『今回予告』
こんにちは、縁寿だよっ!
前にお兄ちゃんの力になったことはあったけど、やっぱり自分でお兄ちゃんを救ってあげたい・・・!
皆が羨ましいよ・・・こういう時、ママが言ってたけど『嫉妬する』っていうのかな?
・・・ねえ真里亞お姉ちゃん、何かいい方法はないかな!?
私だって戦いたい・・・皆と一緒に戦いたいよ!!

え、お兄ちゃんが大ピンチ!?急がなきゃ!あたしもできるもんッ!!

『六軒島戦隊 うみねこセブン』第10話 「助けたい想いこそ」

絶対に・・・救うんだ!皆を、そして、お兄ちゃんを!!





【オープニング】




入り口のすぐ近くのエリア、クラシックセレナーデにその人達はいた。


「ねぇねぇ真里亞お姉ちゃ〜ん」
「うー?どうしたの縁寿?今日はまじかるベルンちゃんのステッキ忘れちゃったよ?」
「違うのー、うみねこセブンのことー!」

真里亞と縁寿は、楼座の付き添いのもと、遊園地に遊びに来ていた。
しかし、縁寿の様子が少しおかしかったのだ。

今日の縁寿は、なんだか真剣に真里亞に問い詰めている。
一体なにがあったというのだろうかと、真里亞は思い当たることをいろいろ考えた。
うみねこセブンとしてのことだと、あまり思い当たることがない・・・。
というか、うみねこセブンのことについて大声で話す地点で危ないだろう。

「ママー、ちょっとセブンの基地に行ってきていい?」
「ええ、かまわないわよ。ママは見てきたいものがあるから、何かあったら連絡しなさいね」
「うー、分かった!」



<<第10話 「助けたい想いこそ」>>



楼座はアンチローザハウスへと向かった。
一方、縁寿と真里亞は支部へ行くために、一旦今いるエリアを真っ直ぐ突き進むとある、フラワープリンセスエリアに移動した。
そしてすぐに、遊園地内を回るフラワーウィッチバスに乗り込んだ。
楼座はなにかと心配していたが、連絡があるなら大丈夫かと思った。


「縁寿、これ綺麗だね!」
「・・・うん」

フラワーウィッチバス内は椅子等々いろいろなところにお花の作り物がついている。
とてもかわいらしいものだ。
しかし、縁寿はほとんど反応を示さなかった。

5分もたたずに、レインボーステーションの駅に着いた。
さっさと降り、ハロウィンミラーハウスへと、二人で手をつなぎ走り出した。

「うー、ほらっ縁寿、早く早く!」
「待ってよお姉ちゃん、早いよぉ!」

ワープパネルに飛び込み、支部へ。
そして真里亞の自室へ、縁寿を案内した。


「うー、縁寿、あまり遊園地の中でセブンのことを大声で話しちゃ駄目だよ!」
「・・・なんで?」

縁寿はぽかーんとしている。
これじゃまるで駄目だと、一から説明をした。





「・・・とりあえず難しいけど分かった。ごめんね真里亞お姉ちゃん」
「うー、気にしてないから大丈夫、うー。それで、話って?」
「・・・前にお兄ちゃんに、あたしが力を与えたことってあったよね」

過去に、縁寿が頑張ってと、戦人・・・いや、レッドに願ったことが、そのまま力になった、あの時のことだ。
しかし今そのことを気にしているとなると、縁寿にとって想いが強い問題なのかもしれないと真里亞は思う。
とりあえず、話を続けさせた。


「それでね、縁寿も戦ってみたいって思うんだ」

真剣な瞳で、それを真里亞に言った。
正直真里亞も冗談半分だと思っていたが、さすがにここまで言われると信じないわけにもいかない・・・。
しかし、問題があるのに気づいた。

縁寿が戦うためには、『コア』が反応を示さなければならない。
それに、金蔵などにちゃんと説明する必要がある。
たとえできたとしても、オペレーターとして活動している縁寿の母、霧江に断られる可能性が高い。
つまり、縁寿が戦える可能性はゼロに近いのだ。
この問題点を解決することは、相当難しいだろう・・・。

