを事前に用意していたが、一つは、第7の戦士用なので・・。

事前に緊急時に備えて創られた予備のコア。つまり、俺達のコアが100%だとしたら、予備は、80%ぐらいの緑寿用が用意されたわけだ。

ただ、このコアは、大人も使えるのだが・・。使ったら、いろんな意味でヤバい事になる。
というのと、緑寿がコアに認められたので、自動的に緑寿のモノになった。

「大丈夫だよなぁ?グレーテルに助けられたら・・。」
「助けられない様に努力するよ!!!」

そう言うと、緑寿は、武器の調整に入った。

武器は、おもちゃのハンマー。これだけでも、案外すごい武器になるんだぜ。

何しろ真里亞ことピンクによるエンチャント魔法とある人の浸透付加付きによりかなりの使用出来る属性が増えている。

ある人は、また、今度、話す事にしよう。




同日 同時刻 Ushiromiya Fantasyland園内

ぼーと、しながら、園内を歩き続ける事、約2時間。

城の方で12時の合図がしたと同時に・・。

私の日常は、360°変わってしまった。




「退屈だなぁ」

持ってきた財布のお金を確認したら、幸い、昼ご飯代はあるので・・。
何か買おうとベンチからレストランへ向かおうとした時だった。

ゴーン。ゴーン

城の方から鐘が響く音がしてきた。

腕時計を持って来てたので、今の時間を確認すると12時。正午と言うわけだ、通りでお腹が空く訳か・・。

そう、思った、その時だった。

ビュー、ビュー

かなりの強い風が吹くと同時に・・。

「な、なに!!」

山羊の頭をした、いかにも異様な感じがする人達が10人ぐらいと
紫のドレスを着て翼が片方欠けてる杖を持った少女とうさぎの耳をした3人の兵隊?っぽい人が私の目の前に現れた・・。



何が起こってるか分からない。夢だと思いたいぐらいだ。夢なら覚めてほしいけど・・。

「悪いわね。夢じゃなくて・・。」

どうやら、杖を持った少女は、私のココロを読んでるらしい。

厄介だなぁ、私、こういう隠すのは、ニガテなんだよ、お母さんもお父さんも武道家でもなかったみたいだし。

てか、私に家族なんて呼べる人は、居なかったからなぁ。

そう思った後・・。彼女は、杖を私の方へ向けようとした・・。

「悪いわね。消えてもらうわよ。幻想を繁栄させる為にね」


恐怖という殺気と狂気が同時に来て、冷や汗が出た・・。

殺される・・。という恐ろしい血の雨に打たれながら、静かに腕時計のアラーム音を急激に最大ボリュームで鳴らした!!!

ビッビッビッ!!ビッビッビッ!!

およそ80ヘルツの音量のアラーム音がかなり響く・・。

80ヘルツだからクラスがかなり騒がしいレベルだったけ・・。

「な、なによ!!この音!!!」

その隙に私は、走る!!

運動部に入ってない私は、何もかも無力で、助けを叫びたくても、こうすることしか出来ない・・。


「ハァ、ハァ・・。」

数百メートル走ったところで、近くの電話ボックスに身を隠す・・。

「カード・・。用意しないと・・。」

財布から、テレフォンカードを取り出し、ゆっくりと、電話のカード入れに入れる。

カードの絵柄は、青空と雲。ツッコミ禁止ね!!

