超番外編・ファントム全滅、最凶の無双戦士現る
 
  冗談だろと右代宮戦人ことうみねこレッドは思う
 何しろ今回は七杭姉妹が勢ぞろいというだけでなく、あのガァブやロノウェにワルギリア…そして大ボスであるベアトリーチェ様ご本人まで出陣してきているのである。 一旦撤退しようにも背後からは黒山羊軍団が迫りまさにファントムの総戦力を結集してきたという感じであった
 「…くっ!…こっちは四人だっていうのにこの戦力差では……」
 さしものグリーンでもこの圧倒的な戦力差を覆す作戦など思いつかない
 「…くっくっくっくっ! 圧倒的ではないか我が軍はっ!!」ピンポ〜ン♪
 ヒーローが全員揃わないうちから総力を持って潰すという悪の組織の風上にも置けないような掟破りの作戦にうみねこセブンは風前のともしびだった
 「お主らなど所詮そんなものよぉっ! あえて言おう、カスであるとっ!!!」ピンポ〜ン♪
 余裕の表情で笑うベアトリーチェ、そんな彼女に油断せぬようとロノウェが忠告する
 「ふむ…それもそうであるな、では勝負を決めにかかるとするか? ルシファーっ!」
 「…はっ!!」
 ベアトリーチェの声に応えルシファーがブレードを展開する、そして空中を飛ぶかのような動きでピンクに迫りブレードを振るった
 「…きゃっ!!?」
 「「「「ピンクっ!!!?」」」」
 かろうじて回避したがブレードは僅かに掠っていてピンクの頬に小さく赤い筋を作った
 「うふふふふ…ベアトリーチェ様はああ言ったけどあたしは楽には殺してあげないよぉ? た〜っぷりと楽しま…!!?」
 その時ルシファーは地響きのような音を聞いた気がした、そして気のせいかとも思った次の瞬間に轟音が響き後方にいた黒山羊一体が吹き飛んだ
 「…むっ? 何事…」
 ベアトリーチェが何かを言う間もなく轟音は続き黒山羊が次々とやられる、それは五回まで繰り返された
 「…今の音、それに五発って…まさかウィンチェスターによる攻撃かっ!?」
 「…ど…どうい…」
 「うぉぉぉおおおおおおおおおおおおっ!!!!!!!」
 グリーンにレッドが問う前にまるで獣のような咆哮が響く、しかしそれは彼らの良く知る人物ものに似ていると感じた、嫌な予感を覚え声のした方を凝視する
 「うぉぉぉおおおおおおおっ!!!!!! この右代宮家に代々伝わる戦闘術【インゴット二刀流】を食らいたい奴から前へでろよぉぉぉおおおおおおおおおっ!!!!!」
 セブンだけではない、ファントム側もあまりのことに呆然とし言葉を失っていた、ただ一名以外は…
 「う〜!! ママぁぁぁあああああっ!!!!!」
 「安心しなさい真里亞!! あんたをいじめる奴はこの私がすべて地獄へ送ってやるよぉっ!!!!」
 すでに黒山羊軍団は全滅してた、そして楼座は真里亞を庇うように前に立つとルシファーを睨みつける。 その恐るべき眼光にルシファーは思わず怯んでしまう
 「てめえかっ!? 真里亞をキズものにして…この子がお嫁にいけなくなったらどうすんだ! ああっ!!?」
 「き…キズものって…ぷげらっ!!!?」
 一瞬にして間合いを詰めた楼座のインゴットがクリーンヒットする、その動きは常人ではない、すでに人間という存在を遥かに超越していた
 「七姉妹は杭化し一斉攻撃せよっ!!!!」
 ベアトの指示で残った六人は一斉に杭化し襲いかかる、その動きはまさに音速あったが今の楼座の動体視力にはまるでカタツムリのような遅さであった。 数秒後にはすべて迎撃されしまう
 「リ…リーチェ…こいつ人間じゃないわ…まさに大魔王よ!!?…うぎゃぁぁあああああっ!!!?」
 逃げる間もなくガァブも倒される、ロノウェとワルギリアがベアトを庇うために前でるが彼女が逃げる時間稼ぎにすらならなかった
 「全滅…?…三分もたたずに我がファントムが全滅だと言うのかっ!!!?」
 絶叫するように言ったベアトの視界いっぱいに楼座の姿が映る、そしてバキッという鈍い音と共に頭部に激しい痛みを感じた、それを痛いと思う間もなくベアトは意識を失った…

 「う〜ママっ!!!」
 真里亞は嬉しそうに楼座に抱きつき、楼座はそんな真里亞をよしよしとあやす。 しばらくそうした後楼座は戦人達の方に視線を移す、思わずビクッとなってしまう
 「…心配しないで? 戦人君達もお父様に無理矢理やらされたようなものだしあなた達を責めはしないわ、ただ…」
 楼座の目に危険な光がともる
 「…お父様にはきっちり責任をとってもらわなくちゃねぇ?…ふふふふ…」
 ファントムは壊滅した、しかしそれはファントム以上に危険な魔物をこの世に解き放ってしまったのではないかと戦人達は思うのだった。 そして祈る、明日の朝ボイラー室で焼死体が発見されませんようにと…
    

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