「・・・うー、縁寿には無理かもしれない。でも、ば・・・レッドを応援することでも十分戦ってると真里亞は思うけどな・・・」

あえてレッドと言い直す真里亞。
しかし、それはむしろ縁寿の反感を買ってしまう。

「やだやだー!お兄ちゃんと戦うの!お兄ちゃんを守って、ほめられるのー!!」
「・・・困ったな、うー」

さすがの真里亞も、これには困る。
一番歳の近いいとこと一緒に戦いたいとは思うが、まわりの環境的に戦えないと判断せざるを得ないのだから。


その時だった。
戦士達の自室にある緊急連絡電話が鳴った。
慌てて真里亞が受話器を取る。

「うー!どうしたの?ファントム?」
「真里亞か?読み通りファントムが出現したようなのだ」
声の主は、オペレーターの霧江ではなく、司令官の金蔵だった。
「うー、分かった。場所を案内してもらって!」
「いや、そのことなのだが・・・」
「どうしたの司令官?何かあったの?」
「オペレーターの霧江が今日に限っていないのだ」
「え!?」

普段、特別な仕事がない限り、オペレーター席に座っていた霧江が、今日はいない。
しかし、特別な仕事がある場合は、必ず金蔵に連絡をするらしいのだが、なぜかそれも聞いていないそうだ。
急な仕事とも思えない。

「・・・うー、代理は立てられるの?」
「それがまだなのだ・・・真里亞、楼座と一緒に来ておっただろう。楼座には頼めるか?」
「うー、分かった!ママに連絡してみるから、とにかくファントムの場所を!」
「うむ。エンジェルスノウエリアのほぼ全面だ。映像で見たところ、周りのものが凍り付いている」
「・・・凍りついてる?・・・とりあえずありがとう。すぐ連絡する!」

そう言って、真里亞は電話を切った。
そして後ろを振り返り、縁寿にファントムが来たと言おうとした・・・のだが。

「縁・・・寿・・・・?」


そこに、縁寿の姿はなかった。


「困ったな、縁寿が電話を聞いて先に現地へ向かったのかも・・・」

もしもそうなら怪我をしてしまう可能性だって高いのだ。
真里亞の責任となり、いろいろ親からも言われ・・・他、想像するだけでも後が怖い。

「急がなきゃ!うー!えっと、携帯携帯・・・!」

真里亞はポケットから携帯を出し、楼座に電話をかけながら走り出した。





「クソッ、まだ俺一人なのか・・・」

そのころ、戦人が遊園地内のファントム出現現場に到着し、変身しようとしていた。

「真里亞が先にここにいると聞いたんだがな、しかも縁寿も一緒だって言ってるし・・・困ったぜ、一人で戦わなきゃなんねぇとは」

頭を抱えつつも、変身をしようとした・・・その時だった。

カシャン。


「・・・!?」

背中に・・・冷気を感じた・・・。

足の身動きが、取れない・・・!?
一体・・・何があるんだ・・・!?

「うッ・・・」

その戦人の背中にあったのは・・・氷・・・。
それがだんだんと戦人の体を包んでいくのだ・・・。

「ぐ・・・ぉおおぉッ・・・!」

とうとう頭から足まですべてを包み込まれてしまった。
息ができず、もがいてももがいても氷は割れないし、溶けない。

「ん・・・んんんんんんッ!!・・・・・・・・・・」


静かに目を閉じることだけが、戦人に許された行動だった・・・。


そこに、そっと人影が近づいた。
それは戦人やエンジェルスノウエリアを氷付けにした張本人。
仮面をかぶり、不思議な服を着ている、人間の姿をしたものだった。
その美しい仮面の下には、笑顔があった・・・。

「『コレ』だけはいただいておくかしら・・・、さぁ・・・始めましょう。
 冷たき氷の魔王が我が力を呼び覚ます・・・【フローズン・デッド・アロー】!」







「お兄ちゃん・・・どこぉ・・・」

縁寿が、エンジェルスノウエリアへとやってきた。
氷付けになっているエリアを見て、はじめは驚くので精一杯だったが、戦人を探すことを思い出して動き出したのだった。

「・・・何、これ・・・」

目の前に、何かが落ちていた。

それは、うみねこレッドの携帯ストラップ・・・。

戦人が前に縁寿とお揃いで買っていた物だった。

兄がこんなところに落としていくものじゃないと縁寿は感じ、すぐにそれを拾った。

「お兄ちゃんに何かあったんだ・・・縁寿だって戦いたいけど、どうすれば・・・」

縁寿は困りながら、そのストラップが落ちていた周囲を歩いていた。
その時。

「!?」

ちょうど縁寿の真上から、氷の塊が降ってきたのだ・・・。

縁寿はとっさに避け、屋根の下へ逃げた。
怪我こそなかったが、その屋根や周りのアトラクションが氷で傷ついた。
人が嘆き、苦しみ、悲しみ・・・酷い惨状・・・。それが目の前で見せ付けられる。

ひどい・・・ひどすぎるよ・・・ッ!
・・・お兄ちゃんを・・・皆を・・・縁寿が救うッ!