「ど、どうしよう・・。どこに電話しよう」

警察に電話しようと思うが、さすがに即ムリだ、この状況が説明しにくい。

ならば、どこなら良いのだろう・・。

静かにそれを考え始める、始めてる間にも敵は来る。

対処は、迅速にしないと意味が無い。

思いついた場所は、ここしかなかった・・。

「そうだ、パンフレットに書いてあった電話番号・・。」

慌てて、リュックサックから、クラスメイトからくれたパンフレットを取り出す、そこには、ある電話番号が書いてあった。

クラスメイトが万が一の場合、『この番号に電話をかけたら、正義の味方が現れるから。と、言われ渡された番号』を私は、かけることにした。

電話をゆっくりと、手にかけ静かに、プッシュボタンを押す。

「TEL番号は・・。」

見ながら、静かに耳に受話器を当て、その番号にかけた。


ガチャ。

ほんの少しの空白が流れた後、女性の声が聞こえた・・。

勇気を出して、静かに言った。

「わ、私、紫色のドレスの少女と山羊みたいのに追われてます!!た、助けて下さい!!!」
「了解よ、今、どこに居るの??」

慌てて、近くの建物を視る。大きな城と綺麗な噴水とメリーゴーランドが近くに視えた。

「城と噴水とメリーゴーランドが視えます!!私は、その近くの電話ボックスに居ます!!」

「なら、そこを離れないで!!すぐに、向かわせるので!!」

そう言うと、プツリと電話が切れた。


私は、走った際の汗が額に滲み、動くのもやっとだった。

「はぁ、はぁ・・。助けて・・。」

お腹が空きまくってるが、それでも、耐えきるしかなかった・・。

今、動けば、絶対に殺される事を私は、理解していたのだから。

ドン、ドン、ドン

ドアを揺らす音・・。不味いこのままじゃ・・。

必死に祈りし続ける。

正義の味方がきてくれることを・・。




うみねこセブン本部

エマージェンシーコール発令!うみねこセブン出動せよ!!

「来たか!!」

サイレン音と共に俺は、出動する。

「お兄ちゃん!!緑寿も行く!!」

緑寿もおもちゃのハンマーを持って、出動した。


ちなみに、他のメンバーは、現地で今日は、直接合流するんだぜ。





「やっちゃいなさい!!わたしの家具達!!」

紫のドレスを着た少女が、うさぎの耳をした兵士?さん達が金色の弓を私に向ける・・。

あー、これが*ぬ。ってことなのかなぁ。

「了解いたしました。45、410。射撃用意!!」

紅い何やらの数式みたいのがあるのがはっきり視えた・・。

あんなので、貫通するとは、思いたくないけど・・。

「大ベアトリーチェ卿、一発だけ、ミス発を放ちますので」
「好きにすると良いわ」

その一発を静かに私に向ける・・。

照準先は、顔からおよそ5p離れた場所。

「射撃!!!」

ズッシュン!!!!


黄金の弓が秒速100メートル以上の速さで私の居る電話ボックスに迫る・・。


刺さらなかったモノの死の恐怖は、体験できた・・。


後が、がら空き状態で
正に死と隣り合わせ。

次こそ敵は、私を必ず狙う。


その証拠に私の前にあるガラスは、全て割れた。


もはや時間の問題。


このまま、正義の味方が来ないと思い、ただ、呆然とした時だった。


蒼き幻想砕き!!行け!!
「エンチャント付与セット!!氷のハンマー!!


バコン!!ドキューン!!

氷のハンマーと蒼い銃弾が私の近くで炸裂した。

「だ、誰なの!?」


「今のうちに逃げて!!」
「えっ?貴方は?」
「良いから速く!!!」

制服を着た女性が私を誘導させ・・。

『天草!指定を言うわ!!シエスタ姉妹兵に射撃を一発頼んだわよ!!』

通信機と思われる、黒いスピーカーを手に持ち、相手の方へ通信をしてた。

男の人だろうか・・。年齢は、声から20代後半、女性は、紅い髪に、制服姿で、10代後半に視えた・・。

『了解、お嬢もしっかり頼みますよ』
『分かってるわ。無茶は、しないから』

その合図と同時に女性は、私を安全な場所へ避難させ、深く深呼吸した後、ゆっくりと目を閉じ・・。

「蒼き剣と紅き剣よ!!私に幻想を切り裂く双刃を!!」

彼女の両手から、蒼い剣と紅い剣の二本の剣が出てきた・・。

「良い!!決して、そこから、動かないで!!」

彼女がそう言うと、静かに戦場へ舞い戻った。




「ピンクは、魔法で時間稼ぎを頼む!!その隙にボクとイエローでシエスタを止めるよ!!レッドとちびブルーとブルーは、エヴァを!!」
「うー!!援護だね!!大丈夫!!ベアトリーチェから教えてもらった魔法を使うよ!!」
「グリーン!エンチャント無しで行くのか!?」
「大丈夫!!時間稼ぎだからね。イエローも集中するんだよ!!」
「エヴァね・・。やってやるわよ!!!」
「ちびブルーも頑張るよ!!」
「おうよ!!任せておけ!!」