縁寿からこみ上げてきた怒りと辛さと・・・たくさんの感情。
それらの感情は、すべて力へと進化を遂げる。
それは、本当の遠くから見ていた、『ある人物』に察されていた。





「どうやら、『お前』の過去が動き出したようだな」
「・・・ええ、そうみたいですね」

ここは、本部のとある部屋である。

モニター越しに、金蔵が何者かと会話をしていた。

「『お前』もよくやるものだ。しっかりしてくれるだろう」
「ただ、これから『私』が戦えるかどうかさえも分からないんですよ?コアだって反応しないはずですし・・・」
「・・・そうだな。何かいい方法はないものか・・・」
「・・・大丈夫です。『私』にならきっとできると思いますよ」
「そうか。なら良い。この戦いを見ていようではないか」

その後は、沈黙が続いた。
その部屋が沈黙から解き放たれるまで、長くかかることだろう―――――。




【アイキャッチ】





「縁寿ぇえー!」
「縁寿ちゃーん!!」

なんとか真里亞の連絡を受け、無事にエリアにたどり着いた譲治と朱志香。
変身こそしていなかったが、その形相は戦闘時そのものだった。

人より尊く重い、従妹の命が危ないのだから・・・自分達も命を賭けて戦う。

「畜生!縁寿が見つからないなんて・・・」
「どうしたんだろう、まさか敵にやられたなんてことは・・・」
「最悪の事態なんて考えないでくれ譲治兄さんッ!!」

すでに二人の顔には汗がびっしょりだった。
連絡をしてくれた真里亞自身とも合流は果たせていないのだが・・・








その頃、探されている縁寿は・・・


「お姉さん、誰ッ!?お兄ちゃんはどこッ!?」

その縁寿の目線の先にいるのは、空中を浮遊する仮面の女。

「あら、この年代でおばちゃんって言わないなんて、不思議ねぇ?
 ・・・で、お兄ちゃんって誰のことかしら?」
「とぼけないでッ!!」

その瞳は、青く輝いている。

「あぁ・・・『これ』の持ち主でしょう?」

そう言って、女は何かを投げる。

「・・・!!」

それは・・・戦人の大切な『コア』だった。
そんなものを差し出されれば、疑わざるをえない。

「それはあなたにあげておくわ。どうせそんなのあなたには使えない・・・
 くすくす!つくづく人間って無能よね。私も元無能だけど!!アッハハハハハ!!」

目の前の女は、堂々と高笑いをしてみせる。

・・・そして、目の前に凍らされた戦人を出して見せた。

その眠るような顔は、美しいからこそ恐ろしいのだ。


憎しみと悔しさが、縁寿の心を焼き焦がす・・・

「ねぇねぇ悔しい?私に嫉妬する?してみなさいよ無能娘ぇええええええ!!!!」






その声を聞き、縁寿を探す真里亞、譲治と朱志香が反応した。
声のした方向へと、走り出す三人。



「馬鹿に・・・しないで・・・」

わなわなと奮え、怒りを堪える縁寿。


「私は、お兄ちゃんを助けるんだからぁああああああああ!!!!!」


そう叫んだ瞬間、戦人のコアが縁寿の手の中で、色を変えながら輝き始める。

紅き輝きから、紫を通し・・・蒼く染まる。






「「「縁寿(ちゃん)ッ!!」」」

その場に、真里亞・譲治・朱志香が到着した。
しかし、縁寿の名を呼んだとたん、その光景を見て硬直した。
何が起こっているんだ・・・?


「・・・!・・・お兄ちゃんの・・・鼓動が・・・聞こえる・・・!」

その光に瞳を奪われ、反応する縁寿。
そして、その台詞を口にする。

「コアパワー、チャージオン!カラーチェンジ、ブルーゥウウウウッ!!」
「「「!?」」」
「・・・ブルー・・・ですって・・・!?」

目の前の女さえも驚いている。


そして縁寿は、戦人の装備を蒼く、少し小さくしたような衣装を着用し、地に降りる。


「すべての愛と心を守り抜くッ、うみねこブルー!」

こういうお決まりの台詞が、自然と出てくるのは当たり前だ。


それにしばらく呆然としていた真里亞達もふと気づき、
近くの屋根の下に隠れてから、慌てて変身をした。

「コアパワーチャージオン♪じぇん・・・チェンジピンク!」
「コアパワーチャージオンッ!チェンジイエロー!!」
「コアワパーチャージオン、チェンジグリーン!」

誰かが噛んでいようと、スルーするのが常識なのだろうか。

そして、縁寿の元へ走る。

「私たちだって負けてられるかよっ!うみねこイエロー!」
「その愛はすべてが真実なんだよ!うー!うみねこピンク!」
「君たちなんかに邪魔はさせない!うみねこグリーン!」

「さあ、えん・・・ブルー!」
「え、う、うん!」

「「「「すべてを守る義務がある!六軒島戦隊 うみねこセブン 参上!!」」」」

「・・・な、何があったのか知らないけど、かかってきなさいよ、うみぬこセブン!」

「「「(噛んだ・・・?)」」」


ブルー(縁寿)以外、いくらなんでもこれは腰が抜けるだろう・・・。
というか、さっき噛んだのスルーしたくせになんなんだ。


「そうだ、え・・・ブルー、戦える?」
「うーん・・・武器の出し方がわかんないよ?」
「そうか、能力をコントロールできなきゃ話にならないもんね・・・剣は危ないかな」
「うー!ピンクにまかせて!戦えるものがあればいいよね。【アイテムアウト】!」
「・・・わぁ・・・!」

輝かしい光が、ブルーの目の前に集まり、物の形を作っていく。

「・・・ハンマー?」
「うー。これくらいならブルーでも危なくない。さくたろ!」
「うりゅ〜、ピンク、どうする?」
「さくたろはブルーの援護をしてあげて。後はグリーンの指示に従うから」
「え、あ、分かったよ。遠距離攻撃ができないから、あの仮面女はピンクに。
 僕とイエローで山羊を片付けよう。ブルーは戦人君の救出だ!」
「「「ラジャー!」」」
「ふん、分かりやすく動きを教えてくれるじゃない?山羊達をこっちに集めてあげる。
 ま・・・お嬢ちゃん、かかってきなさい!」
「・・・うー?まぁいいや。いくよっっ!!」

仮面女の「ま」という一文字に違和感を感じたが、すぐに戦闘を始めるピンク。

「うりゅー、ブルー!今から高く飛び上がるから、そのハンマーで何度も氷を叩くの!」
「うん、分かった!」

そして、掛け声と共に空高く飛び上がり、氷に一撃を加える。
それを何度も何度も繰り返し、徐々にヒビを生み出していく。深く、深く。

「お兄ちゃんを・・・絶対に・・・救わなきゃ・・・!」

ブルー・・・縁寿は、何かの悪い前触れだということを悟っていた。
まるでずっと前から、その『存在』があったかのように・・・



そして、ふとインカムに連絡が入る。

「みんな、大丈夫!?霧江さんと連絡が取れないから、代理ナビゲーションをするわ!」
「楼座おばさん!ありがたいぜ!とりあえず、山羊の様子を教えて!」
「ええ、今山羊がどんどんそっちに集まっているわ。ざっと100ほど・・・」
「100か、なんとかなりそうだけどここは体力勝負だね」
「うー、ママ。ピンクからブルーに注意が出せないから、仮面女の攻撃がそっちに行ったら注意してほしいの!」
「分かったわ。皆、グッドラックよ!」

そして、その連絡通信はごく数十秒で切れた。


「きゃっ」

どうやらブルーが砕いていた氷が飛び散り、一部が割れたようだ。
それが、ブルーの頬に当たり、赤く傷を作る。

「ここまで来たなら・・・さくたろう、一気に行くよ!」
「うりゅ〜!!」

そして、先ほど以上に高く飛び上がった・・・。

「【ブレイクファイヤーハンマー】ぁああッ!!!!」

そのハンマーは青き炎の軌跡を描きながら、氷に強く当たり、それを砕く・・・が。

「あ・・・」

そう。砕いた後の戦人の救出方を考えていなかった。
このままでは落ちて強く地面に叩かれ、そのまま死んでしまう・・・!