戦闘モードの俺たちは、エヴァとシエスタと山羊さんの撃退に専念することにした・・。




信じたくなかった・・。

これが現実だと言うことならば・・。

今まで見てきたモノは、ウソのセカイだと、この時の私は、思ったに違いない。




数分後・・。

変身を解いた俺たちは、何故か、嫌な予感がしていた。

「へーん!!どんなモンダイ!!」
「うー!!何とか倒せた!!」
「でも、おかしいね。シエスタと山羊さんは、居るのに、エヴァが居ないね」
「逃げたんじゃないか?アイツもだらしねぇなぁ」
「いえ、そうじゃないかもしれません」
「嘉音くん、武器は、締まってね」
「でも・・。ならば、おかしいわね・・。」
「ブルー、どうかしたの?」
「天草、状況を報告して」

『こちら、雲雀13!!お嬢!!敵さんの魔女の居場所を補足しましたぜ』

通信機から、天草さんの声が聞こえていた。
雲雀13とは、天草さんの仕事中のコードネームらしい。

『ホント?どこに居るのよ!!』
『厄介な居場所に居ますぜ。おまけに、一般人と一緒ですぜ』

それを聞いた後、俺は、急いで、走り出した。

「ちょっ!戦人!!『天草!!居場所を戦人のコアに転送しなさい!!良いから、速く!!!』」
『了解ですぜ』


頼むから、間に合ってくれ!!!

俺は、その事だけを思い、即座に、うみねこレッドへ変身した。

紅き光よ!!俺に力を貸してくれ!!【コアパワー!チャージオン!チェンジレッド!!】」




私は、電話ボックスから数メートル離れた場所で休憩していた、さすがに、汗は、出てないが、体力が限界に近いのが分かる。

紫のドレスを着た少女は、たぶん、倒されたはず・・。

「見つけたわ」

「!!」

狂気と共に、私の背後から現れた少女・・。

正しく、彼女だった・・。


「セブンの命を狩り取れ、って、命令されたけれど・・。予定変更、アンタの命を先に奪うわ。幻想の闇に消えなさい!!」

紫のドレスの魔女は、片翼の杖を静かに私に振り下ろそうとする。

怯えてしまいそうに、本当に怖かった・・。

だから、私は、叫んだ・・。



「た、た、助けてーー!!!」


最後の希望が尽きない事を信じて・・。


「あぁ、駄目だ、全然駄目だ!!!」

銃を構えて、現れる青年は、紅い戦闘服に、紅い拳銃を持っていた。

「ちっ!良いタイミングでいつも、現れるわね。うみねこレッド!!」
「―― 一般人を巻き込むなんて、俺が許すと思うか??」

そう言った後、紅い拳銃を紫色の魔女の方向に向けて・・。

蒼き幻想砕き!!行け!!!!!」

蒼い弾と同時に、紫色の魔女は、大きなダメージを与えたみたいだった。

精神的にも、身体的にも、大きなダメージを・・。

「ふぅ・・。大丈夫か??」
「はい。私は、平気です・・・。」


これが、私と戦人くんの出逢い・・。

私の運命がほんの少しだけ変わった、ある日の事だった・・。




次回予告!!

戦人が、帰るべき場所へ帰った時、彼は、憎しみと怒りとを知った。
フロストが、ある人から呼び出しを食らった時、彼女は、哀しみと同時に、大切な人から教わったある言葉の意味を知った。
ランタンが、ただ、一人でぼんやりしてた時、七杭の一人の少女が彼を訪ねて、疑惑。という事を知った。

そして、私は・・。

進路か就職か悩んでしまいある日、眠ってしまった時に、ある事実を知ってしまった・・。

第二話 禁断のセカイの始まり


ねぇ、私は、ここで引き返せば良かったの・・。

それとも・・。

大人しく一般人として生きるべきだったのか・・。


〜NEXT STORY〜


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