「危ないわ!!」

いきなり入った楼座の通信。

仮面の女から出された冷たい息吹のレーザーが、ブルーの体に直撃する。
ブルーは耐え切れず、突き飛ばされるように落ちる・・・

「ブルーーーーッ!!!」
「戦人ぁあああああ!!!」
「間に合わない・・・さくたろっ、行ってぇええっ!」

「うりゅおぉおおおおっ!!!!」


戦闘形態のさくたろうが素早く走り、ブルーと戦人を、地面ギリギリで救い上げる。


「「間に合った・・・!!」」
グリーンとイエローが安堵の声をあげる。
そして、降り立ったさくたろうの元へ、ピンクと共に駆け寄る。

「戦人は大丈夫なのか、ブルー!?」
「・・・まだ目は覚めてないけど、大丈夫。息はあるみたい。
 でも、息が戻ったのがついさっきだったし・・・」
「「「え?」」」

正直、意味が分からなかった。
凍らされていたため、息ができないはずだ。『死んでいた』はずなのに・・・。
戦人のスーツを見ても、人工呼吸をしたあとがない。

「このまま殺るのもつまらないから、その子の魂も返してあげるわ。
 私もお手上げよ、片付けるまではしないから。シーユーアゲイン」

そう言い残し、仮面の女は消えていった。

「なんだったんだろうね・・・」
「うー、なんだか不思議な感じがしたの・・・会ったことがあるような」
「そうなのか・・・ピンク、変身を解いて本部に戻って、戦人たちの様子を見よう」

そう言って4人は変身を解き、譲治が戦人を担いで本部まで戻った。







「・・・ん?」

「目が覚めたか、戦人!」
「うー、よかった!」
「大丈夫かい戦人君、どこか痛い所は?」
「特に・・・ないぜ」

本部のオペレーター室横の救護室で、戦人は目覚めた。

「ええ、特に異常はないみたいね」

楼座と南條の二人で、戦人の様子を見ていたようだった。
そこには、運んできた4人も一緒だ。

「お兄ちゃぁああああん!!!」

ガバッと、縁寿は戦人に抱きつく。

「うぉ・・・縁寿、俺は大丈夫だぞ、心配すんな」

それをギュッと抱きしめ返す戦人。


「ここはおいとました方がよさそうだね・・・」
「ああ・・・クスクス」
「うー、ラブラブ。うー♪」

そして、楼座と南條も含め5人は、そろりそろりと部屋を出て行った。
戦人のコアの色が、紅い色に戻っていたことも知らずに・・・。




戦人達が家に戻ると、縁寿が手紙を戦人に渡した。

「これね、お兄ちゃんのために描いたの!」

そこに描かれていたのは、戦人・縁寿・真里亞。
どうやら戦士服の様子のようだ。
それほど絵はうまくなかったが、努力の様子が伺える。

「ああ・・・ありがとうな、縁寿」

戦人がにっこりと微笑む。
その輝いた瞳には、その三人の姿がくっきり映されていた・・・。




【エンディング】





そのころ、お城の中では。

「うむ・・・どうやら作戦は失敗のようだな」
「ガァプ、ベアト!やっと名前が思いつきました!」
「なんだよ師匠ぉ〜、騒がしいなぁ」
「どうしたのよ、リーア、結局どうなったの?」
【キャッスルファンタジア】なんてどうでしょうか!?」
「「・・・・・・・・まぁまぁね(だな)」」
「よし、それで決定です!」

そんな風にして、城名は勝手に決まったのであった。


《This story continues--Chapter 11.》



《追加設定》

【アンチローザハウス】エリアBクラシックセレナーデ
アンチローザ特製衣装や遊園地グッズを販売しているメインショップ。
うみねこセブンのオリジナルグッズも多数置いてある。
楼座自身は時々しか来ないので、普段は右代宮財閥から派遣された店員がいる。

【フラワーウィッチバス】エリア全区域
フラワープリンセスエリアをスタートに、遊園地全域を動いているバス。
バスの中はお花飾りなどが多くあり、女の子に大人気。
特定時間に動いているバスはちょっと変わったところに行くとか・・・?

【フローズン・デッド・アロー】仮面の女(霧江)の使用技
大気の水分が凍りの槍となり、大量に地面を埋め尽くす。
しかし、熱帯日に使用すると効果が薄いデメリットもある。

【アイテムアウト】ピンクの使用技
精霊達の力を借りて、瞬時に道具を生み出す魔法技。
ピンクに出してもらった道具にコアをはめ込めば、戦士の技とドッキングが可能。
小さなビー玉からしっかりしたブレードまでさまざまなオーダーに答えられるらしい。

【ブレイクファイヤーハンマー】ブルーの使用技
青き炎がハンマーから燃え上がり、すべてを溶かし砕く技。
持ち主の心の強さと腕力で効果が左右する。

キャッスルファンタジアについては、9話参照。

inserted by FC2 system